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盗まれた荷物は取り返せたので、捕まえた泥棒にはもう用がない。治安維持を担当する衛兵に引き渡したのち、改めて本来の目的地である皇室金庫を目指す。

「主はん、うちの個人的感想やけど・・・そこ、あんま信用したらあかんかもやで」

「どういうことだ?」

「表の観葉植物、3日も水もらっとらんかった」

「?」

なぜわかるのか、といった疑問である。

「さっきから疑問ばかりだな俺」

まあそんなものだよ、とシチェルがよくわからない慰め方をする。道案内のため先頭を歩くジェムザが立ち止まった。

「さて、着いたぞ。ここが新横浜の皇室金庫だ」

「なんか1か月以上旅してたどり着いた気分だ」

第三新東京港を出発してからいろいろあったからそのように感じるのだ。

「あ、この植物か。水貰ってないってのは」

アロエのようなそうでないような、どこかが違う気がする。

「この子わりと賢いんで、いろいろ見よったようです」

「植物に賢いとかあるのか」

などと会話しながら入店する。中は普通の銀行のようだった。

「金の換金はここでできますか?」

「はい、できますよ」

とのことだったので、朝霜から持ち出した金塊2つのうちひとつを取り出す。

「・・・皇室海軍?」

「ここなら換金できると聞きましたので」

「ええ、できますが・・・お待ちを」

例によって受付職員はいったん奥に引っ込む。そして責任者らしい人物と共に再び姿を見せた。

「失礼ですが、これをどちらで入手されましたか?」

「支給されたものなのでわかりません」

「・・・すでに流通していないはずなのですが」

「つまり、換金できないと?」

「いえ、金は金なので換金は可能ですが、皇室海軍用の算出方法ではなく一般の計算式で査定することになります。それでよろしいでしょうか」

おそらく皇室海軍の計算式のほうが現金化率がよいのだろう。だが何かと理由をつけてそれを使用しないつもりのようだ。それが本当に正しいことである可能性もあるが、しらねの警告がどうも小松島の意識を引っ張る。

「それで構いません」

やはり2本目を出さず、1本だけ換金することにした。第三新東京港船員座で金塊を預け、それを換金するために改めて借りるというややこしい手続きをしてきたことも伝えた。

「では、換金終了しましたので前借分と手数料を差し引いた残りを船員座のほうにお送りしておきますね」

「よろしく頼みます」

これで、小松島の任務の一つが完了した。


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