イチョウ
わたしの歩く道はわたしだけのものであって
誰人も重なることは出来ない
わたしは喜びも悲しみも共にして
たったひとりで立ち挑み 立ち竦む
それでもわたしは他人の喜びや悲しみに
感化されたりする 一喜一憂したりする
そしてときに自分が笑うよりも
あなたに笑ってほしいと思う
傲慢で自惚れで自己満足
それは行き場のない狭い道の色を
あなたに緩められたようで
ホッとしているのだろうか
イチョウの木を見上げる
凛々と鈴の音が落ちてゆく
道はたちまち輝き出して
まるでどこまでも続くように
人恋しくはないけれど
あなた恋しいと思う
わかってる
この道はやがて途切れてしまう
でも色が変わるだけ
また違う道が見えてくる
消えることなんてない
いつだってあなた恋しいと思う