87、出会って5秒でイラッと、10秒で気絶
「さて、ついたよ。ようこそ!私の屋敷に!!」
「おお〜、広い!!・・・けど二階建てなんだな。王様って自己顕示欲の塊だと思ってたから意外だ」
そう、広さは凄い。庭も合わせてだいたい東京ドーム5個分ぐらいの面積。・・・これでピンとくる人はなかなかいないかと。
家だけでも大きく、白いブロックでできている。【探知】によると逆U字型になっているようだ。
だが、耐久度が無い。俺が数回殴れば崩壊するレベル。
「・・・殴らないでくれよ」
「・・・」
「・・・なんで拳を振り上げようとしてるんだい?」
「・・・フリじゃないの?」
「違うよ」
「・・・そうか」
残念、てっきりダチョウ方式かと・・・。
ちなみにいつのまにか魔獣どもは消えている。流石に町の中だからかそれとも絶滅したのか・・・真相は闇の中。
さて、よく思えば彼女が俺をここに連れてきた理由は・・・
「それでいつ俺に不意打ちをするんだ?」
たしか一族全員での総攻撃を行い、殺すこと。
未だ【探知】でそれらしき物を発見できないのだが・・・どうなっているんだ?
「いや、やめることにしている。君にはそれをしたところで返り討ちにされるのが目に見えるからね」
あらま、残念。・・・というか俺のことを未知の化け物を見た!!みたいな感じで見ないでくれます?
「まあ、わかりますね。こんな怪物をキレさせれば・・・阿鼻叫喚、間違いなしですね」
「そうだね、少なからず全員の聖石を貪り食われることは間違いないね」
・・・訂正、完全に化け物扱いされてた。
「まあ、そんなわけで殺さないのであればウチの手札にしてしまおう、といったところだ」
「おっ、ついに俺も本社員か?」
「まあ、そうしたいのだが・・・アズリール家がそれを認めるか、だね」
アズリール家?なにそれ?
ヒスリアの方を凝視する(【威圧】5倍day)と溜め息を吐きながらも教えてくれた。
「アズリール家はうちの国にある王家の派閥のうちの1つだ。今のところはヴァレンティア家が仕切っているが・・・少々、面倒くさいことになっていてな」
「その面倒くさいことってなんだよ」
バツが悪そうに脚で地面を踏みつけリシャーナの後ろを歩くヒスリア。・・・血糖値悪いんか?
「・・・はぁ。私が説明するとどうしてもお前が私に八つ当たりする可能性が高いのでな。・・・中に入ればわかる」
「? 結局なんなんだよ?」
「中に入ればわかると言っているだろう!!行くぞ!」
「Sir. Yes Sir!!」
珍しく勇馬がびびってヒスリアが閻魔大王を後ろに顕現させる、という状況へとなる。
・・・いつのまにヒスリアはス○ンドを発動できるようになったのだか、世界は案外斜め上なのかもしれない。
状況わからぬまま勇馬はとりあえずリシャーナの家へと入るのであった。
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勇馬は戦慄していた。なぜならば、
「家の中でも・・・土足だと!!?」
「いや、そんなに驚くことかい?」
一応、ワッドライト王国でも靴は玄関で脱ぐというのに・・・。
「なるほどな・・・アズリール家は靴を脱がないのか・・・たしかに腹立たしいな」
「いや、そんなにオーバーリアクションするレベルか?貴様?さらに言えばここはヴァレンティア家の本家だからアズリール家の家ではないぞ」
ヒスリアも呆れ返っている。
アズリール家もまさかそんなところでイラつかれるとは思ってもいなかっただろう。
「それにしてもやっぱり中は広いな。・・・シャンデリアもあるとはな」
「・・・なんだか君ってたまに所帯染みてるよね」
そうか?よく分からん。
「さて、もう少しで理由がわかると『ふん!!やっと帰って来たか!!我が妻よ!!』・・・ほら、来た」
そこにいたのは赤髪のオールバック、赤眼の男。顔の両目には何やら紋様のようなものが浮かんでおり、まさしく写○眼といったところ。・・・彼はエルフではなく、う○は族だったのだろうか?
