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医師座に捜索願を掲示後、さらに混雑が激しくなったウラシマ祭りを見て回る。

「突札あります、って書いてある店があるが、ありゃ何だ?」

屋台のいくつかにそのような張り紙があるのだ。とっさつと読むのかつきふだと読むのかはわからなかった。

「うちもウラシマ祭り来るんは初めてやきん、よぉ知りまへん・・・」

新大坂育ちのしらねも知らねとなると、誰かに聞いてみるしかない。たこ焼きの屋台でたこ焼きを買ったついでに突札も買ってみた。なお、黄泉の世界のたこ焼きとはたこ足のぶつ切りの串焼きのことである。

「たこ焼き3本とツキフダ3枚お待ち」

つきふだと読むのが正しいと判明。かまぼこ板のような木札に亀の絵が印刷されている。

「これはどうしたらいいんだ?」

「ウラシマ祭りは初めてかい?それを持って竜宮に行くと人魚様とお話ができるんだ」

「人魚様ってマーメイド族のことか?」

「そうだよ」

亀に乗って竜宮城に行った浦島太郎のように、亀の絵札を持って竜宮というところに行けばよいらしい。竜宮のある場所も屋台の主が教えてくれた。

「せっかく買ったんだから行ってみるか、竜宮」

「そうだな」


竜宮と呼ばれているところはまさに神社のような建物だった。つまり、突札を持って竜宮を訪れ人魚と面会するというのはお伊勢参りが黄泉の世界で変化したようなもののようだ。

「大行列だな」

「主はん、そちらは突札を持っとらへん人の列らしいどすえ」

しらねが正しい列に誘導してくれた。長い行列の方は竜宮を外から見るための列で、短い行列は中に入るための列のようだ。お金を払ったか否かで扱いが変わると考えれば納得である。

「なるほど、よく考えられてるな」

「こんだけ並んでたら入れるのがいつになるかわかんねーな」

「並んではる間に何や飲みモンでも買うてきまひょか?」

「だったら俺が行くが」

「・・・あの、お忘れかもしれまへんけど、うちは主はんに買われた奴隷どすえ」

「あ」

完全に忘れていた小松島だった。

「そら楽な方がええに決まっとりますが、こうも何もさせてもらえんとなんかこう・・・」

「いや、落水してからこっちずっと助けられてるから」

「そうだぜ、あたいなんかウシアフィルカスなのにずっと陸の旅だし」

少々悩んだが、やはり何か買ってきてもらうことにした。しらねが選んだのは黒くて泡立つ甘味飲料だった。

「・・・なんだこれ、しゅわしゅわする」

「甘いだけじゃなくて痛いな・・・」

コーラ初体験の2人の評価はいまいち。今度はシチェルが列を抜けて買いに行った。

「べたーっと甘いが・・・まあ、いいんじゃないか」

「何でやろ、植物由来の飲みモンのはずやのに植物らしさがないような」

ピーチジュースの評価は割れた。列はだいぶ先頭が近くなってきたので、最後に小松島が抜けて買いに行った。シンキングタイム5秒だった。

「あ、わりといけますやん」

「甘いのか苦いのかはっきりしてほしい」

グレープジュースはシチェルのお気に召さず。そして、いよいよ人魚様との対面の順番が来たので急いで飲み干す。


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