変化。
✻
「桜川高校のみほっていいます!」
「私はゆきです!」
合コンにきた。
「榊原学園高校の堂島です」
「市原っす!」
「榊原です。」
いつもなら楽しいはずなのに、
何だろ。いい気分じゃない。
窓側のテーブル席で
外をぽーっと眺める。
なんか、女とつるむのも面倒になってしまった。
「榊原学園の榊原、、って、もしかして!?ご子息!?」
目の前にいた女が俺に話しかけてきた。
「ああ、まあ。」
「すっごいー!」
「それに学校の主席でテストはいっつも1位なんだよ!」
「きゃー!しかもカッコイイなんて完璧ーー!」
このときは
いつも
優越感に浸れることができるはずだったのに。
午後9時。
夏だから外はきっと暑いだろうな。
外しか目の行き場がない。
香水の匂いは臭いし。
「やばかったね」
「驚いたわーー」
「榊原くんはどう?」
「へ?」
「だぁーかぁーら!さっきの!さっき、目の前のカップルが別れ話してたの!泣きながら!笑っちゃうよね」
腹を抱えながら
俺に話しかけてきた。
「あ、そう。」
「話聞いてた?」
「ごめん、記憶飛んでた。」
というか、正直どうでもいい。。
「おかしぃー!しかもさっきから榊原くん笑わないし、どういう時に笑うの?」
「え?」
どういう時。。
「俺、あんまり笑わないかな。楽しいって思っても上手く笑えないし。」
「何それー!ウケる!」
言っとくけど、、
ウケはしない。
最後に笑ったのはいつだろう。
あの時、
まだ俺が誰も支配なんてせず、
ただ純粋に生きてた、何年か前。
いつから、
俺ってこんな奴になったんだっけ。
「ねぇ、またこのメンツで集まって合コンしよー!」
「いいね!サンセー!」
「……」
「ねぇ、みて!あの子フラフラしてない?酔っ払ってるのかな?」
「でも、あの制服って俺達の高校じゃね?」
「榊原さん!」
「何?」
堂島の顔は驚いた表情をしてる。
「何?そんな慌てて。。」
「きゃ!倒れた!」
皆の目線が窓を向いている。
人が倒れたくらいで。今の時間帯だったら酔っぱらいくらいいるだろう。
「榊原さん、あの子。。」
堂島がいつになくクドい。
「なんだよ、、」
俺は窓から
血を吐いて倒れている同じ学校の生徒をみつけた。
ガタッ
「ちょっ、榊原くん!?」
「これ、飯代、ごめん先帰るわ」
俺は一万円をテーブルに置いて
店を出た。
「おい夏野!!!」
こんなこと、俺だってしたくない。
でも仕方ないだろう。俺の体が勝手に動いてしまったんだから。
俺も、どうにもならない。
「夏野!!!」
だめだ。全く動かない。
まだ、息はしてる。
「夏野!!」
「くそっ。」
俺は冷たくなった夏野を
背負って
ここから近い病院を探して走った。