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怪奇対応部隊  作者: たつ笛
2/4

公開情報1

公開可能情報1番


怪奇対応部隊(psychic phenomena Defense Army)、略称はPPDAです。

時が経てば経つほど、世の中の怪談は現実のものとなり、人々の日常生活や身の安全に大きな支障をきたすようになりますが、人間の持っている兵器では、怪奇生物には何の役にも立ちません。人類の存続のために、政府は2030年に怪奇対策部隊を発足させ、世界中で怪奇生物対策に使える材料や武器、書籍、様々な民間組織を集めて、人間に害を及ぼす怪奇生物の大規模な撲滅を開始しました。

各都市の部隊には大きく分けて次のような種類があります:

I級-警備員、後方勤務員

II 級-戦闘員、偵察員、情報員、僧侶

III級-鎮圧員、研究員、教官、特殊法務員

その上が管理職

IV級-中隊指揮官、情報部長、研究部長

V級-局長、分局長



公表可能な過去の事件



ファイル番号1398—未練の道


レベル:低リスク


D市

紅石山の廃山道


地元の住民や観光客から警察に何度も通報があり、5件以上の行方不明が発生しています。所轄署が専従捜査を開始しても何の手がかりも得られず、さらに最近になって山道を踏査していた署員が一名行方不明になり、連絡が取れなくなったため、所轄署は事件をPPDAに引き渡すことになりました。

偵察員が調べたところ、この地点の特定の領域では磁場の乱れが高いことがわかりましたが、それ以外の部分では異常はありませんでした。


翌日、D市に所属するPPDA第2中隊の第5号II級分隊は、現地から提供された二頭の霊犬とともにレッドストーンに向かい始め、情報上の特定地域に到達すると、やはり戦闘員たちの連絡信号が乱れました。

途中、戦闘員たちは「山道の途中からわけもわからずスタート地点に戻ってきました」と「どこからかささやく声が聞こえた」など様々な状況に遭遇しましたが、霊犬の助けを借りて、ある洞窟で行方不明の警官を見つけることに成功しました。

発見された警官は、意識不明のまま「葉」、「すごい風」、「崖」と、口の中でつぶやいていました。霊異治療院で調べたところ、この警官はショックを受けただけで、体を侵食された様子はありませんでした。


翌日、5号II級分隊は無人機と金属探知機を搭載して対象地域の周囲を捜索しました。ある絶壁の上に、木の枝や蔓にからまった骸骨が発見されました。この位置も目標の山道からちょうど50メートル下です。

地元の警察署が過去の事件を調べたところ、十年前に行方不明になった男のものだということがわかりました。その頃から山道は廃れていましたが、一部の探検好きの若者が遊びに来ていました。

骸骨の位置からすると、遭難した男は、登山道の途中で崖から落ちて、空中で崖の蔓にからだをとりつかれたものとみられます。一命は取り留めましたが、人の姿が少なく、男は地上300メートルほどのところにいたため、上にも下にも動くことができず、動けなくなっていたということです。最後は、水も食べ物もなく、閉じ込められて死んでしまいます。

男性の遺骨を家族に引き渡した後、山道の磁場は7日後には完全に正常な状態に戻り、これまでに行方不明者は発生していません。



III級研究員の藤丸七郎は事件の分析:


遭難した死者の位置は自分を救うことができなくて、しかも効果的な救助をすることができない状況にあって、生前にかなりの絶望と恐怖を経験します。命を失った魂は昇天を得ることができず、自らの強い生きようとする欲求に囚われ、「地縛霊」のような怪奇生物となってしまいます。

前述した、男性の遭難後に発生した五件の行方不明事件については、5号II級分隊が現場で遭遇した怪奇現象を考えると、『地縛霊』は空間能力を利用して、ここに来た観光客に途中から強制的に振り出しに戻らせるなどの警告を行っていたようです。

しかし、戦闘員の現場証言によると、この空間現象は1回だけ発生し、あとはぼやけたささやき声が残るだけでした。

この「地縛霊」は生前の虚弱な肉体の影響で現実世界の認識力が弱く、そのため霊異能力には限界があります。

したがって、追加の失踪者は、唯一の警告に従わずに進んだのでしょう。

(注釈メモ:地縛霊の悪意による失踪説を唱える研究者もいますが、よく考えてみるとその可能性は低いです。)


ここまで

事件完結

事件に関する各資料は研究院第5号記録館に保管されています。


(下の余白:IV級幹部署名 捺印)


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