-第6-90盤
『ガタン』と言う音と共にエレベーターは音を立てて止まる
そこでロイ達はエレベーターから降り……外に出る
そこは……100盤とさほど変わらない光景
と言うより……また100盤に戻ったんじゃないかと思うような風景である
「……ここは本当に90盤なのか?」
「さ……さぁ? 私も90盤に来たのは初めてなので……」
「……まぁ、その辺を散歩してみればわかることか」
ロイはそう言い、90盤であろう場所を歩き出す
それに続くようにリナリアは歩き、妖精魔道具であるイミィは空を飛んでいるが
その高度は低く……リナリアの顔の横辺りを飛んでいる
そしてしばらく歩いた所でロイは知っている顔を見つけ声をかける
「……まさか、ヘイムか?」
「ん? 俺様をヘイムと呼び捨てにしていいって誰がい……」
ロイにヘイムと呼ばれた男、髪は金髪……頭に角2本
服は白のマント、ズボンは黒色……背中には2枚の黒羽
そのヘイムが驚いた顔でロイの顔を見るが、少し経つと
腕を組み、ロイを見下すような顔をし言う
「な、なんだ……元魔王かよ、それも羽なしとは俺以下だな」
そうヘイムが言った直後……ヘイムの首がリナリアの右手によって掴まれ
足が空中に浮き……ヘイムは苦しそうな顔をしながら顔を青くしている
「……私のロイ様が元配下以下だと? ……その首へし折るぞ」
「っ……あ、な……たはリナ……リア様……」
ヘイムの苦しそうな声を気にしてかロイはリナリアに向かって言う
「リナリア、手を離してやれ、そいつには聴きたい事がある」
「はいっ」
リナリアは満面の笑顔でヘイムを離すとヘイムは地面に尻餅をつきながら言う
「はっ、羽なしに話す事なんて何もねぇよ、さっさとどこかへい……け」
「……ほぅ、まだそんな口を聴くか……灰にするぞ?」
「いやいや、リナリア様の事じゃなくてそこの元魔王を……」
「私のご主人だ、次……そんな口を聴いたら本当に灰にするからな」
「わ、わかりましたよ……」
『ヘイム』
正式名は『ヘイムダル・アーケロン』
ロイの元配下であり、リナリアの部下
2枚の黒羽を持ち、その力はある程度あった物の……
ロイが魔王時代に勇者が魔王城に到着した直後、逃げ出した
「でも、リナリア様……2枚羽の俺が羽なしと話してたら威厳が……」
「ほぅ……じゃあ『四枚』の私がロイ様と話をしたら威厳なんて0だな」
「え、い……いや、そんな事ないですよ」
リナリアの口調が気になったのかイミィは
小さな声で腕を組んでいるロイに話かける
「な、なぁ……あいつとご主人は一体……それと羽ってなんのこと?」
「あん? ああ……あいつ、ヘイムはリナリアの元部下で
リナリア自身は元々あんな口調だよ、俺以外はな」
「あーなるほど……で、羽は?」
「羽? ……いちいち説明するのはめんどくさいな
まぁ……暇潰し程度に説明してやる」
悪魔の背中には羽が存在する、その背中の羽の数に置いてその力は凄いとされる
ちなみにだが……元魔王、ロイの羽は6枚、8枚が最高力と言われているため
魔王の時代ロイの力は凄いほうであったのはたしかである
もちろん、魔物達はその背中に羽に敬意を払い、多い者には敬意を払う傾向があり
その反面、自分より少ない相手を侮辱すると言う傾向もある
「まぁ、こんなところだ」
「なるほど……それであいつはロイを見下したんだね」
「そういう事だな」
「あ、ロイ様」
リナリアはロイに笑顔で駆け寄る、その後ろでヘイムをその場にしゃがみ込み
明らかに……経こんでいるのがわかるほどである
「どうした?」
「ここは90盤で間違いないそうです
ヘイムはここに用あって90盤に来たみたいです」
「用?」
「はい、どうやら90盤のどこかに魔法……私のこの子みたいな子が
現魔王から逃げ出したようで……それを見つけるとかで」
「ふーん……俺には割とどうでも……」
「よくないです! 私はその魔法の子……私凄く見てみたいです!」
「……いや、それよりも80盤に……」
「いいから探しましょ!」
リナリアはロイの手を取り歩き出す
ロイは何かリナリアに話かけているようだがそれをリナリアは聴かず
どんどんと先を進む
それをイミィはゆっくりと追いかける中、座り込んでいるヘイムに小さな声で言う
するとヘイムも小さな声でイミィに言う
「おつかれ」
「……ああ、おつかれ」




