-第13-リナリアvsミミリア
「その程度っ!」
ミミリアは頭上から振ってくる雷を両腕をクロスに構え防ぐ
しかしそれを見たリナリアはクスクスと笑いながら後ろに飛び退くと
また同じように詠唱を始める
『何……馬鹿なの? 何度やろうとも……』
ミミリアは先程と同じようにリナリアの前までワープすると
拳を構えた直後、今度はリナリアの目の前に丸い水が現れる
それをミミリアは拳で砕く
「……ただの水? あなた私を舐めてるの?」
「そんな事はないわよ、ただ『試した』だけ」
リナリアはまた後ろに飛び退く
それを追撃するようにミミリアはリナリアの目の前にワープする
そして拳を構え、リナリアのお腹めがけ拳を伸ばす
『もらったっ!』
「……打ち砕け、サンダーエクスプロージョン」
言葉と共に拳と自分の間に雷の塊を出現させたリナリアに
ミミリアは微笑みながら拳を伸ばし言う
「……さっきの見てなかったの? そんな物!」
それを微笑みながらジャンプし空中で一回転し
少し離れた位置に着地するとリナリアは笑顔で両腕を組み言う
「知ってた? 水は電を良く通すのよ、稀に通さない水もあるけど……
でも……今のあなたじゃ無理かしらね」
その言葉と共にミミリアが打ち砕いた雷の塊は爆発する
そしてそれがミミリアに直撃する
「……その程度があなたの限界なの?」
ミミリアの周囲に風が回っており雷の爆風を防ぐと同時に
自分に付いてた水滴を風で払う
「ふふ、なるほどなるほど……」
「何が可笑しいのよ……」
「いえ、なんでもないわ、続きを始めましょう」
「……」
ミミリアは即座にリナリアに距離を詰めるためワープし
またリナリアを目の前に捉え拳を突きだす
しかし、その場にミミリアはいない
「……?!」
「ワープ、まぁ……風を利用した高速移動みたいな物よね」
ミミリアが後ろを振り向くとそこには両腕を胸付近で組んでいる
「っ!」
ミミリアは即座に振り向き、リナリアに向けて右手を伸ばす
だが……その拳はリナリアに当たらない
正確には当たっているが……片手で受け止めている
「……所詮、風魔法を拳に纏わせた初級魔法」
「……っ!」
ミミリアはリナリアから拳を引き、体を一気に下に下げると
右足を回すようにリナリアの足を払おうとする
だが……それをリナリアは右足を後ろに2歩下げて避ける
「ふぅ……あっ! 少し待って」
「は?」
リナリアはミミリアの唖然とした顔を見ながら飛び上がり
ロイがいる宿屋の部屋に空から入ると笑顔で話かける
「ロイ様っ!」
「ん?」
「あら? どうしたの?」
しかし目の前にはロイではなくリーナも一緒にいた
それを呆れた顔で見ながらリナリアはロイに話かける
「ロイ様、物理戦をやってもいいですか?」
「どうしてそんな事を俺に聴くんだ?」
「え、えーと……ほら、私って魔法型じゃないですか
だから……その……物理って女の子ぽくないかなぁって……」
「別に使ってもいいんじゃない?」
リナリアが体をモジモジとしながら言った言葉にリーナが横から言う
それを無言で睨みつけると笑顔でロイの顔を見る
それに呆れるようにロイは椅子に座ると言う
「……いいんじゃないか? 何を使おうとリナリアはリナリアだ」
「はいっ!」
「あ、ただし……一撃でもミミリアに攻撃を当てられたら
次からはリーナが俺の側近だから、それはよろしく頼む」
「あら、嬉しい」
ロイの言葉に肩を落とし、頭を下に下げたリナリアは
直ぐに飛び上がり……ミミリアの元へ行く
それを見送りながらリーナはロイに言う
「ねぇ、ロイ君、あんな事言っていいの?」
「ん? ああ、別に問題ない、と言うよりリナリアは手加減する癖があるのさ」
「手加減? あの子が?」
「ああ、自分より弱い相手に本気をだしたくないんだと」
「……あの子らしいと言うかなんというか……」
「だから、今さっきの言葉で焚き付けたのさ」
「それはいいんだけど……リナリアの相手、死なないわよね?」
「死んだらその時はその時だろ」
ロイは腕を組み、両目を瞑りながらリーナに言う
それに溜息をつくと、リーナはベットの上に座る
そして……リナリアがミミリアの前に戻る
それに呆れた顔でミミリアがリナリアに言う
「まったく……勝負を投げ出してどこいってたのよ……」
「……悪かったわね」
「……っ」
リナリアの言葉に悪寒を感じたミミリアは距離を取るため
後ろに飛び退くが……飛び退いた地点にリナリアが既にいる
「……せっ!」
リナリアの右手から放たれた掌底に黒い禍々しいオーラが付いている
それを直撃したミミリアは吹き飛ばされた地点に黒いオーラが追撃をする
その吹き飛ばれた地点をリナリアが見るとミミリアは立ち上がっている
「まだまだ……私は負けない!」
「そっ」
それだけ言うとリナリアとミミリアがその場から消える
それはミミリアの風によるワープとリナリアの黒魔法による空間移動
その2つがその場に起き、お互いが位置を特定させないほど動く
だが……ミミリアが先に何もない地面に姿を現すと右手を地面に叩きつける
その直後、風の暴風がミミリアの周囲に起きる
しかし……その暴風にリナリアは姿を現さない
「嘘……私の近くにいると思ったのに……」
「ええ、いるわよ……ずっと真後ろに」
リナリアの言葉に悪寒を感じながらミミリアが後ろを振り向くと
リナリアが掌底を構え、ミミリアのお腹目がけ掌底を浴びせる
その衝撃に周囲の暴風は消え、ミミリアは吹き飛ばされ倒れたまま起き上がらない
「はぁ……やっぱり物理戦は好きじゃないわね
ロイ様以外の体に触れたくないもの……」
そう言いながらリナリアは両手を叩くとミミリアの地点に歩いていき
倒れているミミリアは両手を持ち上げると宿屋に飛ぶ




