-第38-20盤の悪魔
そして森を抜けたロイ達がエレベーターに戻ると扉が開き中に入る
するとエレベーターの扉が閉まり、上へ上がっていく
その最中、ロイは本を空白のページをペラペラ捲る
それに気づいたリナリアがロイに話かける
「……どうしました?」
「いや、なんでもない」
「そうですか?」
『……だいぶ使ったな、最後まで持ってくれればいいが……』
リナリアが首を傾げている中、エレベーターは突然止まり扉が開く
その開いた扉を出て、ロイ達は外に出ると……
目の前には悪魔達の屍の山の上に、女悪魔が欠伸をしているが
ロイに気づいいた女悪魔は笑顔で飛び上がり、ロイの目の前に来る
「ロイ様? 久しぶりね」
「……まさか、スペクトラか?」
「そ、スペクトラだよ、今はここで上に行く人を止める仕事をしてるの」
「……楽しいか?」
「うん、すっごく楽しいよ」
その外見は幼く、ミミリアと同じぐらいと言ってもいいぐらいの身長
だが、違う所はある……それは背中に5枚の羽根が羽ばたている事
「ロイ様、この子……この方は?」
「こいつはスペクトラ、一応俺の部下だ」
「部下じゃなくて私のお兄ちゃんだよね」
「違う」
「そうなんですか?!」
「……だから違う、単に俺になっついてるだけだ」
「……なるほど」
しかし、スペクトラは笑顔で話をしているが
その周囲からは殺意が充満しているのがわかる
「ねぇ、ロイ様……その周囲にいる女悪魔はロイ様の何?」
「ん? こいつらは今の俺の……仲間だ」
「ふーん……私は違うの?」
「違うな、スペクトラ、お前は現魔王の部下だろ?
俺はもう魔王じゃないから……スペクトラとは友人ぐらいだろ」
「えーと……ロイ様は今は敵って事?」
「……そうだな」
「じゃあ……遊ぼう? 私が満足したら上に行っていいよ
でも、つまらなかったらこの人達みたく山の仲間入り」
スペクトラは笑顔で言う
ロイを慕ってはいるが、その感情は子供
ロイの周囲にいる女が気に入らないのと、友人扱いされた事に
先程からさらに濃い殺意と殺気がリナリアとリーナを刺す
しかし、リナリアの肩にいるイミィとミミリアに興味がないのか無視している
「……ロイ君、私が遊んできていい?」
「ああ、いいぞ」
リーナの表情を一瞬見たロイはその言葉に頷く
そして、リーナがロイ達の一歩前に出るとスペクトラがリーナに話かける
「……私の遊び相手?」
「ええ、そうよ……楽しく遊びましょ」
お互い笑顔のまま、殺気全開なのが周囲から見てわかる
しかし、そんな事を気にせずリナリアはロイに話かける
「リーナは大丈夫なんですか?」
「大丈夫だろ……たぶんな」
「たぶんって……」
「自信満々の顔だったからな」
「あの人は何時でも自信満々ですよ……
でも、あの子……スペクトラは一体?」
「あいつは元々魔王城ではなく前線にいたんだ」
「前線ってあの……人間と睨み合いをしていた砦ですか?」
「今はどうなってるか知らないが……
あの時、スペクトラは人の山を作るほど殺していた」
「あんな小さな子が……」
「小さいって言っても、力だけならリナリア、リーナを超えている
体系的な物を全て力に具現かしたような子だからな」
「……リーナは勝てるんですか?」
「さぁな……見てればわかるはずだ」
「は……はぁ」
リナリアのロイの言葉に頷くがどこか納得していない
話を聴いたかぎり、スペクトラと言う悪魔の強さは凄い
今目の前にも悪魔の骸の山があるのだから
そんな悪魔に4枚羽のリーナが勝てるとは思えない




