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偽物令嬢〜前世で大好きな兄に殺されました。そんな悪役令嬢は静かで平和な未来をお望みです〜  作者: あいみ
第一章

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もういらない

 翌日の学校は平和……とは言い難い。


 登校早々、モブ令嬢にいじめられるユファンを発見してしまった。


 見て見ぬふりをするにはあまりにも視界に捉えてしまっている。


 私の選択肢は二つ。


 一、出ていって止める。しかしその場合、レクリエーション同様に私がやらせたと噂が流れる。


 二、無視する。しかしその場合……。以下同文。


 どっちにしても私のせいになるのか。最悪。


 うーん。どうするかな。ここで攻略対象者がいればいいんだけど。


 ──ヒロインがピンチのときに助けに来ないで騎士(ナイト)気取りも甚だしい。


 ゲームと現実は違うってことか。


 今の私に人を操ることが出来るかはさておき、やらないとユファンが怪我をさせられる。


 それは流石に目覚めが悪い。身分がないだけでいじめるなんて陰湿すぎ。


 メイドを押さえつけたあの魔法はレベル一。すなわち初歩的な魔法。


 この世界に魔法レベルの概念はない。魔法の使えない平民(プレイヤー)にもわかりやすく表現したもの。


 レベル一だろうと魔力のない人間にはどうすることも出来ない。


 それに対して人を操るのは中級魔法であるものの、一番難易度が高い。


 相手の意識も感情も全て乗っ取る。ここだけ聞くと最上級にすればいいじゃん?って思うけど、そんなことしたらゲームが成り立たなくなる。


 そんな高度な魔法を使えたらシオンの存在は悪役令嬢なんて可愛いものじゃなく、世界を支配する魔王……もとい、魔女になってしまう。


 深呼吸して気持ちを落ち着かせた。


 私はシオン・グレンジャー。この国で唯一の公女。出来ないなんて許されない。


 伸ばした影がモブ令嬢の体内に侵入したら、あとは私の意志で自在に操れる。


 突然、背を向けて去っていくモブ令嬢にユファンは困惑していた。


 魔法はどうにか成功してユファンは助けられたけど、歩けないほど体力を奪われた。


 こんなのゲームの説明になかったじゃん。


 幸いだったのはここが廊下のど真ん中じゃなくて空き教室だったこと。魔法を使う姿を見られたくないからここを選んで正解。


 体力なら休んだら回復するし一時間目はサボり決定。

 言い訳を考えておかないと。長男はすぐ怒って手を上げてくるから。


 ノアールをめっちゃモフりたくなってきた。小さいのにモフモフして触り心地も良い。


 このまま素行不良で退学になったらどうなるんだろう。一文無しで追い出されるな。グレンジャー家の名前に泥を塗ったとかで、丸焦げにされるかも。


 反省の色なしの謝罪でもするか。それでダメなら……。土下座だけは死んでも嫌だ。


「シオン。ここで何をしている」


 タイミングの悪い婚約者様の登場。


 いつもいつも来るのが遅い。


 心の声は出なかったものの舌打ちはハッキリと聞こえていた。婚約者様はそれが自分に向けられたのかと驚いている。


 タイミングは悪いけど、ちょうどいいかもしれない。

 きっともう婚約者様の胸にはユファンへの恋心の種が芽生えた。


「婚約者様」


 私は優しいからその種が芽吹く前に関係をリセットしてあげる。くだらない罪悪感から私を敵視する前に。


 開いた扉から風が吹き込む。まるで背中を押されてるみたい。


「婚約破棄。致しましょう」


 予定よりかなり早いけど問題はない。


 それに婚約者様の私への好感度的なものも低い。すぐに了承してくれなくても一旦持ち帰り、後日手紙で返事をもらえるだろう。


 その際に書類やらなんやらも同封してくれるとすっっごく助かる。


「ダメに決まってるだろう」

「わかりました。では日を改めて…………は?」


 何と言ったのこの男。


 YESでも保留でもなくNO(ダメ)


 これは予想外すぎた。


 マジか。どうしよう。


 あんたが私のこと嫌いなのは知ってんだから受け入れなさいよ。それともフラれるのが我慢ならないわけ?だったらそっちから申し出ろ。


 食い気味にOKしてあげるから。


 いや待てよ。さっきの答え方、少し変だ。「無理」ではなく「ダメ」?


 考えるまでもなくわかってしまった。


 私が公女だから。


 家族の嫌われ者だろうがグレンジャー家の名に変わりはない。公爵の持つ権力が欲しい。


 そのためには私との結婚は必須。


 この国に派閥争いはない。お金と同じ。権力もあればあるほど持っていたほうが何かと役に立つ。


 私達の婚約は政略結婚のためだと理解はしていたけど、ここまであからさまとは……。


「これは婚約者様のための提案なんですよ?」

「私の?」

「ええ。こんな《《おぞましい》》姿をした私なんかと結婚したら、いい笑いものですよ」

「…………聞いていたのか」

「聞こえたんですよ。悪口を言うときはもっと小さな声で、周りに人がいないのを確認しないと」


 あれはこの男の本心。追及はしない。


 どう思われようと興味がない。


 この後に及んで言い訳もしないなんて。もう呆れるしかない。


「なぜ今なんだ」

「そんなの貴方がいらないからに決まってるじゃないですか。それ以外にあります?」


 必死になってポーカーフェイスを気取ってるけど動揺は隠せてない。


「では婚約者様。よい返事をお待ちしております」


 動けないとか言っていられない。私のプライドにかけて颯爽と立ち去った。

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