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-第18-読みあいのカード

「そういえば……」


「どうしたのよ?」


リナリアの突然な言葉に反応したリーナは首を傾げながら聴き返す


「ミミリアはどこに?」


「……は?」


「エレベーターの中まではたしかに私が持っていたはず……」


「その後は?」


「……覚えてません」


「まぁ、どこかにいるでしょ」


「……そうですね」


その頃、ミミリアは70盤のカジノにいた


「ふふ、エレベーターが付いた直後

 あのサキュバスで私から目線が外れたお陰で私はここにいる」


ロイ達がサキュバスに気を引かれている間に

目が覚めたミミリアは一番初めに70盤の扉の開き中に入った


『人間達もカジノ好きだったし、魔人達も変わらないって事ね

 まぁ、私は魔法でイカサマをすればいいだけ……ふふ』


そう思いながらミミリアは魔法を使おうとしたが

その魔法は発動せず……魔法陣すら展開されない


『……チッ、ここじゃ魔法使えないのね』


舌打ちするようにカジノの中を見て回るミミリアは

ある物に足をぶつけ、その足をぶつけた物を拾い上げる


「これ……コイン?」


カジノで賭けをするために使う1コイン

誰かが落としたそれを拾ったミミリアはそれを懐に隠した


『落とした方が悪いってことで』


少し微笑んだ後、ミミリアはある場所で足を止めた

そこはディーラーとプレイヤーの1対1のカードゲーム

それを眺めながら……ミミリアはルールを覚える


カードの種類は2種類、『悪魔』と『人間』

最初に山札30枚から5枚引き、同時にカードを伏せる

伏せる枚数は何枚でもありで、表にするのは悪魔なら1枚、人間なら2枚

悪魔は人間に強く、人間2枚なら悪魔よりも強い

そして、またやる場合は残りの山札から5枚になるようにカードを引く


『簡単そうだけど、あの男のディーラー……上手かも』


プレイヤー側の男性は2枚を場に伏せる

一方、ディーラー側の男性は2枚だけ伏せる


「では、オープン」


ディーラーの言葉にテーブルは光りだす

するとプレイヤー側の2枚がオープンされる、それは『悪魔』2枚

一方、ディーラー側のカードも2枚オープンされ、それは『人間』


「私の勝ちですね」


「ちっ、運がいいな」


コインをテーブルに叩きつけたプレイヤー側の男性はどこかへ行ってしまう

するとディーラーの男性は周囲で見ていた悪魔達に声をかける


「さぁ、次に運を試すのはどなたですか?

 勝てば持っているコインは5倍、負ければ持ってるコイン全て回収」


『どうせ拾い物だし』


ミミリアはディーラーの前に立つ

するとディーラーの男性は微笑みながら驚いた表情でミミリアに話かける


「おや、お嬢さんが私の相手ですか……親の許可はありますか?」


その言葉に周囲の観客の悪魔は笑い出す

しかし、ミミリアはディーラーに微笑み返すと笑顔で言う


「大丈夫、ちゃんと許可はあるよ、コイン1枚でもいいんだよね?」


「もちろん、1枚から大歓迎ですよ

 ではデッキを切らせて貰いますね」


「待って、私に切らせて」


「……いいですよ」


ミミリアは30枚のデッキを手に持ち、1枚ずつテーブル5方向にばら撒いていく

それを6回繰り返した後、バラバラに重ねると1枚ずつ1枚ずつ

ゆっくりと30枚のデッキを切っていく

その光景を微笑んだまま見ていた男性は

切り終えたのを確認すると手を差し出す


「満足しました?」


「うん、じゃあ配るね」


「……は? 配るのまでプレイヤー様にやらせるのは失礼です」


「別にいいよ、はい、どうぞ……」


「……わかりました」


ミミリアは一枚ずつ交互に配り、お互いが5枚になるとデッキを真ん中に置く

そしてミミリアは自分の目の前のカード5枚を見る

左から『悪魔』『悪魔』『人間』『悪魔』『悪魔』


『なるほど……あれだけ切って人間1枚

 あのデッキは悪魔が多いかな?』


「さて、では……始めましょうか、私は4枚伏せますね」


ディーラーの男性は4枚を場に伏せ、1枚を手元に持つ

それを見ながらミミリアは考える


『あれは確定で人間、人間が余分にあったとしても

 2枚しか置けない、他は悪魔って事になる

 だけど……私は1回限りの勝負、負けれない』


「ねぇ、お兄さん」


「なんでしょう?」


「さっきのプレイヤー側の人、あれ、わざと負けたよね?」


「……違いますよ」


「だってプレイヤー側の人の手札、2枚以外全部『人間』だったもん」


「それは読みあいの問題では?」


「……だってさ、負けたら全額回収なのに負けてどうするのさ」


「あの方は私が悪魔を出すと思ったのでは?」


「……なるほど」


『……ディーラーの人、言ってる事、可笑しいでしょ

 ディーラーが悪魔を出すと思うのなら人間を2枚だせば確定

 しかも、ディーラー側は2枚だけだった、それなのに悪魔2枚って可笑しすぎ』


そう、ミミリアはプレイヤーが男性だった時

手札を覗き見ていた、それは別に違反行為でもなんでもなく

後ろにいるのだから、見えてしまう

けど……それがわかっていてルールも覚えていれば

男性の行った行為は明らかに可笑しい


「さて、お話は満足しましたか?

 あなたの手札を置いてください」


「うん」


ミミリアが場に置いたのは2枚

それに少しだけ眉を動かしたディーラーをミミリアは見逃さなかった


「……私の勝ちかな」


「……ではオープン」


テーブルが光、お互いの手札がオープンされる

すると……ミミリア側は悪魔2枚、ディーラー側は悪魔4枚


「残念、引き分けだったね」


「……そうですね、次いきましょうか」


そういうと場に置かれたカードを端に寄せ

デッキから交互にカードを引く

そして……ミミリアの手札は左から

『人間』『悪魔』『人間』『悪魔』『悪魔』


『さて、どうしようかな』


ミミリアはディーラーの男性の顔を見て微笑むと

ディーラーの男性もそれに微笑み返す

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