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-第37-魔槍

「どうした?」


ロイの声にリナリアとリーナは腕を掴んだまま離さず

目の前の森林を見ている

そして、数分後……リナリアがリーナに話かける


「やっぱり……何かいるわね」


「ええ、黒い人と魔物が数十匹

 きっと、ロイ君が森の中に入った時襲う気だったのね」


「……小賢しい、リーナ……焼き払うわよ」


「まかせておいて」


そういうとロイを掴んでいた手を離し

ロイを自分達の後ろをやると、2人同時に詠唱を始める

それは、真横で詠唱しているのに関わらず

お互いの詠唱が被る事はなく、まるでお互いに詠唱の言葉を遮ってるように見える


『我は極炎……目の前の敵を焼き払う者なり

 火の精霊、炎の精霊……我に力を貸せ』


『紅蓮は赤、全てを包み全てを蹴散らせ

 我の道の阻む者を業火に包め』


『フレイム・トルネード!』

『エクスプロージョン・バースト!』


「フレイム・トルネード」

火の魔法の1つ、火炎を竜巻にし周囲を焼き払う

その竜巻に触れた者は炎に包まれ、黒焦げとなる


「エクスプロージョン・バースト」

従来のエクスプロージョンの強化系

炎を収縮する部分を1段階多く収縮する事で爆発力を高めた一撃


その2つの魔法がまるで同じ魔法のように同じ場所で発動すると

一瞬にして目の前に閃光が走る

その直後、凄い音と共に……目の前は森林は焼け野原になる


「リナリア、やりすぎよ……一応私は手加減したんだけど」


「私も手加減した……本気はだしてないわよ」


「……本気ねぇ」


リーナの苦笑を余所にリナリアはロイに近づくと笑顔で言う


「さぁ、奥に向かいましょ」


「あ……ああ」


ロイ達は焼けた森を進んでいく

その最中、木の黒焦げになった悪魔や魔物の死骸を見るが

そんな事を気にせず、城の前まで来ると入口でフィンラッドが笑っている


「ははははは、素晴らしい、まさか森を焼き払うとは」


しかし、その言葉に誰1人として声をかけない

味方があれだけ死んだと言うのに、平然とした顔を笑っている

その笑いはまるで狂気のようにも見える

そんなフィンラッドを見たミミリアは半歩後ろに下がり

イミィはリナリアの抱き付いている

だが、ロイはフィンラッドの前に本を持ち立つと話かける


「……相手してくれるんだろ?」


「ははは、ん? ああ、そうだったね、では死ね」


その瞬間、フィンラッドは右手人差し指をロイに抜けると魔弾を放つ

その速度は音を超えて速さ、だが、当たったはずのロイは平然な顔をしている

その光景は周囲にいた者以外にもフィンラッドを驚かす


「……何をした」


「何ってそんな事をわからないのか

 まぁ、いい……今度は俺の番だな」


その言葉と共にロイは姿を消す

まるで、その場から消えたようなロイの姿はない


「はっ……口だけで逃げ出したぞ、お前らの男は」


フィンラッドはリーナを見ながら鼻で笑い言う

しかし、その言葉にリナリアとリーナは微笑みながら言った後

2人は怯えているミミリアを両脇から掴むと連れて行く


「リナリア、離れていましょ」


「ええ、そうね」


その直後、フィンラッドの背後の爆発が起きる

その衝撃を浴びながらフィンラッドは舌打ちをし、後ろを見るがロイはいない


「……なんだ?」


しかし、ロイの姿、そして気配するならない

フィンラッドは慌てて周囲を見回すがロイの姿はない


『……あいつ、どこから? ……ああ、なるほど、冷静に考えればいい

 空間に逃げ込んだのか……ならば引っ張り出せばいいだけだ』


フィンラッドは詠唱を始める

しかし、詠唱を始めた直後、フィンラッドの周囲に紫の槍が降り注ぐ

それを見ながらフィンラッドは詠唱を続ける


『当たらなければ問題ない、詠唱を終わらせる』


「やめとけばよかったのに」


「リナリア……あれを知ってるの?」


「元々は私の魔法よ、私が知ってて当然」


