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新大「坂」表記は意図した変換であり、誤字ではありません。

「欧州にいるというぬーでぃすとという輩か・・・?」

小松島が最初に発した言葉がそれだった。

「安心せえや、着とるで」

緑の肌の子供はそう答えると、腹部を覆う生地をめくって見せた。服と肌の色はほとんど同色だった。よく見ると上下セパレートの全身タイツである。

「東方に住まう緑人と呼ばれる亜人か?私も初めて見るが」

「せや、新京都生まれ新大坂育ちの黒崎しらね言います」

小松島は頭を抱えた。

「どないしたん?」

「緑で・・・黒?で?白?」

見た目と名前のギャップに小松島の脳が処理能力限界を超えてしまったらしい。

「しらねかー、よろしくな」

一方のシチェルはあっさり受け入れていた。

「ごらんのとおりの者で、亜人を良く思わない方だと紹介しただけで怒り出すんだ」

馬喰座長は恐縮していたが、混乱中の小松島以外2人は全く気にもしていないようだ。

「緑人にはトレント系とカズラ系の2種族がいると聞くが、黒崎殿はどちらか?」

「カズラ系どす。トレントの一族は髪がこう・・・えらい硬いんですねん」

しらねは頭をぽんぽんと叩いて見せた。肌の色より一段濃い緑で、たしかにふわふわヘアである。

「で、うちでよろしいんか?」

「え、何が」

「何がて、御者ぁ探しとんやなかったんか」

「そういえばそうだった・・・おい隆二、何固まってんだ」

シチェルが小松島をつつくと、ようやく再起動したらしく動き始めた。

「ま、まあ、腕と人格に問題がないのならお願いしてもいいんじゃないか」

「ほんなら決まりどすな。座長はん、あんじょう」

「よし、じゃあ契約書を作った後で奴隷の所有権移転魔法を使うからな」

手続きがさっさと進められ、しらねの所有者は小松島隆二として登録された。

「一応聞いとくけど、普段はこれ被っといたほうがよろしいか?」

しらねは先ほど脱ぎ去った布を持ち上げて小松島に訊ねた。

「何でだ?」

「見た目が気持ち悪いてよー言われるんや。特に人間様にはな」

「ああ・・・そういう理由なら必要ないぞ」

「ほなこのままにしときま」

だが、しらねの服装は全身タイツ、つまり体型がすっかりそのまま浮き出ているのである。

「ジェムザと同じような纏い方はできるか?」

「ジェムザはんって、こっちの方やっけ」

「そうそう」

「ほなそうしまっさ」


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