-第15-思考の差
『でも……リーナの力を借りてるのなら蒼色の武器がでるはず
なのに……今のロイ様にそれはない……一体どういう事?』
リナリアが両腕を組み直し、考える
しかし、目の前にいるロイは本が消え、両腕は空っぽの素手である
『……だけど、先程の力はリーナの物……』
そこでリナリアは気付いた
ロイの両腕の拳に薄く透明に近い手甲があることに
『なるほど……見えにくい武器……リーナらしい』
リナリアが呆れた顔でリーナの方を見るとリーナは首を傾げ
ロイの様子を見ている、それを両目を瞑り、口元だけ笑うと
リナリアはその説明をせず、ロイの方を見直す
「……なるほど、羽なしでも多少は力があるようだな」
「……せっ!」
ロイはヘイムの言葉を聴かず、殴りかかる
それを間一髪かわしたヘイムは驚きながら言う
「おいおい、人の話を……聴け!」
ヘイムはロイの攻撃をかわしながらロイに話かける
しかし……それを無視するかのようにロイはヘイムに殴りかかる
「……ったく、なら俺も本気でいくぜ」
ヘイムはロイと距離を取るためにある程度離れた位置に飛び退く
そして両手を握りしめる……少しすると両手を離す
すると両手の間から真紅の剣が現れる
「……あれはゲベナントブレード?」
リーナはその真紅の剣を見ると驚いている
リナリアはその剣の事がわからずリーナに聴く
「ねぇ、あの剣は何?」
「……あー、リナリアとロイ君は知らないかもね
あの剣は現魔王が作った剣だから……」
『ゲベナントブレード』
現魔王が作り上げた魔剣の1つ
見た目は柄の先、剣の先端は二又に別れている
その色は真紅
「でも……ただの剣に見えるけど」
「一応あれも魔剣、低下級でも使えるようにした魔剣」
「それ魔剣じゃなくて……ただの劣化武器じゃ……」
「まぁ、それでも多少なりとも強い攻撃はできるから魔剣なのよ」
リーナがリナリアにそう言い、前を向きロイの方を見ると
リナリナもそれに習い、ロイの方を見る
「……ロイ、一撃で死ぬなよ」
ヘイムが剣を両手で構え、ロイに向かって叩き下ろす
それをロイが両腕で受け止める
その時、ヘイムの剣に赤い魔法陣が展開されていく……
「……じゃあな、ロイ」
その瞬間、ヘイムは剣から手を離し後ろに飛び退くと
その魔法陣がロイを捕縛して大爆発を起こす
「ロイ様っ!」
リナリアが叫び、ロイの位置に走ろうとした時
リーナがそれを止める
「……まだ終わってないわよ」
リーナの言葉にリナリアがロイのいた位置を見ると
大爆発の煙が明けた場所でロイは平然とした顔で服についた塵を払っていた
「……ロイ、お前……何をした?」
「……別に何も?」
「そうかい、なら……もう一度防いで見ろっ!」
ヘイムは右手を何もない場所に差し出すと
その位置に先程の魔剣が現れる
そしてそれを両手で持ち……ロイに斬りかかる
それを先程と同じようにロイが両腕で受け止める
「……今度は逃がさない」
ヘイムは剣から魔法陣が展開されたと同時に
少し後ろに飛び退き、両手を魔法陣を描く
「最速で跳びな……イクスピアライン」
『イクスピアライン』
雷魔法の初歩的な魔法の1つ
ただし、詠唱の速さから敵を妨害する魔法として
上級の者でも使う事がある魔法
その速さと魔法陣展開と同時にでる雷は一直線に相手を貫く
だが……その雷がロイを捉えるがロイの体に当たる事なく弾け飛ぶ
「……?!」
「そーいうこと」
ヘイムが驚いているのを余所にリーナは一人頷く
それに気づいたリナリアは顔をリーナに向けず、話かける
「……何かわかったの?」
「あら? リナリアはわからなかったの?」
「……」
「まぁ、いいわ、優しいお姉ちゃんが教えてあげる」
「……優しい?」
「ロイ君があの攻撃を防いでいるのは『アンチブレイク』
と言う魔法の1つ、ただ……それを使うには触媒が必要で……」
「……どこにそんな触媒があるのよ」
「さ、さぁ?」
「はぁ……あれはアンチブレイクじゃなくて
属性に属性をぶつけて相殺して消してるのよ」
「……雷には雷はわかるけど、あの爆発は?」
「火でしょ、エクスプロージョンと同じ原理」
「あっ、なるほど」
リーナは頷き、納得したように言う
それを呆れた顔を見たリナリアはロイを見る
するとその光景はリナリアの想像した通り
肩を払いながら余裕の表情を浮かべているロイがいる
「……なんなんだよっ、お前は!」
ヘイムはまた同じように剣をだしロイに突撃する
それを呆れた顔で溜息をつくとヘイムの剣に合わせ、右手を伸ばす
そして剣を掴む……すると剣から魔法陣が展開される
だが……その瞬間、ロイは左手を構え剣を殴る
すると……魔剣は音をたてて砕け散る
「……脆いな」
「魔剣を砕く……だと」
「そりゃあ何度も何度も使えば脆くなるだろ、そんな出来損ないの魔剣じゃ」
「……ちっ、なら」
ヘイムが後ろに飛び退き、魔法の詠唱を始める
だがロイはその場から動かず……魔法陣を展開させると魔法を放つ
「イクスピアライン」
その雷は慌てて魔法を唱えているヘイムを貫くとヘイムはその場に倒れる
「……まったく、そんなんだから何時までたっても2枚羽なんだよ」
ロイが両手を下に下げると……透明な手甲は何もなかったように消える