「じゃあロイ君が姿を消したのも?」


「ええ、ただあれは私の魔空間じゃなくて本の魔空間も使ってる」


「2つの魔空間を飛んでいるって事……そんな芸当……」


「ロイ様ですから」


リナリアの笑顔に何故か納得したリーナは怯えているミミリアを抱きしめ

ロイの方を見ると、ミミリアに話かける


「大丈夫よ、ロイ君があんな奴倒してくれるから」


その言葉の直後、詠唱を終えたフィンラッドは大声で言う


「終わらせてやる! デス・ハンド!」


フィンラッドの足元から紫の手が無数にも出てくる

だが、その手達は何もなかったように消え去る


「……終わったわね」


リナリアの独り言にフィンラッドの足元には紫の槍を囲むように魔法陣が展開

そして、その魔法陣が光りだす……


「ふん、たかが……なっ……動けない?!」


フィンラッドはまるで何かに縛られたようにその場で地団駄をしている

その頭上……空にはどこからか現れたロイが黒い大きな槍を構えている


「リーナ」


「何?」


「許嫁さん、死ぬわよ」


「別にいいわよ、あんな奴死んだ方がマシ」


リナリアは横目でリーナの顔を見ると微笑んでいた

その顔はまるで……殺意の笑顔にリナリアは見えた


「終わりにするぞ、フィンラッド

 全てを貫け……!」


ロイの手から放たれた槍はフィンラッドの頭上から振る

その速さは速く、フィンラッドは咄嗟に魔法の盾を構えるがそれを貫通し

心臓を貫くと……魔法陣はさらに輝き、周囲の紫の槍が意志のあるように

動き出し、その全てがフィンラッドを貫く


「ぐ……貴様……この僕を殺して……どうなるか……」


「知らん、お前自身なんてたかが貴族の1匹だ

 今まで弄んで来た者達に比べれば安い、あとこれはおまけだ」


フィンラッドの顔を見ながらロイは右手を構えると闇の魔力が手に収縮する

それを無言でフィンラッドの城に放つとその衝撃で城は吹き飛ぶ

その城の中には誰もいず、フィンラッド1人で住んでいたのだろう


「……お前……悪魔だな」


「元々魔王だ」


「はっ……冗談もほどほどにしろ……よ」


そう言うとフィンラッドはその場だらんと体を下げる

血だらけの姿……その口がもう一度開くことはない

そんなフィンラッドに近寄ったロイはフィンラッドの開きぱなっしの眼を閉じる

するとフィンラッドの体は空気に消え、その場には何も残らなかった


「リナリア悪いな、こんな事につかって……」


「いいえ、全然構いません、と言うかあれを1人で全てやってのけた

 ロイ様に惚れ直しました、さすがロイ様です」


「ねぇ……リナリア」


「何? リーナ」


「あの魔法はなんだったの?」


死んだフィンラッドの方を見ながら真面目な顔でリナリアに話かける

その表情に気づいたリナリアはロイから手を離すと説明を始める


「あれは元々、誰かとやる魔法

 1人が紫の槍の詠唱し、1人が黒い槍を構える

 魔空間で移動する芸当は私の中にはないわよ」


「……なんでそんな魔法を考えたの?」


「考えたのはロイ様が魔王の時

 使う事はなかったんだけどね」


「あれがあんたの一番強い魔法?」


「違うわよ」


「そ……ならフィンラッドは所詮その程度だったって事ね」


「そうね」


リーナは一瞬両目を閉じ微笑むと直ぐに笑顔に戻り

元来た森の方へ歩き出す

それの後ろを歩きながらリナリアはミミリアの手を取り歩きロイに話かける


「……あれでよかったんですよね?」


「ああ、あいつは生き残らせる訳にはいかない

 現魔王がどう考えているか知らないが……仲間を侮辱する奴は許さない」


「……ですね、でもリーナはどうして微笑んでいたのか未だにわかりません」


「嫌いだったんじゃないか?」


「許嫁をですか?」


「そんなもんだ……まぁ、本人が満足してるならそれでいいさ」


「はい、ロイ様がそう言うならそういう事にしときます」

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