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-第12-互いの時間

「何? その本」


リーナはロイが手に取り広げた本を覗きこむ

しかし、そのページは空白で何も書かれていない

それに気づいたリーナは半笑いしながらロイに言う


「え? もしかしてロイ君……何か本を作ろうとしてるの?」


「……さぁ、どうだろうな」


ロイがそう言った瞬間、空白の場所に文字が浮かび上がる

その文字に何も疑問を抱かないリーナにロイは話かける


「なぁ、リーナ……少しでいい、後ろを向いてくれないか?」


「え? 別にいいけど……後ろから刺し殺したりしないでね?」


リーナは組んでいた足をやめベットに両足を乗せると

ロイに笑顔でそう言った後、体を一回転する


『しねぇよ……しても逆に殺されるだけだしな

 さて……リーナが持っている『物』は把握した』


そう心の中に思いながらロイは開いたページで魔法を詠唱する

その詠唱は極微量の魔力、それに気づく物はさほどいない

それは……その魔法を持っていたリーナでさえ気づかない


『一瞬、指輪で精製して渡せばいいと考えたが今度はリナリアが敵になる

 リーナより向こうの方が危険だしな……ここはこれか』


ロイがそう思った時、ページが破れ塵となった変わりに

それは『そこ』に残る

ブック・オブ・グリアスの能力はロイが使い手放せばそこで無くなる

しかし、リーナが持っていた『クラフト』物を精製する能力

それは……地面に落ちてる石、屋根の壊れた破片であっても

別の物に作り変える、そんな素晴らしい能力を持っていたとしても

リーナはクラフトと言う魔法を使わない

正確には細かい事が嫌いなリーナが使おうと思わない魔法の1つ

ロイはそんなリーナの中身を覗いた時に気付いた


『こんな物か』


「おい、リーナ、こっち向いていいぞ」


「はーい、で……何をしてたの?」


「これやるよ」


ロイは『それ』をリーナに投げるとリーナは両手でそれを受け取る

そして……両手で拾ったそれを見たリーナは笑顔でロイに言う


「……これ、ペンダント?」


「まぁ、そんなもんだ、俺のお手製だ、それじゃだめか?」


『元より、それでだめだったら……この本の1ページが無駄になるが』


「んーん、十分……凄く嬉しい」


リーナは紐の部分が白でタンザナイトの石が付いてるペンダントを首に付ける

それに嬉しそうに眺めながらリーナはロイに聴く


「でも……どうしてこの石を?」


「ん? あーなんとなく?」


『タンザナイト……石に込められた思いは『誇り高き人』

 リーナが何時かリナリアにそう思われる人物になってほしい

 そう思っただけ……だが、それをリーナに言うのはやめよう』


「そ、でも嬉しい……というわけでロイ君」


「ん?」


リーナはベットから足を降ろしロイに近づくと笑顔で左手の小指を出す

その光景にロイは『何をしてる?』と言った顔で見ると

リーナは笑顔でロイに喋る


「契約だよ、いちいち契約の魔法やるのは面倒し

 人間がやってた口約束を応用した契約」


「……それは、どうやればいいんだ?」


「小指だして」


ロイが右手の小指をだすとリーナはその小指に自分の小指を交差させ言う


「私、リーナ・ミルは死ぬまでロイ・ファルクといる事をここに誓う

 この契約はけして解けず……私と共にある事を誓う物とする」


その瞬間、リーナの胸付近に赤い紋章が入る

それを嬉しそうに見ながらロイに説明する


「これは契約の証、私が裏切るような事があればこの証が私を食うわね

 まぁ、簡単に言えばリナリアと同じ呪いみたいな物」


「……ミルと言う家系は随分と呪術が好きなんだな」


「そうなのかな? まぁ……これで私はロイ君の物

 リナリア共々……よろしくおねがいします」


リーナは深々とロイに頭を下げる

その言葉に『こちらこそ』と言ったロイは屋根のない空を見上げ思う


『……問題はリナリアが戻ってきた後、もう一波乱あるな』


そうロイが思った頃……外に出たリナリアとミミリアは距離を取り話をする


「……所詮はエルフ、私に勝てるとでも?」


「その慢心が自分をだめにするよ?」


その瞬間、ミミリアの金髪の髪が風に(なび)くように動く

そしてミミリアが両手を自分の胸の前に構えた時

リナリアが何かの衝撃で後ろに吹き飛ぶ


「どう? 私の『ウインドブロー』は?」


「……たいした事ないわね」


リナリアはミミリアのウインドブローを両手を自分の前でクロスし受け止めた

ただ、その反動で後ろに吹き飛んだように見えただけ……


『でも、あれは無詠唱で風の魔法を使うのはわかったけど……』


「でもね……私はこれだけじゃないんだよっ!」


その時、リナリアの位置にミミリアがまるでワープしたように現れると

ミミリアはリナリアのお腹目がけで拳を伸ばす

それを間一髪、リナリアは右手の魔法障壁で防ぐ


「……そんなの砕いてあげる!」


その言葉と共にリナリアの魔法障壁は音をたてて砕け

ミミリアの拳がリナリアに直撃しリナリアは吹き飛ばされる


「……だから、慢心するなって言ったのに」


ミミリアはその場に立ちながら吹き飛ばされたリナリアに向け言うと

それに答えるように吹き飛ばされた位置から声が聴こえる


「……そうね、でも……これで距離はできた」


リナリアは吹き飛ばされた位置から起き上がると両手を上にあげる

それに気づいたミミリアは先程と同じようワープし

ミミリアがリナリアの前に現れ拳を構え

ミミリアがリナリアの顔を見た


『え……笑ってる?!』


「残念、お見通しよ」


その言葉と共にミミリアの頭上から雷が落ちる

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