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よくある総集編
昭和20年4月7日、駆逐艦朝霜は沖縄へ向かう途中で米艦載機群の攻撃を受ける。魚雷自発装填装置への被弾をきっかけに異世界へと転移。
生存者は小松島上等兵を含め51名。コンパスや海図など航海の必需品を多数失いながらも沖縄があるはずの方角へ向かって進むと、古めかしい帆船の船団と遭遇。船団は強力な水流を武器とする大亀、ロックタートルに襲われていた。主砲が通じないため魚雷攻撃を実施、これを撃破。
船団救出の功により、船団代表者のルイナンセー・ヴェルモットより感謝の印として若干の補給物資と、ウシアフィルカスと呼ばれる少女を貰い受ける。ウシアフィルカスとは生贄のことであり、船舶と魔法で契約することで船体に致命的な損傷を受けたときにそのダメージを身代わりとなって受けるために船に積まれる荷物である。
そのウシアフィルカスの名前はシチェルといい、朝霜の52人目の乗員となった。
ルイナンセーの船団はベスプチ連合州国からメイジニッポン皇国に向かう途中であり、朝霜が掲揚している旭日旗はメイジニッポン皇国の皇室海軍旗であるため所属を誤解した模様。なお、メイジニッポン皇国の国旗は菊水紋であり、皇国海軍の海軍旗も同じく菊水紋。菊花紋は皇室海軍のシンボルとして使われていて、海軍旗とは別のもの。
ルイナンセーの説明を聞いた艦長代理の佐多大尉は、朝霜およびその乗組員は死後の世界である黄泉の国に転生したものと判断。沖縄に向かう戦艦大和の護衛という当初の任務を果たすことはすでに不可能と考え、この世界で生きていくことを前提とした行動をとることを決定する。
メイジニッポン皇国の第三新東京港に寄港した朝霜は、上陸調査を行う。大日本帝国と同じく公用語は日本語であるが、新興国であり、建国以前にその地に存在したマソ国やベスプチ連合州国の言語が入り混じった結果、若干異なる日本語に進化していた。
幸いにして朝霜に搭載されていた金塊には十分な価値があるらしく換金を試みるが、新横浜という都市でないと換金できないことが判明した。
また、朝霜は燃料の半分を使い切っており、重油の補給が急務であった。エトゥオロオプにあるシチェルの故郷ハットカップに原油および精製施設があり重油の入手も可能ということが判明したが、その重油が朝霜の燃料として利用可能な品質であるかどうかは要調査とされた。
艦長からこの黄泉の世界の調査を命じられた小松島はジェムザという現地人を雇い、新横浜に向けて出発する。
道中、匪賊に襲われた商人の集団を助けるためにシチェルが発砲。この時、シチェルには視力強化というスキルがあることが判明したが、本来そのスキルは両目に発動するところシチェルは右目のみの発動であり、半端者として冷遇されてきた。
なお、ジェムザには脚力強化のスキルがあるとのこと。スキルは誰でも使えるわけではなく、才能の一種と考えられている。
商人はアリューシャン・ベロウッドというベスプチ人で、国分寺という商会を経営していた。重油の見本を見せサンプルの入手を要望し、助けた礼にと引き受けてもらった。そして、国分寺商会に到着後、小松島一行は出発以来となる大休止をとることになった。




