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いざロイテルへ、と思い立ったはいいが、店があるはずの場所は見事に立ち入り制限区域内であり、たどり着けなかった。そのため新大坂で特にやることもないまま2日ほど過ごした小松島一行。

「ピザって、聞いてた話と全然違ったな」

「いや聞いてた通りだっただろ・・・」

イーストナリィにあるコンスタンツェのピザ屋に出向いた帰りに医師座に寄ると、リトが朝霜からの返事を受け取ってくれていた。

「ようやっと返事がきおったで」

「ありがとうございます、それで、返信はどちらでしょうか」

「いや、手紙やあらしまへん。なんや大人数でやってきおりましたよってに、旅人座に回ってもらいましたわ」

「大人数?」

「手紙やのーて直接やってきよったんですわ」

「ほう、それは予想外でしたが。では旅人座に戻って会ってみます」

「これでわいの役目はしまいでっか?ちょうど今朝に退院が決まりましたよってに」

「ああ・・・そうかもしれません。ありがとうございます、助かりました。それから退院おめでとうございます」

「あんさんはまた旅に出ますんやろ?どこかで会うたらいっしょに仕事しましょおな」

「はい、またいずれ機会がありましたら」

というやりとりをリトと行い、小松島は医師座を退出。表で待っていた一同の元に戻った。

「返事来てたか?」

「いや、連絡員が直接来たらしい。旅人座で待ってるとさ」

「なんだ、わざわざ人を寄こしてくれたのか?」

「それはたぶん、三八式の弾がないと書いたせいかもしれんな。弾だけ送るというのはさすがに配送員を信用しきれんのだろう」

朝霜としては、この黄泉の世界は戦地ではないにせよ日本人がいない外地という扱いをするしかない。小松島の想像は一応当たってはいるのだが、それだけではなかった。旅人座に到着すると、まず日峰二等兵が目に入った。

「お・・・日峰か」

「あ、小松島上等兵殿!お待ちしておりました!」

日峰の敬礼に小松島も答礼する。ついでにその後ろでシチェルも真似をして敬礼のようなものをしていたが小松島は気づかなかった。

「お前・・・なんだか重装備だな」

日峰は小松島と同じ海軍の第三種軍装を着用しているが、頭は帽子ではなく九〇式鉄帽。三八式小銃と三〇年式銃剣は同じだが腰に予備弾薬を多数装備。おまけに拳銃まで吊り下げていた。

「スタンピードというのがどの程度危険なのかわからないということで、艦長が可能な限り持って行けと」

「確かにそのぐらいの装備があったほうがいいかもしれんが・・・」

よく見ると拳銃は一四年式でも九四式でもなくコルトガバメント、アメリカの拳銃である。おそらくどこかで鹵獲したものが巡り巡って朝霜に搭載されていたのだろう。弾薬の補充がきかないので、最悪使い捨ててもよしということで持たされたのだった。

「弾を使い切ったとのことでしたが、ご無事でよかった。まずこちらを。上等兵殿とシチェルの補充用弾薬です」

「おう、助かる」

日峰から三八式用の弾薬包みを受け取り、半分はシチェルに渡した。

「スタンピードというのは収まりましたか?」

「新大坂では収まったし、被害も少なく済んだそうだ。新京都は壊滅だそうだが」

「自分も新京都を通ってきましたが、確かにひどい有様でした。まるで空襲の後です」

それはスタンピード前からそうだったのだが。


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