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夜伽の国の月光姫  作者: 青野海鳥
【第1部】夜伽の国の月光姫

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第37話:和解

「いくぞオラぁっ!」


 ギィが神木に魔力を注ぎ込むと、燐光を放つ魔力の刃が解放される。見たことも無い奇妙な武器にミラノは多少驚いたが、すぐにそれが魔力による物であると看破する。


「実体を持たぬ刃で、この剣を折れると思うな」

「それはどうかなっ!」


 ギィが跳躍し、空中から猛然とミラノに襲い掛かる。その様は、まるで獲物を狙う鷹。落下の勢いと全体重の加わった一撃をミラノに容赦なく振り下ろす。その鋭い一撃を、ミラノは大剣で何とか受け止めた。


 ギィくらいの体格、かつ並の戦闘力のものならば、ミラノであれば弾き返し、逆に反撃していただろう。しかしギィの攻撃は予想以上に重く、受け止めたミラノの体の芯まで響く。


 まばたきするほど短い硬直時間の後、振りかざしたミラノの剣は虚しく宙を切る。ギィは驚異的な速度で着地し、ミラノの攻撃範囲から離れていたのだ。


「確かにその剣、頑丈だ。こいつ喰らってビクともしねぇなんてな」

「この剣はとても『重い』剣だ。そうやすやすと折れたりはしない」

「はっ! どんだけ重くて硬かろうが、ぶっ壊れるまで殴るだけだ!」

「……そういう意味ではないのだが。まあいい、受けて立ってやろう!」


 お互い憎まれ口を叩きあい、再び戦闘が開始される。ミラノは力より速さで勝負するタイプだが、ギィはさらにその上を行く速度で猛襲する。


「おらぁっ!!」

「ぐっ……!」


 連撃、連撃、まるで嵐のように魔力の刃が振りかざされる。ギィの動きはでたらめで、滅茶苦茶に棒を振り回しているように見える。事実、ギィに特定の『型』のような物はない。だが、その攻撃は極めて速く、鋭く、そして正確。肉食獣が獲物の急所に喰らいつくように、的確にミラノの急所を狙っている。


「がんばれ! がんばれ!」


 合間にセレネが無責任に発破を掛ける。状況だけ見れば、圧倒的に優勢なのはギィに見える。いいぞギィ、そのまま王子を喰らいつくせ! 武術の心得など皆無。戦術性などまるで持ち合わせていないセレネの頭脳では、ギィの勝ちは確定していた。


 そんなフィーバー状態のセレネとは対照的に、肩に乗っていたバトラーは、二人の戦いを無言で眺めていたが、おもむろに口を開いた。


『ギィ殿は、少し焦っているようですな』

「えっ?」

『彼は短期決戦が得意のようですが、その割に致命傷を与えられておりませぬ。長引けば長引くほど、体格の良いミラノ王子が優勢になるでしょう』

「そうなの?」

『はい、恐らくですが』


「なんでや! 勝ってるやろ!」セレネはそう突っ込みたくなったが、バトラーの分析は的を射ていた。


「(この野郎! なんで攻撃が入らねぇ!?)」


 ギィの呼吸は少しずつ荒くなっている。動きの激しさもあるが、苛立ちによる焦りが余計に体力を磨耗させているのだ。先ほどから確実に仕留められる攻撃を仕掛けているはずなのに、この男はその「確実」を見事に回避している、一応当たってはいるが、大きなダメージは入っていない。


 何よりも、これだけ打ち込んでいるというのに、この人間に怯えの色は一切ない。むしろ、攻撃すればするほど奮い立つようにも見える。こんな相手はエルフの戦士にだっていやしない。


「(このエルフ、なんという強さだ!)」


 ミラノはミラノで必死だ。凄まじいギィの猛攻を、紙一重で回避していた。一瞬の隙を突いて剣を振りぬいても、このエルフは信じられない身軽さで射程外に逃げてしまう。重厚な父の剣が扱いづらいというのもあるが、それを差し引いても、十分に剣速は出ているはずだ。


「(だが、一撃を叩きこむことが出来れば!)」


 自分の細身の剣と違い、この剣は相手の攻撃を受け止める頑強さと破壊力を持っている。今は耐え、反撃の一撃を叩きこむ。ミラノはそれが最適解と判断する。


「父上がこの剣を選んだ理由、分かった気がするな……」

「あぁ? いきなり何言ってんだ?」


 鍔迫り合いの最中だというのに、ミラノは薄笑いを浮かべた。父の剣は相手を打ち倒すものではなく、大切な物を守るための力なのだと。そんなミラノの心情が分からないギィは、ミラノの笑みを余裕と取った。


「余裕こいてんじゃねぇーっ!」


 馬鹿にされた。そう誤解したギィは神木を上段から思い切り振り下ろす。先ほどまでの緻密(ちみつ)な剣線と違い、力こそ篭っているが雑な攻撃。その好機を逃すミラノではない。


