22、逃走中ぅううう!!!
木々がまるで天然の屋根であるが如く光を遮っており、その木々の幹の一本一本が鉄パイプのように太く硬い。その丸太はもはや例えようが無いくらいに硬い。
「畜生がぁああああ!!!!」
その中に絶叫が響いた。その声はまるで女性のように高いが口調からは男らしさが出ている。もちろんその発生源は黒輝勇馬である。
「恨むぞ、あのクソ邪神が!!」
この男、とある神を呪いながら何かから逃げるかのように恐ろしい速度で森を走り抜けている。いや、その後ろに何かいる。
よーく見てみればそれはヨダレを垂らしながら勇馬を追いかけている猛獣のようにも見える。
いやいやそんなことはないだろう。きっと俺のことを気に入った可愛らしい動物に違いない。
そんな風に思ったのか勇馬はそろりと顔を後ろに向ける。
「グルルルルルゥゥウウウ!!」
「あっ、違いますね。はい、チクショーーーー!!」
勇馬、さらに速度を速める!これが彼に出せる今の最高速度!!
「必ず生き延びてくれるわーーー!!!!」
再び森の中に絶叫が響く。
こうなったのには経緯がある。
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「なんだよここ。樹海か?」
変な邪神と別れた後、俺がいたのは高い木々が空を阻んでいるような暗い樹海だった。
ひとつひとつの木ががっしりとしており、おそらく並の神法でも一発で折るのは難しそうだ。
というか、やらなければいけないことを忘れてたな・・・。
やること、それは食料集めだ。だが、俺の実力ではまず動物を捕らえるのは難しそうだ。
だから、小さな木の実だけに集中する。
もし、たどり着いた先が砂漠で獰猛な生物しかいないとかだったら絶対に無理でした。ありがとう、邪神。
「さてと・・・」
俺は横の木の丸太にしっかりと捕まり、よじ登って行く。そして上まで行くと丈夫そうな木へと着地する。
目の前には大きな木の実があった。
幸先いいな。
そう思いながらその木の実を舌に少しつけた。
空腹のあまり食べようとした訳ではない。無いったらない。
【万能味覚】によって木の実に毒などがあるか確認するためだ。
【万能味覚】はパァっと見ると「使えなさそー」と思うようなスキルだが、実際は実用的な能力だった。
なんたって舌に食物を付けるとその食物に関することが詳しく理解できるのだ。しかも、この能力のおかげで舌に毒物を付けても効かないようにもなっている。ただしそのまま飲み込むと普通に効くのでそこはご用心だ。
そんな訳で片っ端から木の実を確認し、食べられる木の実はアイテムボックスへと入れた。
ちなみにアイテムボックスの容量は今150になっていたりする。これだけ誰にも負けていない。
そんなことをしている途中・・・。
「あ」
幹への着地を失敗し、地面へと落ちていった。最近、高所から落ちんの多いなー。そう現実逃避しながら落ちて行く。
トン。
一応なんとか着地成功!と思ったのもつかの間。後ろから『グルルルゥウウ』という声がした。
油をさしていない機械のように後ろを振り向くと・・・小柄で右目に十字の傷を持つ狼がおられました。
たまたま、地上に降りていた勇馬は冷や汗たらーり。どうやら邪神のサービスは終了した模様です。
ここから冒頭のシーンは始まった!!
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「クッソ!この狼、足速過ぎんだろ!!」
俺はトップスピード出してんのに余裕で並走してくるんだけど!?
いやいや、こいつなんかよりはオーガの方が強いだろう。そしたら一応こいつ倒せんじゃね?と甘ぁいことを考えて、また後ろを見る。
そこには身体の周りに黄色い火花をスパークさせ、先ほどまでとは比べ物にならん程度の速さで肉薄してくる狼がいた。
「危ねぇえええ!!!」
ギリギリでかわす!!
仰け反るように避けた俺の鼻先は少しだけ焦げていた。
よし!逃げよう!こんなん勝てねぇええ!
生きんの最優先だし!邪神のオーダーなんざ二の次だ!
そう思ってUターン!
狼は『へ?そっち行くの?」みたいな感じにキョトンとしていた。
とりま逃げろ逃げろ逃げろぉおおお!!
すごく長時間逃げまくった。後ろも見ずに逃げる逃げる!途中で辺な匂いもしたが気にせずに逃げるぅうううう!!!
もう走れないどころか心臓が飛び出すか?と思うくらいに鼓動を奏でる。
どこかに給水所はありますか?
そのあとすぐさまないないと思うと、目の前に洞窟を発見した。