また、服装は煌びやかな装飾やマント、王冠を身につけたThe.王様スタイル!!でも体格は少し筋肉質。
・・・いや、見た目の説明よりも重要なところがあるだろう!!
コイツの言ったことを思い出せ!!
『ふん、やっと帰って来たか!!我がツマよ!!』
・・・ツマ?
なにそれ、美味しいの?
・・・ツマ
・・・・・・つま
・・・・・・・・・妻
・・・・・・・・・・・・妻!!??
やっと状況を理解したのか勇馬は殺気を立ち上らせた。
ヒスリア?もちろんとうの昔からである。
「どういうことだ!!?リシャーナ!!?」
「いや、私、こんなのと付き合ってない」
いつもの男まさりな口調が無くなっている。どうやら彼女も本気で嫌悪しているようだ。見ると鳥肌が立っている。
すると彼が不意に勇馬を見る。
なんだか気持ち悪い目線だったので勇馬は【威圧】を100倍にした。
いつもなら無理。今だからやれる!!
変なところで限界突破している勇馬をよそに彼はこう言った。
「ふむ、なかなかの美人だな」
と、そう言いながらおもむろに勇馬に近づき始めた。
オッケェイ、俺の黄金の右手の準備はできてるぜぇい。
そうすると・・・
「我が恋人に貴様を加えてくれよう」
男の左手が勇馬の腕を握り、抵抗できないように壁に押し付ける。
壁に衝突になりそうな勇馬の頭を彼は右腕を枕としておく。
勇馬の脚の間には彼の右足が挟まれており、俗に言う股ドンである。
そして勇馬の顔に男の顔が近づいていた。
勇馬は抵抗しようとしたがなぜかできなかった。
そして、ついにそれは起こった。
お互いの口と口が重なったのだ。
すなわち、キスである!!!
そして、された勇馬はと言うと。
(qうぇrちゅいおpーーーー!!!????○☆□●◎▽◇▼△■※$〒!!?)
・・・見ての通り人類の言葉を忘れるほどパニックに陥っていた。
(キス!!??キスされた!??俺のファーストキスがまさかの!!???・・・いや、違うだろ!!!こういうのは普通お互いの気持ちを確かめ合ってからするものであり、それ以外はあくまでも無理矢理、人権侵害にしかならないはず!!!・・・だよな!!いや、しかしやられたことは間違いないはず。それを考えるとこれが一応カウントされることに・・・こんなの悪夢、黒歴史じゃねぇか!!!!第一出会ってすぐさまキスとは何事だ!!!せめて何日かだったらこんなにもパニックにならなかったものを!!!よし、落ち着け!!深呼吸だ!!!・・・すぅっ!!はぁっ!!すぅっ!!!はぁっ!!!すぅっ!!!!はぁっ!!!!)
そう、それこそいつもの「何やってくれたんだ!!コラァああああ!!!!」のパンチやキックを忘れてしまうほどに。
ちなみにこの思考の時間はまだ1秒も立っていない。【超高速思考】のおかげだろうか・・・。
ともかく勇馬は、それこそ頭が擦り切れるレベルで頭を回転させた。
結果、
「・・・ふぅっ」
「「「「「『『えっ?』』」」」」」
「む?」
バサっと倒れる勇馬。頭から白い煙が出ていることからそれほど頭を思考させたことを理解できる。
いつものメンバーは「ユーマさーん?冗談ですよねぇー?、この後なんらかの不意打ちをするんですよねぇー?」と言わんばりにツンツンしている。
一方の容疑者は、
「・・・我のキスがそんなに嬉しかったのか?」
と首を傾げた。
その言葉にツッコムものは誰もいなかった。
とりあえず、勇馬は速攻でベッドに運ばれたとだけ言っておこう。




