-第41-万物の根源
何時だろうが、私が成長したリナリアに会ったのは……
多分、ロイ君が魔王になってその横にリナリアがいた時だろう
その時に私は気づいたんだ
『リナリアよりも魔力が低いと……』
もちろん、簡単な魔法から少し強い魔法なら使う事はできる
ただ、リナリア……妹が魔法を使うのなら、私は物理にしようと
直感ぽく感じてしまい、物理方面に手を伸ばした
その選択は間違ってはいなく、私はどうやら殴り合いの方が好きなのがわかった
それ以来、私は魔法を極力使っていない
妹よりも魔力がないのなら、使う意味がないと……姉の意地なのか
そんな気持ちみたいな物に引かれ、使う事をしなかった
だが……スペクトラに吹き飛ばされ、気を失った私に
誰かが話かけてきた……気がした
眼を開けようとするが、目蓋は重く開けられない
そのため、周囲を見れず、真っ暗な中、誰か知らない声と会話をする
『……あなたには魔力はあるわ』
「ないわよ、妹の方が全然あるわ」
『あるのよ、あなたの根源にある血がそう言っている』
「根源? ミルの家系の事……?」
『そ、その嫌いになった血を思いだしなさい
あなたの中には妹と同じ物があるのだから』
「でも、私は……」
『知ってるわよ、あなたが小さい頃
一生懸命魔法の練習した事を……』
「どうしてそれを?!」
『さぁね……でも信じて、その力はあなたに必要な物だから』
その言葉と共に真っ暗闇に光が宿ったように光ると
それと同時に私の手が何かを掴んでいる感覚がある
『……頑張りなさい、ミルの血を目の前の子に見せてきなさい』
その後の言葉にその声の主、その正体がわかったような気がするが
もう遠い昔にどこかで忘れた人の声……と私は少し微笑んだ
『いってらっしゃい、私の子……私が助けられなかったリナリアを頼んだわよ』
その言葉と共に眼を開けると目の前にスペクトラが私の顔を睨んでいる
その力が私が気を失う前の力と同じ、でも……どこか私の中で何かを感じた
それに気づき、スペクトラの腕を掴みながら周囲を見回すと
いろいろな色をした球が空中に浮かび、私の周りを飛んでいる
それは小型の生き物ではない、でも、それが何なのか私はわかる
「はやく離してよっ!」
スペクトラの言葉に従い私は腕から手を離すと
その離した手には火傷のような手後がびっちりと付いている
その部分に息を吹いている相手を目の前に私は頭の中に浮かべ言葉を言う
『我……己が力を統べる者なり、この力は全てを包む
万物の聖霊よ……己が主に力を貸したまえ、エレメント・エアー』
その瞬間、私の周りに先程浮かんでいた物が私の周囲を回る
「何それ……おもしろくないっ!」
スペクトラはほっぺを膨らませながら先程のように魔法陣を手に構え
私の目の前に現れる、だが……そんな状態なのに私の心は冷静
「ウインド・トルネード」
「きゃっ」
私の言葉と共に目の前にいたスペクトラは風に包まると遠くに吹き飛ばされ
尻餅を付くと可愛い声をあげる、しかし、私はそんな事を気にせず
次の言葉を発する
「フレイム・ストライク」
『フレイム・ストライク』
火の魔法の中級魔法、炎の塊をそのまま投げるのではなく
それを音の速さと共に打ち出し相手を貫き焼く魔法
「あぶないよっ!」
それを間一髪避けたスペクトラは起き上りまた私に接近してくるが
私はまた……言葉を発する
「拘束しなさい」
その言葉と共にスペクトラの足元から緑色の茨がスペクトラを拘束する
それを取ろうと暴れれば暴れるほど、その枝は絡み動きを鈍らせる
「むぅ……卑怯だ! 卑怯だ!」
スペクトラは子供のように騒いでいるが私はそんな言葉に微笑み
両手を頭上に構えリナリアの方を見ると、リナリアは驚いた表情で私を見ている
『何よ……その顔は、私が魔法を使うのが可笑しい?
でもいいわよ、私は私で……ミルの血を受け継ぐ者なのだから』
「さぁ……終わらせるわよ、防げる物なら防いでみなさい」
「こんなじょうたいにして! どうやってまもるの!」
「メテオ・ストライク」
その言葉と共にスペクトラの真上からスペクトラの10倍と言ってもいい
隕石がゆっくりと落ちてくる、問題はそれがスペクトラに当たった時の衝撃
それをコントロールするため、私は全神経を集中させる
『一歩間違えればロイ君にリナリア……あとはあの子達まで巻き込むわね
……ふふ、楽しい、でも不思議とやれる気がするの』
私は頭上に挙げた右手を前に構える
それに合わせ、隕石はスペクトラの真上に落ちる
その時の衝撃による風圧は凄いが……隕石はヒビも入らずその場に残る
『……よし』
その直後、私の周りに浮かんでいた何かは消える
だが、それが私の中に入って行くのがわかる
それと同時にリナリアが涙目で私に駆け寄り
その後ろを微笑みながら歩いてくるロイ君に微笑む




