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「Aatusim Komatsushima, uziirup ubiiser urio. Ufi uzaaniroof ubiiser urio, iu otusam iep usukkat.」
「あー・・・Iirauys otti uzi otusieu. Ui odduys ubiiser. Ustti aom aateb. ・・・墨油を外国人が買ったら税金が高くなるんだってさ。だから、アトイ商店から購入したという証明書にはリュージの名前を書いてほしいんだと」
「なるほど」
「Ui iep, ottab ubiiser. Otton oturakifihd.」
「Ia uknihs oos. 別に難しいことではないでしょう、って」
「まあ確かに。じゃあ、そうさせてもらうと伝えてくれ」
「ん。 Ia iiruga.Ui ubiiser, odna iu nias az otnemuykod.」
「Oddug. Awa otuseukir uzi uroouttad. Ulod uuy ubah umus uznoytuseuk?」
「他に聞きたいことはありますかって」
「値段と、買った量を聞いてくれ」
「Ia otonw ulot uon useytaap usiarup , odna umuuyrob.」
「Ah, iiroos. Ia uzaw otton odnniarupusuke.」
「聞いてないらしい」
「じゃあ、受け取ってから確認するしかないか。取り合えず契約書をまいてしまおう。不備や妙な条件が付いてないか確認するのを手伝ってくれ」
ジェムザはフレッチャー氏から売買証明書と契約書を受け取り、内容を確認した。
「品質についてはルイナンセー氏は責任を持てないからアトイ商店に言ってくれ、不満があるなら受領書に署名する前に言ってくれ、裁判で争うならベスプチのオイワ裁判所で、代金はルイナンセー氏が支払うがアサシモ号には請求しない。まあざっとそんな感じだ」
「特におかしなところはないな。ああ、署名は日本語でいいのか?」
「Meijinippon aater aaytinugis ?」
「Eekoo, oon umeruborup.」
「いいって」
暇なしらねは同じく暇になったシチェルとベスプチ語のお勉強中。
「ウの発音が重要なんだよ」
「ウでっか」
「ウではじまる単語が多いんだよな、ベスプチ語って。けど同じウでも発音が何通りかあるんだ」
「なるほど」
シチェルは日本語話者だった時期よりもウシアフィルカスとして言葉を封じられていた時期の方が長い。つまり発音は日本語ベース、リスニングはベスプチ語ベースで学習してきたわけだ。そのためかどうも脳内では日本語とベスプチ語が混ざり合ってしまったようで、ベスプチ語を話すときはどうしても日本語発音に引っ張られるようだ。ベスプチ語教師としては不適格かもしれない。
「イァム・ウメーン・ウジ・シラネクロサキ」
「そうそう」
「そういえばウメーンってお菓子があったんご存じでっか」
「知らん」
「米粉を水で溶いて薄く焼いたのんで果物の砂糖煮込みを巻くんですわ」
「いけそうだな」
勉強の時間がおやつ談議にすり替わった。
「アトイ商店の油は高品質というのはあちらでも有名らしいぞ」
「ほう」
最初の書類にサインした後、フレッチャー氏と小松島は雑談に入った。通訳として間に入ってくれたジェムザだが、発音はともかく文法には多少難ありのようだった。それでも十分通じるのだからまあよしとしよう。
ルイナンセー氏はわざわざアトイ商店から重油を買い付けてくれたわけではなく、沈んだ他船に積まれていた積み荷の油の補填分を仕入れる際、ついでに注文してくれていたらしい。以前にも何度か取引があったそうだが、まさかそこのご令嬢をウシアフィルカスとして購入していたとは知らなかっただろう。といったところで、再び四谷さんが部屋を訪れた。
「小松島様、アトイ商店の船が入港いたしました。Aatusim Fletcher,COC Atoi uppihs uzi urabiara.」




