3、※オッサンはあまり肥えておりません●
・???目線
黒輝 勇馬、奴自身は自分のことを普通の高校一年生だと言っているが、客観的に見れば全く違うだろう。
その理由は次のことからあげられるな。
・成績が学年トップであり、全国模試で常に100位以内に入っていること。
・運動系の部活を5個程両立しており、全てが全国に行くほどの強さであること。
・家がヤのつく職業を営んでいること。
・料理がすごく上手いこと。
・道行く人にナンパされまくること。
・告白される数の多さも学年トップ
・・・現実にこんな奴いんのな。
しっかし一番重要なのは奴がすごく"美人"であることだろうな。なぜここでイケメンやかっこいい、ナイスガイなどの言葉が使われないのかだと?
それには理由があんだよ。
それは、奴の見た目がモデル並みの女性であるからだ。
滑らかなロングの黒髪
透き通るような白い肌
ぱっちりと開いていて、強気な目
女性が羨むようなボディーライン
こんなに条件が揃ってんのに女性じゃないと初見で判断するのは難しいだろうよ。俺は無理。
現に今まで初見で奴の性別を見抜いたのは3人だけだ。
いただけ奇跡だと思う。
少なくとも俺はそう思う。
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「静まれ、皆の者!」
なんだか滝のように降り注がれる同情の眼差しに耐えきれなくなった勇馬は一人、暴れまわっていた。勇馬に同情を向けたものはまた一人、また一人と地に伏せられる。
そんな凶暴な美女に放たれた声がどこからかした。勇馬は声のする方向を瞳で映す。
するとそこには肥えたおっさんことイケメンがいた。もちろん、トランプ王様のことだ。…そういえばいたな。
勇馬は忘れかけていた存在をまるで忘れていなかったと言うように頷き始める。ワスレテナイヨ、ワスレテナイヨ。
そして勇馬の口頭第一発目、
「どうしました、王様?」
「なんか貴様失礼な感じがするのじゃが?」
王様への無礼であった。そしてこの世界の人たちエスパーである。誰一人として勇馬の当て字に気がつかなかった者は居ない。恐るべし!
ところで王よ・・・なんのことだか?俺は何もおかしな事は一つもしてないよ。常識人だよ。
勇馬は死屍累々とした人々の上で常識人ぶっていた。
そして場がなんだか不思議な静寂に満ちる中、王は叫んだ。
「これ以上無駄な会話はするでない!色々貴様らに説明することがあるのじゃぞ!」
確かに今、この状況では情報はできるだけ多く欲しい。よしその提案のってやる。
勇馬は親指をグッと天井に突き立て顎を上下に振った。それに王も口角を引き上げ、愉快そうに話す。
「ふむ、賛同して貰えたようで何よりじゃ。とりあえず、貴様らを会議室で休ませてやろう」
オッケーだ。
俺たちはとりあえず貴族たちの後へ続いた。