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大魔法使いの末裔である英国貴族の若き当主とケンカっ早いハーフモデルのアタシが体験したのはロンドン、ニューヨーク、東京、尾道を舞台にした奇妙な真夏の夜の夢物語!  作者: ヨシオカセイジュ


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戦闘開始 part2

「爆裂炎槍!」


 いくつもの巨大な火球がジョシュアを取り囲むように空中に出現したと思うと、ヴヴヴォン!という爆音とともに槍のような形状に変化して、獣の軍団の兵士たちに降り注いでいく。

「ぎゃああー!」

「畜生!助けてくれ!」

「身体が、身体が燃えー!」

 “爆裂“の名にふさわしく、直撃した兵士たちは一瞬で灼熱の炎に包まれ崩れ落ちていく。


「奴は屋根の上だ!跳べるものは一斉にかかれ!」

 ギデオンの叫びに反応した豹や虎のようなネコ科の獣のような顔つきの三名の兵士が、凄まじい跳躍力で一気に屋根に飛び乗った。

「ジョシュ!」

 あとを追おうとしたアンの前に、残りの兵士たちが立ちはだかる。

「逃さん!貴様は我々が相手だ!」


 取り囲む兵士の中から、巨大な複眼とカマキリのように極端に長い腕を持つ昆虫のような形態の者が現れ、両腕をゆらゆらと左右に振りながら挑発するようにアンに語りかける。

「君の攻撃パターンは既に解析したよ」

 言うや否や、両手を鞭のようにしならせて目にもとまらぬ速さでアンの頭部を狙って攻撃してきた。

「!!」

 頭を振って間一髪よけたが、敵の手指に触れ切断された髪の一部がふわふわと宙に舞う。

「あっぶねえー!」

 悲鳴を上げて大きく後ろに下がったアンだったが、刃物のようになっている指先がわずかに左頬を掠めていたようで一滴の血がツーッと流れた。 


「ほお、よく反応したな」 

 男は感心したように声を上げたが、再びゆらゆらと両手を顔の前で構えながら、じりじりと距離を詰めてくる。

「パワーは凄いが、君の技は(ジョシュア)の魔法術とは違い、ご自慢のカラテに魔力でブーストをかけた所詮は『体技』に過ぎない。当たらなければどうという事はない。有効距離の範囲外からの俺の攻撃から逃れられるかな?」

「そうね、ここまではね」

 そう言ってニヤリと笑うと、アンは右足を後ろに引くとおにぎりを握るような形に揃えた両手を右腰の後ろの方へと構え直した。

「これ、一回やってみたかったんだ」


 右腰の周辺にじわじわと光が集中していくのを感じながらアンは謎の呪文のようなものを唱えだした。

「かーめーはーめーーー」

「……何のつもりかわからんが、これでおしまいだ!」

 先ほどよりさらに早く、力強い鞭のような攻撃が顔の寸前まで接近した時、アンは大声で叫んだ。


(はあ)ーーーー!!」

 勢いよく突き出した両手から、ソフトボールサイズの光の玉が打ち出されたかと思うと、一気に巨大化して男を飲み込んでゆく。

「な!バカな!!こんな漫画みたいなー」

 男の姿は一瞬で消え去り、呆然とする残りの敵に向かってアンはちょっぴり意地悪な笑顔を浮かべた。


「実はまだまだ試したい技があるのよね!アタタタタタターとか」



 その頃屋根の上では、見事な跳躍力で飛び上がってきた三人の兵士がジョシュアを遠巻きに取り囲んでいた。

「どうしたんだい?武器を使用しなくていいのかい?」

 微笑むジョシュアに対し、兵士たちは顔を見合せた。

「あー、そうか。生きたまま捕まえろって命令されているんだね。そうだね、上官の命令には忠実でないと。うん、素晴らしい。実に結構な事だ。

 でもーそんな余裕、あるのかなあ?」

 小馬鹿にしたようなジョシュアの態度に、イラついた兵士たちは素早く銃を抜くと、両手で構えて叫んだ。

「大人しくしろ!少しでも抵抗するとー」

「はいはい、わかったわかった。動かなければいいんだね?」


 一瞬、赤い瞳がきらりと光を放つのと同時に、ジョシュアが(うた)うように呪文を唱えた。

(いかづち)よ、この世界に仇なす闇のものを撃ちのめせ。

 極大(メガ)雷撃(ライトニングボルト)!」

 その瞬間、天空から雷が構えていた銃を直撃し、獣の兵士たちは悲鳴を上げる間もなく真っ黒に炭化して倒れ込んだ。


「高いところに上ったら、金属製のものは危ないよ?」

 ジョシュアは、優しく微笑んだ。


 

 

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