「(もらった!)」


 ミラノは防御の構えを捨て、下段から一気に大剣を振りぬく。お互いの自慢の武器が、激しい音と共に激突する。軍配は――ミラノに上がった。みしりと音を立て、ギィの神木は真っ二つにへし折れる。ギィは舌打ちをして、再び後ろに跳んで距離を取る。


「貴様の武器は折れた。まだ続けるか?」

「……ありがとよ。武器を増やしてくれて」

「何?」


 ミラノが疑問を口にした瞬間、ギィは折れた神木を拾いなおし、それぞれの手に持った。短く折れた二本の神木から、二つの刃が現れる。


「……二刀流か。エルフとは奇妙な武器を使うものだ」

「人間の剣と違って、神木はこういう使い方も出来るんだぜ? 勝負はここからだっ!」


 ギィは前のめりになり、完全に攻撃特化の姿勢でミラノに再度突撃する。その速度、まさに疾風迅雷(しっぷうじんらい)


「そらそらそらそらっ!」

「くっ!」


 両手から繰り出される魔刃の雨はさすがのミラノでも防ぎきれない。左の魔力の刃を弾けば右の突きが、右の突きを防げば左から袈裟切り。一撃一撃の重さは減ったが、ダメージは確実にミラノに蓄積していく。彼の持つ魔力――身体強化を全力で使わなければ、もう何本も骨が折れているであろう。


「こんのぉっ……! いい加減くたばりやがれっ!」

「貴様こそっ……! もう限界だろうっ!」


 どちらも限界が近い。持久戦に持ち込まれた場合、体力の劣るギィが先に参ってしまう。だが、最初の不意打ちを受け止め、そのまま防御に徹していたミラノのほうが、ほんの僅かであるが不利であった。ミラノの意識が遠のき、思わず片膝をつきそうになる。


「まけないで!」


 その瞬間、セレネの声が白森に響く。その声はギィを鼓舞した物だったが、残念ながらミラノにも活力を与えてしまう。そうだ、ここで負けてはならない!


「僕は、負けられないっっ!!」


 肉を切らせて骨を断つ。ミラノは残された最後の力を振り絞り、両手持ちの大剣を右手で握り、振り抜いた。だが、焦りに任せた雑な攻撃ではギィは捉えられない。胴ががら空きになったミラノは、逆にギィに絶好の機会を与えてしまう。


「終わりだぁっ!」


 ギィが吼える。大剣を振るため右手を伸ばしきったミラノの体に、全力を篭めた刃を突き立てる。それで勝負は決する。だが、そうはならない! ミラノは振りぬいた大剣をそのまま投げ捨てた!


「なんだとォッ!?」

「おおおおおおおおおぉぉおぉおおおおおおっ!!」


 剣はそのまま明後日のほうに飛んでいったが、振りぬいた遠心力は残っている。ミラノはその勢いのまま体を捻り、残された左腕に身体強化の魔力をありったけ注ぎこんだ。そして、渾身の力でギィの顔面に鉄拳を叩き込む!


「ぶはぁっ!?」


 強烈な拳により、ギィの体が宙を舞う。きりもみ回転で空を舞い、そのまま後ろの樹木に叩きつけられた。もしも反射的にギィが首を逸らし、少しでも威力を殺さねば首がねじ切れていたかもしれない。手加減なしの一撃である。


 無論、ミラノに殺意は無かったが、このエルフ相手に手加減など出来なかった。そんな事をすれば、こちらがやられてしまう。それほどの相手だった。


「て……めぇ……! キシドーが剣を捨てていいのかよ……!」

「負ければ終わり、死ねば終わり、だったな」


 ミラノも満身創痍(まんしんそうい)、立っているのがやっとの状態だが、ギィは立つことすらできない。意識を失わなかったのが不思議なくらいだ。


 こうして、ミラノとギィの勝負は決した。


「……殺れよ」

「…………何だと?」

「さっさと殺れって言ってんだよ」


 ギィは特に気負った風でもなく、淡々とそんな言葉を口にした。これは彼――というかエルフに共通する感覚だ。平地に住まい、凶暴な獣のいない地域に住む人間と違い、白森に住まうエルフ達は、人間達より生と死の距離がずっと近い。敗北することは、そのまま死を意味する。それ故にギィは勝敗に拘るのだ。


「先ほども言ったが、僕は、別に君たちの領域を荒らしに来たわけではない」

「甘いこと言ってんじゃねぇ。お前の目的はセレネだろ? 俺をここで生かしておけば、仲間達が後で追撃をしかけるかもしれねぇぞ」

「…………」


 ギィの言葉にミラノは押し黙る。確かに、ここでこのエルフの青年を始末しておかねば、白森を抜けるまでに再度襲撃を受けるかもしれない。これほどの使い手がそうそういるとは思えないが、二度目の迎撃はかなり難しいだろう。


