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-第33-決着-リナリアの思考

私を庇い、吹き飛ばされたロイ様を見た瞬間

私の中の何かが爆発し……それから何が起こったのかわからない


わかることはロイ様が倒された事による『何か』が私の中で暴発した

それは封印されていた物でもなく、私自身が持っている力

だけど、その力が常に開放されているような実感はない


もちろん、ロイ様が魔王と言う職に戻るに当たって協力するための上層上り

その最中、私は一度足りても手を抜いたり、ロイ様に合わせようと意識はなかった

しかし

現に今……目の前に起こった光景は明らかに逸脱しているのは誰が見てもわかる、私に掴まれ苦しんでいる女性、遠くに吹き飛ばされ起き上ってこない男性


だけど、その苦しめている女性を掴んでいる手を緩める事はできない

できないと言うより……する気がないと言った方が正しいのかもしれない

そんな気持ちの中、リーナが慌てた様子で私を羽交い絞めした所で私は正気に戻る


「……リーナ?」


「え、ええ……そうよ、私がわかるのね?」


「もちろんよ、何を言ってるの?」


「……そ、よかった」


リーナの安心した顔に私は何がよかったのか理解できないが

闘技場の外で歓声ではなく、暴言が飛び交っているのはわかる

でも……私の体は思うように動かない

力を使い果たしたのか、集中力が切れたのか歩くのがやっと……

でも、壁に寄りかかり倒れているロイ様を見るとその足は動く

どんなに痛く苦しくても、私を庇って守ってくれた人の元へ駆け寄る


「ロイ様っ!」


その行動をリーナは私の後ろをゆっくりと歩き、何も言わず付いてくる

そのリーナの近くをイミィリアが心配そうに飛んでいるがミミリアはいない


「ロイ様っ、ロイ様っ」


「……っ、リナリア?」


「大丈夫ですか?! どこも怪我してませんか?」


「あ……ああ、さすが火球の直撃は耐えれなかった、悪いな」


「そんな事ないです」


「……そう言って貰えるのは嬉しいがそろそろ離してくれないか?」


「え?」


ロイ様を抱きしめたままの私は慌てて両手を離し、左右に首を振ると

左側からはリーナとイミィリアが微笑みながら私を見

右側からは呆れた顔の座り込んでいる相手の男女

それを見て顔が火照った気がした私は慌てて両手で顔を隠す

すると、ロイ様がゆっくりと立ち上がり、私の頭に手を置くと笑顔で言ってくれる


「さすが、リナリアだ……勝ったみたいだな」


「……え?」


「この歓声を聴けばわかるさ」


ロイ様は闘技場の空を見ながら言う

それに耳を傾けると明らかに私達が勝った事による暴言が飛んでいる

それを『勝った』と思うロイ様は凄いと私は何故か感心してしまう


「勝ったわよ、だから勝者がいつまでも座ってるんじゃないわよ」


リーナはそう言いながら座り込んでいる私に右手を伸ばす

その反対側でロイ様が左手を伸ばす

私はその両手を取り、立ち上がると司会の男性が空気を読んでいたのか

一息付くと大声で宣言する


「勝者! ロイとリナリア!」


だが、その言葉に喜びの声をあげる者はいず

今にも暴動が起きるようなそんな空気が響き渡る


「これはやばいわね」


「ああ」


どうしましょう、ロイ様」


私は慌てた感じでロイ様の顔を見ると、ロイ様は闘技場の外で手招きしている

ミミリアの顔を見て指をさし、『いくぞ』と私達に声をかける

それに従いミミリアの近くに行くと

男女問わずのガタイの良い悪魔達がエレベーターまでの1本道を作ってくれる

しかも、観客らしき悪魔達から私達に通さないよう武器を構えている


「なにこれ……」


「ん? ちょっとね、お金のばら撒いただけ」


「あんたまさか……ここまで予測して」


「まっさかー、私は遊んでいただけだもん」


リーナとミミリアの会話を横で立ち聞きしていると

道を作っている男性が私達に叫ぶ


「さぁ、速く行きな! 金の分の働きはしてやる

 誰1人、ここを通らせねぇよ」


その言葉に道を作っている男女が頷きながら武器を構え周囲を威圧している

それに従い、できた道をロイ様達と駆け抜ける

そして、エレベーターによると扉が閉まり上へ登っていく


「次は30盤か……そろそろ疲れてきたな」


「30盤……何かあったような」


「何か? 何があるんだ?」


「ごめん、思い出せない」


リーナとロイ様のやり取りをエレベーターの壁に寄りかかり見ていると

ミミリアが狭い中、私の隣に来て小さな声で言う


「……おつかれ、これは私からの餞別」


そういうとミミリアは私にリンゴを1つ渡す

それは傍から見るとたたの赤いリンゴ

でも、私達魔法をが使える者からそれを見ると薄い緑色


『これって……魔力回復の……?』


薄い緑色のリンゴを両手で持ち、小さく少しだけかじると

その味と共に体の魔力がほんの少し回復した気になる


『やっぱり……でもこれ、高級品じゃ』


そう思いながら隣のミミリアを見ると

何も言わずウインクを私にする……私はそれに微笑み

肩で心配そうに私の顔を見ているイミィリアにもリンゴを食べさせながら

私もリンゴをかじりながらロイ様の顔を見ている

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