正義ファイル6:夢幻
夢を見た。
真っ暗な中、俺は何かを求めて走る。
前を行く人に、追いつくことはできない。
チリンッ――
と、耳元で音がした。
何かと思うが、それは俺がいつも付ける、ピアスだった。
片方だけ。左耳にだけ付けるそのピアス。
もう片方はどうしたのだったか?
思い出そうとすると、酷い頭痛に襲われる。
頭の中に、嫌な音が響く。
それに耐えながら、ただただ、前を行く人を追う。
男か女か、大人か子供か、それすらもわからない誰かを追う。
雨が降ってきた。
真っ暗で何も見えないが、雨だということが、なぜか分かった。
いや、雨ではない。
生暖かく、そして鉄臭い。
血液――?
酷い吐き気。
その場に座り込み、気分を落ち着かせようとする。
だが、余計に酷くなるだけ。
体にまとわりつくような血液が、どうしようもなく気持ち悪い。
何か、俺は声を発する。
声を出して、言葉を紡いているはずなのに、それはただの音にしかならない。
喘ぐ。
チリンッ――
また、音がする。
ピアスではない。
耳元からの音ではない。
そこには、真っ白な少女がいた。
十五くらいの少女。
右耳に、俺と同じピアスをつけた真っ白な少女が。
「だいじょうぶ?」
と、少女の口が動く。
声が聞こえない。
否、俺の耳が聞こえない。無音。
「なにしてるの? たのしい?」
口が弧を描いた。
「わたしも、まぜて」
そう言うと、少女は俺の首に手を回した。
その腕に、ぐっと力が込められる。
首が絞まって苦しい。
「……あれぇ? おにいさん、まっかっかだよ?」
少女の声の調子は変わらない。
「ふくがあかくなっちゃった。あーあ」
くすくすと笑う声が聞こえる。
なぜか俺は、少女のされるがままでいた。
「おにいさん、だめじゃない。こんなことしちゃ、だめじゃない」
かぷり、と俺の耳に噛み付く。
激痛が走った。
【登場人物】
名前:城白雪
コードネーム:白
所属武隊:秘密武隊 No.肆
年齢:22歳
誕生日:11月15日
身長:178cm
体重:71kg
武器:爆弾遣い 湫涽
好き:甘味(得にキャラメル) 煙草
嫌い:動物全て