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-第30-ミミリアとリーナ

しかし、ロイとリナリアの第2回戦は相手側の不戦勝により終わった

その理由は先程の第1回戦、それを見て勝てないと思ったのだろう

しかも、3戦目、4戦目共にロイ達の圧勝で終わると言う

闘技場の賭博崩しを行い続けた結果……会場は騒ぎになっていた


「さっさと負けろ!」


「そうよ! そうよ! 私の賭けた金返せ!」


ロイ達が勝つと思わず、その逆に賭けていた者達のブーイングが

闘技場の外のモニターを前に叫ばれている

だが、そんな中……1人だけ笑顔の者がいる


「ふふふ」


「ミミリア……あんた……また」


「その通り、あの馬鹿な賭博の男、ロイ達の強さ知らないから

 毎回ロイ達の倍率を馬鹿みたいにあげるんだよ」


普通……冷静に考えるのあれば、ロイ達の強さを考慮して

レートを変える必要は少なからずあった

しかし、この闘技場に長年いる者ほど

ここに長くいる者が強いと言う思い込みが頭の中に残っていた

だからこそ、賭博を管理していた男はロイ達のレートを弄らず

その相手側のレートを上げ、ロイ達が負けると予想したのだ


だが……結果はロイ達の圧勝が続き

その反対に賭けた者達は眼を血走らせモニターを見つめる

この闘技場には暗黙のルールが1つあった

それをロイ達が知るよしはない

それは……賭博で賭けた場合、賭博側に責任はなく

賭けた本人が全て悪い、だからこそ、賭博の男は平然とした顔で次の賭けを始める

もちろん……今度もロイ達が負けると予想し、相手側のレートが高い

今までを考慮するのならロイ達に賭けた方が金も高く良いのだが

ここにいる者はそれを考えない

今まで見てきた闘技場の先任の者の強さを少なからず知っているから……

だから、ロイ達に賭ける者は何時までも1人しかいない


「ね?」


「ね? じゃなくて……他の奴らが馬鹿なだけでしょ」


「そうだね……まぁ、脳にこびりついた情報だけを頼りで

 他を考えようとしない、お子様な考え……」


「その身長で言われても、子供が大人を馬鹿にしてるようにしか……」


「それで良いと思うよ、子供だと思ってれば油断はいくらでも生まれるからね」


ミミリアは舌を少しだし、リーナの顔を見ながら笑顔を浮かべる

それを呆れ顔で溜息を付き……今度はミミリアと一緒に賭博の所まで行く

しかし、その場所は込み合いもあるが、殺伐としていた


「今度は負けねぇよな! あいつ等が負けるわけない!」


「そうだな! あんな新人如きに負けるわけねぇよ」


そんな怒号が騒がれている

それを気にせず、人混みに当たる事なく……2人は賭博の男の所まで行く

するとミミリアはリーナを片手で呼び

リーナが腰を下げると耳元でミミリアが喋りだす


「ねぇ、今から私の言う通りに合わせて……いい?」


「別にいいわよ?」


その後、ミミリアはリーナに何かを話した後、笑顔で目の前の男に向けて話す


「ねぇねぇ!」


「なんだ? ここはガキがくる所じゃねぇぞ」


『さっきまで来てたよ、ばーか』


「えとね、お母さんにやっていいよって言われたから来たの」


そう言いながらミミリアは少し後ろにいるリーナの方を向く

すると、リーナは両手を前で組み、軽く丁寧にお辞儀をする

その外見はリーナを知らない者からすれば綺麗な女性に見える


「なるほど……で、どっちに賭けるんだ?」


「えっとね、こっち!」


ミミリアが指さした先はロイ達の方

しかし、賭博の男性は微笑みながらミミリアに言う


「そっちはやめときな、お母さんに悪いからこっちにしとけ」


チラチラとリーナの方を見ながら男性は笑顔で言う

それには下心があるのか、勝てる方を教えているように見える

だが……ミミリアはそれを聴かず笑顔でお金をロイ達の方へ置く

その額は今まで賭けてきたお金全て、それを見て、男性は驚く

しかし……リーナの方を見ると一人で勝手に頷く

多分だが、リーナがお金持ちのご令嬢にでも見えたのだろう……

それを確認すると

ミミリアはわざとらしく子供のようにリーナに駆け寄り手を握る

そして……その場を離れるとリーナから手を離し笑顔を浮かべる


「上手くいった」


「……何がしたかったのよ」


『言われた通りにお願い』

そう言われたリーナは言われた通り、その場に残り清楚な振りをしただけである

ただ……ミミリアの母親にされた事は知らない

その動作だけして、後はミミリアが戻ってきたらその手を握り笑顔で歩けばいいと


「まぁ……簡単な方法だよ」


「……私は賭け事はあんまり好きじゃないけど、あんたは好きみたいね」


「うん、人間の住んでいる場所にも賭博……カジノがあるんだよ」


「へぇ」


「そこで遊んでいた時に『いろいろ』身に着けてね

 それが今の私を生んでるって事!」


ミミリアは両手を腰に当て、威張るような素振りをする

しかし、賭博場は一向に収まることなく

ミミリアが賭けたお金に見向きする者は1人たりともいない

その理由は『所詮、子供の戯言』だからである

もちろん、ちゃんとした男性なり女性が理由が合ってロイに賭けるのなら

それに便乗する輩がでてくるのだが、ミミリアが子供の振りをして

行った行為に見向きはしても、子供の遊び事程度に思ったのだろう


「ま……今回『も』ロイ達が勝つよ」


「そうね」


その言葉通り……数分後

司会の男性が叫ぶ


「準決勝……勝者! ロイとリナリア!」

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