-第29-開幕-
「おいおい……ナヨナヨした男と可愛くない女かよ」
「そんなはっきり言っちゃだめよ、本当の事なんだから」
相手の男女の悪魔は体に筋肉が付いており
持っている武器も大型の斧とハルバード
見た目『だけ』で言えばロイとリナリアに分はない
「さぁ、やってまいりました、闘技場第1回戦!」
司会の男悪魔が空中で飛びながら叫びだす
開始の合図もこの悪魔がやるためか
相手の悪魔達は司会方を見ながら微笑んでいる
「なんと、この1回戦のお互いの賭けは
100倍と1倍、これはお笑いだっ
優勝までは行かなくてハルバードと斧の組み合わせは一級
対して対戦者は何も持っていない!」
その司会の言葉を闘技場の外の魔法モニターで観客見笑っている
魔法モニターは闘技場専用の物で、空中に浮かんでおり
その画面からは闘技場の内部と、司会の言葉が聴こえる
「……ロイ様、ここは私が」
明らかにイラついた表情で1歩前にでると
司会の悪魔が空中から微笑みながら言う
「あっと、ルールも知らないのかい?
ここのペアバトルは2人とも攻撃しないといけないルール
片方だけとかずる賢い手は禁止だぜ?」
その言葉にリナリアが司会の悪魔を睨むと
少しだけ怯えた表情し、直ぐに笑顔に戻るとまた叫ぶ
「さて、お待ちの皆さん、第1回戦の開幕だ!」
その言葉と同時に相手の女悪魔がハルバードを持ち走りながら叫ぶと
ハルバートをリナリア目がけ振り下ろす
「そこをどいて頂戴!」
しかし、その攻撃はリナリアの片手によって掴まれる
しかも……リナリア自身、余裕の表情でロイに話かけている
「ロイ様、この人弱いですよ……」
「こっこの……!」
女悪魔がリナリアからハルバードを取り返そうとする
しかし、リナリアが少しの力を加えるとそのハルバードの先体は粉々になり
それに怯えた女悪魔を余所にリナリアは腹を蹴り飛ばす
「ロイ様、では後はお願いします」
「……こんな所で使いたくはなかったのだが」
「てめぇ! ぜってい許さねぇ!」
相手の男悪魔は斧を持ち、ロイに向かって走る
しかしその足は遅く、大型の斧を使いきれていない
「フレイム・インパクト」
ロイは本を開くと杖が出現し、それを掴むと
欠伸をしながら魔法を放つ
その魔法は炎の丸い塊
その魔法を相手の男性が大型の斧で受け止めるが耐えきれず壁に叩きつけられ
起き上ってくる様子はない
「……雑魚だな」
「はい、雑魚ですね」
「しょ……勝者! えっと……ロイとリナリア!」
司会の悪魔はロイ達に興味がなかったのか
慌てた様子でトーナメント表らしき紙を見、ロイ達の名前を叫ぶ
すると闘技場の外からブーイングが起きる中
1人だけそれに大喜びしている者がいる
「やったっ」
「そんなに喜ぶ事?」
闘技場の外でモニターを見ながら喜んでいるミミリアに
リーナは腕を組んだまま話かける
「だって100倍だよ? お金いっぱいじゃん」
「まさかあんた……賭けてたの?」
「うん、ロイとリナリアがあんなのに負けるわけないじゃん」
「……たしかにそうだけど」
「じゃあ、私はお金貰ってくるね」
そう言うとミミリアは賭けをするために渡したお金を回収するため
闘技場の端にある『賭博』と書かれている場所に走っていく
それを溜息を付きながら見送った後、司会の男性が叫ぶ
「さぁ、続いて第2回戦!」




