表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/46

-第1-プロローグ

『魔王』

魔界の王と呼ばれ、その地位、名誉も頗る職業

だからこそ……何時の世も……勇者の最後の敵

しかし一度『勇者』に敗れた魔王はただの魔物にまで職と地位は下がる


そんな『魔王』と呼ばれた職業……

それは『勇者』に負けた魔王達にはもう二度と手に入らない物

そんな職業をまた手に入れ……勇者の前に立ちはだかるまでの物語


「ま……さま……まお……さま……ロイ!」


「んぁ?」


ロイと呼ばれた男性は大きくも小さくもない人1人が寝れるベットの上で目を覚ますと

目の前には背中に4枚の悪魔の羽を羽ばたかせ、茶色の長い髪を右手で抑えながら上から身を下す


「……ああ、リナリアか……」


「リナリアか……じゃなくて何時まで寝てるんですか……」


「もう魔王じゃないし、何時まででもいいだろ? 

 ここは魔王城でもない、それに配下なんて1人もいないんだから……」


「いますよ、ここに」


リナリアと名乗った女性は両手を腰に当て威張るようにロイに見せる

それをロイが呆れた顔で……リナリアに言う


「……もう俺は魔王じゃないんだし、リナリアは現魔王の所に言ったほうがいいだろ?」


「現魔王? ……私が仕えるのはロイ様1人ですよ」


「……やめとけ」


「嫌です、私はロイ様に拾われてから死ぬまで仕えると決めているんですから」


ロイのベットの横でロイを見ながら喋り続ける女性

名前は『リナリア』、フルネームは『リナリア・ミル』

肌は薄ピンク色、眼の色は透けるような蒼、そして黒いドレス

髪は茶色のロング、その頭には小さい角が2つ生えて、背中には4枚の黒羽がある


「……拾った記憶はないな」


ベットの上で左手で目を覆うようにリナリアに喋りかけている男性

名前は『ロイ』、フルネームは『ロイ・ファルク』

髪は黒髪でショートカット

肌の色は白……眼を色は薄い紅色、服装は黒いコートにズボンらしき物

頭には折れた角が2本、背中に羽はない


「あります、ロイ様が魔王の時に最下層の地位にいた私を拾って『嫁』にしてくれました」


「ちょ、ちょっと待て……何時俺がお前を嫁にした?!」


ロイは慌てるように起き上がり、リナリアの前で両手を開き叫ぶ

その部屋は黒い大きな椅子が中央に1つと2人が座れるようなテーブルと木の椅子2つ

後は大きな椅子の後ろに赤い暖炉……それだけの狭い部屋


「……やっと起きましたね、さっさと朝ご飯にしますよ、あなた」


「あなたじゃない……おい、リナリア……」


ロイがリナリアに詰め寄ろうとしたその時

ロイの目の前に小さい黒い羽を2つ生やした妖精らしき小さな生き物が現れロイに言う


「私のご主人様が嫁と言ったら嫁なんだ、学習しろ、元魔王」


「あ?」


ロイは目の前の小さな生き物を右手で掴む

その時、リナリアが慌てて駆け寄りロイに言う


「あ、すみません……その子? は私の『魔道具』でして……」


「魔道具?」


「はい、暇がありましたので……私なりに研究した使い魔型の武器なんです」


「……何ができるんだ? こいつに」


「一応……魔法高速補佐、人間の職業見分け、詠唱サポートなど」


「……」


ロイが掴んだままの魔道具を見ると、それはまるで生きてるようにロイを睨む

ロイは呆れ顔でその手を離すと……魔道具は1人でリナリアの左肩に降りる


「この子に名前もあるんですよ、『イミィリア』って名前です」


「……誰がつけたんだ?」


「私ですよ、可愛いと思いません?」


「……まぁ、俺に害がなければいいさ」


「はいっ」


リナリアは満面の笑顔をロイに見える

もちろん……リナリアはロイの嫁ではなく……ただの配下になる

しかし……ロイに取ってリナリアは『魔王』としての職を亡くしても付いてきてくれた1人

1人と言ってもリナリアだけなのだが……


「……それじゃあ、嫁として夫を支えてくれ」


「へ?」


「へ? じゃない、お前……リナリアは俺の嫁なんだろ?」


「え……えっと……」


ロイのからかうような笑顔を他所にリナリアは両手を前で組み、モジモジと体をよじらせる

ロイ自身はからかい半分のつもりだったのだがリナリアは本気に捉えてしまっている


『……あれ? 俺……引けなくなってね?』


ロイ1人心の中でそう思っていた時……

何時も使わないはずの暖炉に突然火が付く


「ん? リナリア……お前、火をつけたか?」


「えへへ……え? 付けてませんよ? ねぇ? イミィ」


「うん」


リナリアの肩に泊まっている妖精魔道具も頷き

リナリアは火を消すために暖炉に近づき……火を消すとある事に気付く


「あれ? ……薪の下の煉瓦が動く?」


リナリアがまだ少し暖かい薪を魔法で横集め……薪の下にある煉瓦の1つを魔法で動かす

そこには1つの薄汚れた本がある、それをリナリアが手に取り埃を取り……

本の名前を読もうとするが……表と裏どちらにも名前がない

そんな本をゆっくりとリナリアに近づくロイに渡す


「こんな物が暖炉の下に……」


「ん?」


「名前書いてないんですよね……」


「いや? 書いてあるぞ……えっと『ブック・オブ・グリアス』

 何かの魔導書か? それとも……前に住んでた奴の忘れ物か?」


「……少し見てみますね」


リナリアは本をロイから受け取ると右手に本を置き、左手を上に添える

すると肩に乗っていた妖精魔道具の周りに薄い蒼色の魔法陣が展開される


「……これの元の持ち主はいませんね、と言うかどうしてここにあるのかもわかりません」


「お前の力でも見る事はできないのか?」


「はい……中を見てみましたが最初から最後まで白紙です」


「白紙って……塵じゃねぇかよ」


ロイがその本をリナリアから奪い取り暖炉に投げ入れようとした時

突然本が宙に浮かび……パラパラとページが捲られ、丁度半分ぐらいの所まで来ると

どこからかロイとリナリアに向け……声が聴こえる


『この本を手にし魔界の物よ……我の力を望むか?』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