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16、えんそくのじゅんび♡●

「皆の者、よく集まってくれた」


 イミスは玉座に座り、手を組んで重々しい声を上げた。なんだかあいつ、いつもマヌケだから、真面目なところを見てるとギャップがありすぎて調子が狂ってしまう。


 ちなみに、ここは最初の頃に集まった議会室だ。


 集まっているメンバーはイミスに転生者一同、アルベルトさんなどの騎士達、イシュミールさんなどの重鎮たちだ。


 そしてイミスは真剣な表情であるものを俺たちに配り始めた。それは・・・


「・・・『わくわく!経験値アップの旅』、うさんくせぇな」


 ポップな絵柄の計画表、というか単純に幼稚園児の遠足のしおり的なものである。明らかに馬鹿にしている絵柄であった。


「な!? 胡散臭いだと!!? 我々王族が三朝三夕頭を捻らせて考えたデザインと計画を馬鹿にするつもりか!!?」

「うん。ていうかお前、そんな時間あるなら俺の仕事少しは負担しろ」

「そうです! 流石に今のままじゃ勇馬くんが可愛そうなんですよ」

「だなー。流石に部屋の隅で寝ぼけてしょんべ『わーーー!!!!』・・・なんだよ?」

「流石にその発言はデリカシーがないと思うよ。園田くん。・・・でも勇馬くんの自由時間が足りないのは事実だよね」

「はぅ!!」


 イミスに五百のダメージ! 割と効いていない!


「王よ・・・流石に勇馬殿に同情します」

「グハァッ!!!」


 しかし予想外のアルベルトさんの裏切りにイミスは5000のダメージ! 会心の一撃だ!


 そしてその衝撃で見事に椅子から転げ落ちたイミス。そのあとなんとか立ち直し、勇馬に頭を下げて一言。


「ごめんなさい」

「いいですよ」


 どちらも素直な感じでキャッチアンドスロウ。恐らくイミスは誤魔化したい気持ちで、勇馬は久々の休みに心に余裕ができたからだろう。休みは人の心を和ませるのだ。


「で、今回行くのはどこなんだ?」

「うむ! 王都から徒歩一日! アトバ森林じゃ!」

「微妙な位置だな」


 なんだか異世界ものでは移動に余裕で一週間というイメージがあったので少し得した気分になった勇馬。というかFPだけなら完全チートの勇馬からすれば余裕の距離である。


 アトバ森林は魔獣のランク自体はヒューマ森林と変わっていない。ただし厄介なのは群れの出現確率が高すぎるのだ。


 一度群れに戸惑えば最後、魔獣にあっという間に囲まれてエンドである。


「・・・そんなところに非戦闘員を連れて行くか?」

「大丈夫じゃ! あくまで其奴らの相手は神法士組のみにしてもらうつもりじゃ。他の奴らはアルベルト、リリアの監視の元、訓練をしてもらうつもりじゃ」

「その間、国の護りは?」

「ちょうど【聖王】の一人が出撃から帰ってきたからのう。其奴にしてもらうつもりじゃ」


 なるほど、それならば安心だ。


 ちなみに【聖王】とは【魔王】と相対する“聖”の勢力の強力な人物たちのことを指す。


 ちなみに王国には四人、帝国には六人、商業国には二人で合計十二人のようだ。ちなみに王国の【聖王】の一人は今、戦えるような状況ではないらしい。そしてその補充のため俺たちが呼ばれたのだ。


「なるほどな。・・・ところで失礼だが、リリアさんとやらは誰だ?」

「ふむ、この国の騎士団の副団長をしておる。神法の腕はピカイチじゃ」

「へぇ。なら、安心かな?」


 まあ、それほどの人だったらトラブルが起こっても瞬殺にも思えるし。


「で、行く日はいつだ?」

「・・・『ボソッ』」

「は?」


 イミスさんが今までにもないほど小さな声で呟き、かつ後退する。


 そのため勇馬が『なんつった?』みたいな顔をしていてもおかしくはな・・・


「今、『今日の夜』って言ったか駄王?」

「ぃ、いえs『死ね』あぶねぇえええええええ!!!!?」


 否、勇馬さんきちんと聴こえていたようだ。作者が思っていたのと別の意味で『なんつった?』だったのだ。


 そしてブチギレた勇馬はイミスに手元のペンをダーツのように投げる! そのペンは見事にイミスの玉座に突き刺さった。しかも玉座は金属の中でも特に硬いアンダマイトに、だ。


「勇馬殿! 落ち着いて! 落ち着いて!」

「落ち着けるか!! イミス、ふざんな!! なんでそんな日にいくことになったんだ!!?」


 勇馬激昂。拳を振り上げ、目を釣り上がらせる。アルベルトに押さえつけられているが、それでもなお勇馬は円卓にのり、イミスに向かう。


「おっおっ! 落ち着くんじゃ、ユーマ!! これには深い訳が・・・」

「ならば言ってみろ!」

「・・・黙秘権を・・・」

「行使はできません!!」


 もはや今話最初の威厳はない。イミスは勇馬の威圧感に押されぱなしである。こんなのが王で大丈夫か?と思う。


 すると間に滑り込むようにしてアルベルトが仲裁に入る。


「勇馬殿! ・・・申し訳ございません。今回の目的は話すことができません。それをばらしてしまうと訓練の意味がなくなるのです」

「・・・まあ、アルベルトさんがそう言うなら納得しますよ」

「なぜお主、ワシよりもアルベルトの方に忠実なのじゃ?」

「・・・威厳の差」

「ヒドイ!!」


 ちなみにクラスメイトも普通にウンウンと頷いていた。余計それでイミスが落ち込んだのは言わずもがなである。メソメソと部屋の端ですすり泣いていたとか、なんとか。


 そんなわけで次からは一章後半戦です!

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