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-最終話-魔王と魔姫

本のページは無くなり、残ったのはページが無くなった本の表表紙と裏表紙のみ

残されたのはそれだけ、何もできない俺を庇い重傷を負ったリナリア

それを助けるために力を放ったが……これ以上動くことはできない

しかし、そんな時、ただの裏表紙に文字が浮かぶ


『この本を最後まで使ったお前に力を与えよう

 この本を作った時に全ての魔力を込めた

 この力が悪魔を……この先の悪魔界を支えてくれ

 我は最初魔王……この本の作りし者なり』


その直後、本は燃え散る

その変わり、俺の体に莫大な魔力が宿り

そして角が2本、羽が6枚生える


「これが……現初の魔王の力」


「……体が動いた、だけどはあれは……魔王……明らかにさっきと違う」


「へっ、多少パワーアップしようが!」


「やめろっ!」


勇者の言葉に従わず男剣士がロイに斬りかかる

しかし、速度と力が上がっている剣士の短剣を持ち余裕の表情で剣士の顔を見る

すると剣士は怯えた表情で短剣を捨てロイから逃げるように距離を取る

その直後、短剣は紫の炎に包まれ塵となる


「……その程度か?」


「……まだだ、魔法使いと僧侶、僕が時間を稼ぐ

 最大の魔法をやつね、剣士、僕のエクスカリバーを使って」


「あ、ああ」

「わかった!」

「はいっ!」


「いくぞっ!」

「おう!」


勇者と剣士は俺の左右から同時に斬ろうと剣を構える

だが、その行動は『遅く』まるで時が止まっているように見える


「これで十分か……こい、グラビトン・スピア」


その言葉と共に俺の手元に禍々しい紫のオーラーを纏った槍が現れ

それを地面につきたてると、勇者と剣士がその場に倒れ込む


「体が……重い」


「くそ……動けねぇ」


「……2人共、今助けます! フル・キュア!」


僧侶の魔法は光り輝き、倒れている2人を包み込み

光の羽が周囲を舞う、フル・キュアは上級魔法

それに治せない魔法はないとまでされた

だが……それも空しく2人は倒れたまま


「どうして?!」


「なら、私が……くらいなさい! ダブル! メテオ・ストライク!」


空中から現れた隕石2つが俺の真上に現れる


「なるほど……なら、消え去れ……ブラックホール」


その魔法は小さな黒い球が2つ、2つの隕石に向かい当たる

すると隕石は2つ共、何もなかったようにその場から姿を消す


「嘘でしょ……」


「……おい、いつまで寝てる、起きてくれ……エリア・リザレクション」


俺の中に眠る力を周囲に放つ

それは黒い衝撃破のように周囲に放たれる

それは勇者達には効果はなく、倒れている3人を起き上らせる


「……ロイ様、そのお姿は……」


逸早く俺の姿に気づいたリナリアは茫然として動けない勇者達を無視し

俺に近づくと抱きしめる


「ロイ様っ……魔王に慣れたのですね?!」


「いや、まだだ……そこにいるだろ? 勇者ご一行が」


「……みたいね、イチャイチャするなら終わってからにしましょ」


「そうそう、今度は私達の番だ」


ミミリアとリーナは笑顔で俺に話かけると臨戦態勢に入る

それに気づいた勇者達だが……勇者と男剣士は動けない


「今助けますっ」


僧侶が投げたアイテムは勇者と男剣士を起き上らせる

それは、先程のロイの魔法が切れたのか、効果が薄れたせいもある


「ロイ様っ、今度は負けませんから!」


「そうそう、今度は勝つわ」


「私もっ!」


「わかった、わかった……ならいってこい、力を貸そう」


小さな悪魔の羽数枚が3人の周りを回ると、それに包まれた3人は姿を変える

その恰好は歴代の魔姫の姿、そしてなにより……羽の数は6枚

ミミリアでさえ、耳はエルフだが背中に悪魔の羽がある


「この姿……それにこの力は……」


「力があふれてくる」


「負ける気がしないね!」


歴代の魔姫、即ち……魔王ではなく姫となった物達の力

それは本に眠りし、力の一端、それを与えたに過ぎない

だが、それは勇者達に恐怖を植え付けた


「む、無理だ……勇者逃げるぞ」


「背を向けるわけには……」


「で、でも……あいては魔王4人よ……」


「む、無理……」


それからの戦いは一方的な展開を繰り広げ

リーナの力で僧侶を倒し、それを援護しようとした魔法使いをリナリアが潰し

剣士と一騎打ちになったミミリアだが、力が圧倒的すぎて勝負にならず

残った勇者は2本の剣を構え、ロイに突撃する


「僕だけでもお前を!」


だが、その突撃を止める者はいない

ロイ以外の者はその場で両目を閉じ、行方を見守っている


「悪いな……伝説武器だろうと俺には効かない

 次来る時は軍隊か、勇者100人でも連れて来い」


ロイは一瞬にして、勇者の首を掴むと思いっきり投げ飛ばす

すると勇者達はその場から消えさり、戦いが終わったのがわかる


「終わり……ましたね」


「ええ、終わったわね」


「今さらだけどエルフにこの羽って可笑しくない?」


「いいんじゃない?」


「えー」


「……ロイ様、どうしたんですか? せっかく魔王に戻ったのに……」


茫然としているロイの顔を上目づかいで覗き込んでいるリナリアに

ロイは呆れた表情で魔王の椅子と周囲を指さす


「どうみても、椅子以外何もないし、部屋はここだけだ」


「えっと……外に……」


「見て来てあげる」


リーナが外に出てしばらくすると中に戻って両手を左右に振り言う


「ここ以外何もないわよ」


「……え?」


「どういう事?」


ロイが魔王の職に返り咲いた時に発覚したのだが

1つ前の魔王は力がない変わりに裏に金を賭け

そしてなにより、攻めて来た冒険者に金や城の物を渡し返って貰い

ワイロを渡していた、即ち……ここに残るのは椅子とこの部屋と地下のみ

ロイの前魔王時代にあった砦も現在では人間の砦、町となっている


「……どうしろと」


「どうしましょうか」


「まぁ、いいんじゃない?」


「そうそう、また建て直せばいいの」


「そうね、攻めて来た冒険者と勇者を叩きつぶして城を立て直しましょう」


リナリアとミミリアは笑顔でロイに話かけると

ロイはそれに頷く、リナリアも微笑みながらロイの片腕を両手で掴んでいる

以降、ロイ達は攻めて来た冒険者、勇者を何度も倒し

その落としていった金を使い、魔王城を改築し、元の状態に少しずつ戻した

その後、ロイとリナリアが結婚する事になり

そこでまたひと悶着あるのだが……それはまた別のお話

これにて『語り継がれる物語-The Prince Of Darkness-』

は終わりとなります

もしかしたら、続編があるかもしれませんし、ないかもしれません

他の小説の続編などもあると思うので楽しみに待っててください

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