表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

6. 愛しています

「今日はもう時間も遅いし、初依頼は明日にしよう」

「分かったわ」


 まだ日は高いが、冒険者が活動するのは朝からだ。

 夜になってしまえば流石の冒険者でも危ないし、そもそも良い依頼は朝一でなくなる。

 無理に今日受けるよりも、明日の朝一で来る方がいい。


 マリアとレオンは手を繋ぎながらぶらぶらと街を歩く。

 マリアのあまりの美しさに、街の住民は老若男女問わず足を止め振り返る。見たら減るじゃないか、とレオンはイライラするのを堪えた。

 宿に帰り、二人はレオンのベッドに腰掛けた。


「恥ずかしい話なんだけど」


 レオンは前を見たまま口を開いた。


「俺、マリアの指のサイズ知らないんだよね」


 立ち上がったレオンは、備え付けの机の引き出しを漁り、小さな箱を取り出した。


「だから、婚約指輪の代わり」


 ベルベットの箱の中に収められていたのは、ダイヤモンドのペンダント。

 マリアとレオンの目が合う。


「マリア、愛してる。俺と結婚して下さい」


 マリアの瞳が潤む。


「はい。私も愛しています」


 マリアがそう言った瞬間、レオンは箱を放り出してマリアを抱き締めていた。


「好きだよ、マリア。愛してる」

「うん、私も」


 レオンはペンダントをマリアにつける。

 マリアの胸元できらりと輝くペンダントを見てレオンは満足気に頷き、マリアに口づけた。

 貪るような口づけを、マリアは恍惚とした気持ちで受け入れた。


⁑*⁑*⁑


 世界中誰もが知っているといっても過言ではないほどに有名なSランクパーティがある。

 外見の麗しい男女二人組のそのパーティに名前はない。

 男は剣士、女は治癒魔法を使える魔法使いだった。


 そのパーティは各国を飛び回り、魔物に悩まされている村にふらりと現れ見返りを求めず討伐する。

 その代わり、国からの依頼を受けたときは莫大な報酬を要求した。


 武勇伝も有名だが、おしどり夫婦で有名なパーティでもあった。

 依頼を受けているときは、見惚れずにはいられない華麗な姿を見せる。

 依頼が終われば所構わずいちゃいちゃする。

 そのギャップに親しみを覚え惚れこむ人も多かった。


 しかしある時突然冒険者を引退し、姿を消した。


 彼らの名前はレオンとマリア。

 いつも幸せそうに笑っていたという。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