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13、そうだ、城下町へ行こう●

 城下町、そこにはブロック積みの家が並びまさに煌びやかな光景がそこには並んでいた。


 野菜を売るヒューマン、レストランの味に難癖をつける小人、それに慌てながら対応する気弱な巨人、元気に走り回る子供の獣人、アイスを夢中になりながら頬張る有翼人など沢山の種族であふれていた。


 ここワッドライト王国は世界において唯一、多種族がいり混じる国である。この国ではそれどころか奴隷制度なども存在せず、国民一人一人が意思を持って生活している。


 そんな王都の中、大通りに人々の注目を集める者たちがいた。


 それは勇者である天翔らカップル・・・ではなく、いや確かに彼らも注目は集めているのだが。


 だがそれ以上にあらゆる人の視線を集める5人組がいた。


 1人は黒いロングヘアーをなびかせる短パン、シャツという大胆かつ単調な服を着る美女。1人は小人のような愛らしさを持ち、少しぶかぶかなパーカーを着る金髪少年。また1人は高身長の優しげなVネックの上におしゃれなスカジャンを着て、ジーンズを履く男性。1人は銀色の針金でできたヘアピンをつけるゆるふわの白ワンピース女子。最後に重厚な鎧を着る騎士がそんな4人についてきていた。


 言わずもがな勇馬ら4人組とお供のアルベルトである。


「城下町、万歳!!」

「勇馬君がおかしいのだが・・・苦労しているのだね」

「あいつも苦労してるからなぁ」

「昨日もパンと間違えてお皿食べようとしてたしねー」

「勇馬様はもはやイミス様よりも仕事していらっしゃりますからね」


 仕事でクソほど鬱憤が溜まっていた勇馬はすごくハイテンションになっていた。少し他の4人が彼のことを引くぐらいには。


 ただしほかの人々は「そんなギャップも良いですなぁ~」みたいな目線で勇馬を見ていた。


 さてではなぜ彼らが、勇馬が労働の毎日から脱し、王都に出かけているのか経緯を書くとしよう。


 ...........................................................................


「キュウジツ?」

「・・・王よ、急な休みに勇馬殿の思考がついてきておりません」

「・・・定期的に休日を作るとするかの」


 光を失った目で空を見つめる勇馬、その姿は悲壮感に満ち満ちている。あまりものハードな労働は肉体よりも先に精神を打ち砕いたらしい。


 そんなワーカホリックというか社畜と化した勇馬は初めての安らぎの時間を、初めて知ったようにカタカナで返信する。


 つい最近まで一応彼は青春を謳歌していたのだが・・・異世界のブラックは恐ろしい。そしてその現場にやっと王と騎士は危機感を覚えたようだ。


「そう!・・・どうせなら王都にショッピングに行かない? 勇馬くん?」

「さんせーだ! アゲハ! オレと蓮も行くぞー! な! 蓮!」

「うむ! 当然だよ。私も当然ついて行くとも」


 一方で今まで割と自由時間を持っていた友人三人組は町の地図を見ながら「ここ行きたい!」「ここも!」「ここはどうだい?」などと活気ワイワイと話し合っている。


「・・・キュージツ、キュージツ・・・休日!!?」


 まるで知らない単語を思い出そうとするように何度も変な発音で『休日』を連呼する。すると急に電撃が流れたように勇馬の意識も背筋もピーンッ!となる。


「おう!? ・・・やっと、思考が戻ったのかの? ユーマ?」


 その様子にイミスは驚き半分、安堵半分と勇馬に目を向け言葉を交えようとする。しかし交わった視線はとても冷徹なもので・・・


「・・・ああ、戻ったよ。ところで最近【社畜】っていうスキルを手に入れたんだが?」

「・・・すまぬ」

「許されるような行動をしろ」

「・・・はぃ」


 完全論破


 勇馬さんのガチギレぷりがよく分かる光景である。エースとはいえただの城の役人(仮)と王、その位置が完全下克上。王(笑)が部下に土下座をするという落ちぶれっぷり。


 だがそのあと勇馬は表情筋を緩め、


「俺も行きたいところ探すー!!」


 と今までにない笑顔を浮かべて、友人の元にダイブ!


 そうして今日という日がやってきたのだった。


 ...........................................................................


「ところで勇馬様達は今日どこに行かれるのですか?」


 それを聞いて勇馬はいきなりアゲハとアイコンタクトを取り、


「俺とアゲハは生態環境ランドに興味があるからお前らは自由に行ってくれよ」

「そう! アルベルトさんも用事があるんじゃないですか?」

「じ、自分ですか?いえ、特に用じは・・・」


 いきなり別行動をとろうとした上に、アルベルトを園田達から引き離そうとした。園田達は非戦闘員の、ため、当然アルベルトは当然否定しようとしたが・・・


『『ギロリ』』

「いえ、すごくあります!めっちゃあります!」


 勇馬とアゲハの眼光と共にいきなり意見を変えた。


 普段笑顔のアゲハすらもその時は生気が抜け落ちたような真顔。二人の美少女の険しい顔の威力は熟練の騎士すらも凌駕する!


「いや、待てーー!! てめぇら!明らかに言わせた感じがあるだろーが!」

「その通りだとも!というか非戦闘系の私達だけで歩き回ってはいかないだろう!?」


 その話を聞いて慌てて2人っきりを回避しようとする2人。だがしかし・・・


「「アルベルトさん、ここ安全。そうですよね?」」

「はい!すこぶる安全です!」


 アルベルトを仲間につけた勇馬達は止められない!!


「ていうかお前ら、もしかしてお互いのこと嫌なの?嫌なの?」

「それって、まあまあ失礼なんじゃないかなぁ?」


 さらに勇馬達は追い討ちをかける!!


 これを聞いて


「・・・分かったよ!」

「行けばいいんですね!?行けば!」


 やけくそ気味に、ただし少し顔を赤らめて2人で行こうとする。


「「お土産話、楽しみにしてるぜー」」

「「うるせぇええ!!!」」


 そう言って2組に別れた勇馬達。


 ただし、園田達から勇馬らが見えなくなった時に。


「アゲハ!」

「分かってる!」

「あれ?そちらには生体環境ランドはありませんが?」


 勇馬達が行こうとしたのは生体環境ランドとは逆の方向であり、というか園田達が去っていった方向だった。それを疑問に思ったアルベルトは2人に問いかけた。すると


「・・・? なにを言ってるんだ?アルベルトさん?」

「そうですよー。ここまでやった上でやることは一つなんですよ」


 二人とも標準は我にあり!と言わんばりに目を点にして次のセリフを重ねる。


「「つまり!!」」


 そしてなんだか2人ともノリノリで香ばしいポーズを取る。某戦隊もののように豪快にポーズを決める二人はさらにシンクロ度を高めた上で叫ぶ!


「「あいつらを追跡するんだよ(ですよ)!!」」

「なんでそんなに自信満々にさりも至極当然であるように言えるんですか?」


 えげつないくらいワクワクしている勇馬達にアルベルトが冷静にツッコミを入れる。


「「いっくぜーい!!!」」

「(この人たち大丈夫かな)まあ、行きましょう」


 ノリノリの2人に、気乗りしないアルベルトが追跡を始める。


 下世話極まりない追跡劇がここに始まった!

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