 答えを先送りにするように、ミラノは地面に大の字になったままのギィをひとまず放置した。そのまま先ほど投げ捨て、大木に突き刺さっていた父の剣を回収する。再びギィに視線を向けると、珍妙な生物がいることに気がついた。


「……鼠?」


 いつの間にか、ギィを守るように、一匹の小さな鼠がちょこんと白い落ち葉の上に現れていた。白黒の毛皮に赤いリボンを結んだ不思議な鼠は、じっとミラノのほうを見つめている。どう見ても野生の鼠ではないが、このエルフが飼っていたのだろうか。


「やめろー!」

「うわっ……!? っと、セレネか」


 ミラノが珍妙な鼠に気を取られていると、後ろからセレネが抱きついてきた。正確には背後から襲い掛かったというほうが正しいのだが、いくら疲弊していても、鍛え上げられたミラノが貧弱なセレネのタックルで倒れるはずもない。


「やめろー! やめろー!」

「やめろ、とは、このエルフを殺すな、ということか?」

「そう!」


 セレネは後ろからミラノに抱きすがり、必死にやめてくれと懇願する。このエルフはセレネに危害を加える可能性があるというのにだ。敵すら慈しむセレネの優しさに、ミラノは心を揺り動かされる。


「このエルフはお前に危害を加えようとしたのだ。僕も気は進まないが、ここで何らかの策をとらねば……」

「ちがう! ギィ、いいエルフ!」


 剣を拾いにいった=処刑に違いない、という短絡的な思考を持つセレネは、慌ててミラノの仲裁に入ったのだ。戦いには負けたものの、ギィには王子を始末できるだけのポテンシャルがあることは分かった。絶対に失ってはならない。そもそも、罪も無いエルフ君を殴り飛ばして虐殺するなんて、殺し屋ですかあんたは。


 そんな事とは露知らず、セレネの優しさを重視するか、それとも安全を確保するか、どちらを選ぶべきかミラノが逡巡(しゅんじゅん)していると、茂みから大人数がやってくる気配を感じた。ギィも同様で、大の字に寝そべったまま、首だけをそちらへ向ける。


「……あんた達、何やってんの?」


 茂みから現れたのは、ザナを先頭とした集団であった。エルフだけではなく、ミラノが連れてきた捜索隊も一緒に混じっている。


「ザナ!? お前、人間に負けたのか?」

「お前達、エルフの捕虜になったのか?」


 ギィとミラノが、お互いの仲間の安否を確認するが、ザナは口をへの字にするだけだ。


「あー、なんかこの人たちね、ボッケンシャーじゃないみたいよ」

「王子、どうやらこのエルフ達は、セレネ様を護衛していたようです」

「「……は?」」


 お互いの従者の報告に、ミラノとギィは間抜けな声を漏らした。




  ◆◇◆◇◆




「すまない。我々の早とちりだったようだ」


 ミラノは赤面しつつも、深々と頭を下げた。ザナが現れた後、皆で状況の擦りあわせを行った結果、ミラノ達は竜に連れ去られたセレネを探す捜索隊であり、ギィ達は白森でセレネを保護し、人間達の元へ送り届けていた事を、ようやく理解した。


「すまない、じゃねぇよ! 思いっきりぶん殴りやがって!」

「先に不意打ちをしてきたのはギィ殿だ。正当防衛として扱って欲しいものだ」

「……お互い様って事かよ。クソっ」


 ギィも早合点したことを悪く思っているようで、悪態を吐きながらも、それ以上言及はしなかった。


「だが、竜がセレネを選び、エルフの里へ連れてきたというのは本当なのか? にわかには信じがたい話だが」

「竜がそう言ってたんだから間違いねぇよ。俺達に守らせて、こいつを百年間見守るんだとよ」

「百年、つまり生涯見守るということか……」

「もしかしたら、竜はこうなることを予想してたのかもしれねぇな」

「確かに、こんな状況にでもならなければ、人の王子とエルフの族長が出会うこともなかっただろう」


 ミラノは、他の人間から餌付けされ、横で食事をしているセレネを一瞥した。セレネは特別な存在であると思っていたが、竜にまで一目置かれるとまではさすがに想像していなかった。


「とにかく、人間を代表して礼を言わせて貰いたい。ギィ殿、セレネを守ってくれたこと、心より感謝している」

「別に礼なんていらねぇよ。どうせなら何か美味い食い物でも持ってきてくれよ。そっちのほうがよっぽど嬉しいぜ」


 歯に衣着せぬ言いっぷりにミラノは笑う。先ほどまで野盗扱いしていたが、こうして腹を割って話してみれば、ギィはなかなかに面白い男だった。戦い方も考え方もまるで違うが、そもそも、様々な角度から物事を考えることを学ぶため、ミラノは大陸で遊学の旅をしていたのだ。思わぬ収穫と言えるだろう。


