好き。
タッタッタッタッ
「夏野!!」
俺は病室にもどった。
「じゃあ、ここのメールアドレスに送ってみて。」
「はい!」
堂島がなんでここに、、?
病室に戻ると
堂島が夏野とメールアドレス交換をしていた。
「オッケ!届いた〜!」
「わ!すごい!堂島くん!」
「こんなの誰でもやってるよ」
「携帯電話なんて、これからも使わないと思ってたけど、便利だね!」
楽しそうに笑いやがって。。
「あ、そういえば、榊原さん来なかった?」
堂島が俺について聞いた。
「来てくれました。」
「何か言ってなかった?」
「……怒られちゃいました。今の自分に甘えてるって。甘やかされてるって。確かに、そのとおりなんですけどね、あははっ」
「結局、伝えてないんじゃん。。」
「伝えるって??」
「ううん、こっちの話。」
だから、何だよ伝えるって。。
「じゃあいっか。俺、言っちゃっても。」
堂島は
夏野の両肩に手を置いて
顔を思いっきり近づけた。
「えっ、ちょっと、」
「俺、前から気になってたんだよね。夏野ちゃんのこと。」
なんかそんな気はしていた。
俺がアイツなんか好きじゃないと言った時喜んでいたし、、。
「ねぇ、俺と付きあおうよ。」
「嘘だ!冗談は通じませんから!」
「ホントだよ、だって、今から俺夏野ちゃんにキスできる。」
「っや!待って待って!」
俺は帰るべきなのか
喧嘩したまま
この変な気持ちを抱えたまま
堂島とアイツがキスするのをみてていいのか。
「待って!ダメだよ!私なんかに!」
「いいから、このまま静かにしてて。」
「おい。」
「っ!?榊原くん!??」
俺は病室に入って
堂島の腕を掴んだ。
「帰ったんじゃなかったの?!」
「夏野はいったん黙ってろ。」
「ちょっちょっ、痛い!」
「ちょっと来い。」
俺は堂島の腕を掴んだまま
病室を出た。
*
「痛いです!榊原さん!」
堂島はかなり痛がっていた。
「おい、どういうことだよ。」
俺は壁に堂島を寄せて問いただした。
「何がですか」
「何のつもりだっつってんの。」
「だから、何がですか!」
「…あいつに…キスしようとしただろ」
「…はい。しようとしました。」
堂島は、あっけらかんとした様子で俺の目を見る。
「好きなのか、アイツのこと。」
「好きって言ったら、どうするつもりなんですか?榊原さんは」
「どうするも何も、俺には関係ない。」
「ったく、素直じゃないなぁ。
榊原さん……ヤキモチです。それ。」
や、、きもち、、?
「何だそれ。知らないな。」
「好きな子が他の男と話してたり触られたりするのにヤキモキすることです。」
「だから、俺はアイツのことなんて」
「いい加減にしてください。
榊原さん、今まで人のこと好きになったことないんですか?その子のことを思うと胸が苦しくなったり、突然思い出したり、、それがもう恋なんです。気づいてください。」
「気づく…?」
今まで変な気持ちだったのも全部、
恋だっていうのか?
「現に、榊原さんは合コン中に夏野ちゃんを助けましたよね。あの時の榊原さんは、どの榊原さんよりかっこ良かったです。榊原さんがあの子と話してる時の顔、笑った時の榊原さんは、今まで僕や周りを見てる目と全然違って、優しかったです。そんな榊原さんを引き出してくれたのは、夏野ちゃんですよ。」
「俺が、、夏野を。。好き。。?」
好き
好き
好き
……?
笑った顔が見たいと思う気持ちも
無意識にあいつのことを考えてしまうことも
全部。
好き
……?
だけど俺は
沢山女と遊んできた男だぞ?
あいつのことを馬鹿にして
生徒を使ってイジメてた
俺がだぞ。。
人なんて好きになれるわけないって
小さい頃、散々思ってたのに
そんなわけ。。
そんなわけ。。
「あ!いたいた!どうしたんですか、突然。」
そんなこんなしてるときに
夏野がやってきた。
「夏野ちゃん、ごめんね〜ちょっと諸事情ありで、あははっ」
「そっか!揉めてるのかと心配になっちゃったよ〜」
「ごめんごめん」
また、二人だけで会話しやがって。。
「、、榊原くん、大丈夫??顔色が悪いよ?」
突然俺の顔を覗き込んできた。
「っ、、…うっせ。近づくな。」
俺は夏野から遠のいた。
「あ、ごめんなさいっ、、」
「堂島くん、榊原くんの顔赤くなっちゃってる、、もしかしたら熱があるのかもしれない。。どうしよう、、。」
「夏野ちゃん、大丈夫。これは熱なんかじゃないよ。もっと厄介な病気」
「…?厄介?」
「うん、素直になれない恋の病。。」
好きって
一体なんなんだろう。。