表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

ピィちゃんとカァさんとトラさん

2020年8月2日 note初投稿

 雀のピィちゃんが草陰で震えていました。

 どうやら誰かにいじめられてしまったみたいです。


 ピィちゃん、一人ぼっちであんなに震えて……かわいそうに

 よし、ボクが守ってあげよう!


 でも、ピィちゃんはとっても小さな命です。

 トラさんがドタドタ近づいてしまうと、ビックリして心臓が止まってしまうかもしれません。

 トラさんはゆっくり、ゆっくりと近づきました。

 と、そこへ烏のカァさんが、お空からまっしぐら、ピィちゃんのそばへと舞い降りました。

 カァさんは震えながらもピィちゃんの前に立ち塞がり、トラさんを追い払おうとします。

 どうやらトラさんの動きが、ピィちゃんを食べようとしている動きに見えてしまったみたいです。


 違うけど、そう見えたのなら仕方ないなぁ……


 トラさんは慌てて逃げる振りをして、ピィちゃんとカァさんのそばから離れました。

 背後では、カァさんがピィちゃんに謝っていました。

 ピィちゃんをいじめていたのはカァさんのようでした。

 でも、トラさんがピィちゃんを襲っていると勘違いしたカァさんは、勇気を持ってピィちゃんを助けたのです。


 二人が仲良くなれるなら、これが一番良いことだったんだ


 ホッと胸を撫で下ろすトラさんに、また聞こえてきます。


 やっぱり、トラは怖くて、とても悪いやつだ!

 ピィちゃんを食べようとした!

 なんてひどいやつなんだ!

 弱いものをいじめる最低なやつだ!


 見えない誰かが、トラさんの周りをぐるぐると回っているようです。


 現にボクは怖い顔をしている

 ボクの体は大きいし、みんなよりも強い力を持っている

 生きていくために、誰かの命を頂くことだってある


 反論したいけれど、それらは紛れもない事実です。


 ボクのしたことで、みんなを誤解させてしまう


 説明したいけれど、みんながそう見えているなら、それが真実になってしまいます。

 日に日に大きくなる、自分とは違う、周りが作り上げた自分が、トラさんは怖くなりました。


 ボクではないボクが、みんなの中の正解になっちゃった……


 トラさんは、洞窟の中にこもりました。

 何日も、何日も。

 何日も。

 お腹が空いてきました。

 喉が乾いてきました。

 寝ているだけなのに、とても疲れてしまいました。


 瞼が、上がらないや……


 自分の呼吸音だけが響く洞窟の中で、トラさんはただただ横になっていました。

お読みいただき、ありがとうございます!

よかったら、評価やブックマークをしていただけると励みになります。

よろしくお願いします(*^-^*)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