「では謝罪と礼を兼ね、今度貢物を持ってこよう。次は冒険者と間違って襲撃しないで欲しいものだ」

「ミラノ、とか言ったな。意外と根にもつんだな、お前」

「はは、殺されかけたからな」


 悪戯っぽくミラノがそう言うと、ギィも歯をむき出しにして笑った。

 ザナをはじめ、周りにいる従者たちも釣られて笑い、エルフと人間たちの間は 和気藹々(わきあいあい)とした雰囲気になる。泉のほとりで焚き火を囲み談笑しあうその姿は、種族間のわだかまりなど一切感じさせない。


 ただしセレネを除いてだが。一時的とはいえ、これから極楽を離れなければならないのだから無理もない。


「では、我々はこれにて失礼する。ギィ殿、一人の武人として、貴殿と一戦交えられたことを、今は誇りに思う」

「お前も、俺が戦った中じゃ一番強かったぜ」

「それは光栄だ」


 そうしてお互いに笑いあうと、ミラノは背を向け、セレネの手を引いて泉から立ち去った。もはや観念し、屠殺場(とさつじょう)に送られる前の家畜のように大人しくなったセレネだったが、不意にギィの方を振り向いた。


「ギィ!」

「あん?」

「また来る! すぐ来る! きっと来る、から!」


 セレネの叫びは、「すぐ帰ってくるから、あの豪邸は片付けないでくれ」という嘆願であった。「母ちゃん、すぐ食うから俺のご飯片付けないで残しておいてよ!」という心境に近い。セレネはギィの姿が見えなくなるまで、最後まで手を振っていた。エルフ族に対し、最後まで好意を持ち続けてくれた少女を、ギィ達も最後まで見送った。


「行っちまったな」

「そうねぇ。でも、赤竜から頼まれた依頼はこれで達成ね。あの人たちに任せておけば安心でしょ」

「まぁな」

「しっかし、あんたが人間に負けるなんてねぇ」

「負けてねぇよ! あいつはキシドーを破ったんだぞ! 反則勝ちだろ! 次やったら俺が勝つ!」


 ギィがむきになって反論したので、ザナはくすくすと笑う。

 それが余計にギィの神経を逆撫でする。


「何がおかしいんだよ!」

「だって、『次は勝つ』ってことは、あのミラノとかいう人間と勝負したいってことでしょ? それって、これからも人間と付き合いたいってことじゃない」

「あ……」


 ザナの言葉で、ギィは自らの気持ちを再認識させられた。そう、あれほど憎いと思っていた人間、脆弱な魔力で、大した実力者もいないと思っていた種族に対し、ここ数日でギィの認識は完全に塗り替えられていた。セレネやミラノをはじめ、人間という種族をもっと知りたい。今はその気持ちのほうが強いのだ。


「すぐ来る、か」


 セレネが最後に残した言葉を、ギィは反芻(はんすう)するように呟いた。確かに、人間とエルフの交流、時代の変わり目は、すぐ近くまで来ているのかもしれない。その先駆けとして、あのミラノという男は、エルフたちに何か贈り物をしてくれるらしい。


「こいつよりいいモンがあるかねぇ」


 ギィは被っている鉄の鍋を一撫でする。王子というのは、エルフ達でいう族長の位らしい。ということは、かなりの物を期待できる。人間たちの宝とは、一体どんなものなのだろう。期待に胸を膨らませ、ついでに殴られた頬も膨らませながら、ギィたち一行は森の中に残しておいたスキンクに跨ると、エルフの集落へと引き返して行った。




 苦難の末、ミラノは奇跡的にセレネの救出に成功した。凛々しき王子が麗しの姫君を救い出す――ミラノに付き従っていた捜索隊の面々は、まるで御伽噺でも見ているような気分だった。現実には、間抜けな脱獄犯が警察に再逮捕され、刑務所に舞い戻るという方が正解に近かったのだが。


『色々とありましたが、これで元の鞘に収まった、というわけですな』


 もはや姿を隠すこともなく、セレネの肩の上でバトラーがそう呟いた。帰りの道中、バトラーの存在に対し質問するミラノに対し、隠しとおせなくなったセレネは、エルフから貰ったと答えた。


 エルフからの献上品であれば、ないがしろにされないだろうという苦し紛れの言い訳だったが。ミラノはそれ以上バトラーに対し言及することは無く、一行は無事ヘリファルテへ帰国した。


 こうして、エルフと竜を交えたセレネの数奇な体験は、王宮の一部の人間のみが知るままひっそりと幕を閉じた――わけではなかった。

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