戦闘準備
「一回生諸君!よく集まってくれた」
あれがこの学園の学長か。
本当に年上か?
「私はこんなロリ体型だが、立派な大人だ安心してくれ」
まぁ強さに体型は関係ないからな。
学長をしているということは、かなりの実力者なんだろう。
「そんなことはさておき、まずは合格おめでとう。英雄学園は君たちを喜んで歓迎する」
こういう建前だけの話は嫌いだ。
聞く価値がない。
「私は学長のヒルナス・クレタだ。これから三年間よろしくな」
クレタ……初めて聞いた気がしないな。
「まぁ挨拶はこれくらいにして、いきなりだが今から名前を呼ぶ」
なんだ?
スピーチでもさせる気か?
「呼ばれた者は、闘技場に行き一、二、三回生の前で模擬戦をしてもらう!」
教師も驚いている、学長の独断か。
だが驚いているということは、模擬戦をするのは俺たちの年が初めてっぽいな。
最強の年が関係してそうだ。
「それでは名前を呼んでいくぞ、まずは……」
呼ばれるとしたら、勇者や賢者か。
さっきチラッと見えたが、聖女もいたな。
まぁ俺が呼ばれることはないだろう――
「そして……フライト・ナジル」
わかってはいたがな。
試験であんなことをしたんだ、選ばれる気はしていたさ。
「今名前を呼んだ者はすぐに戦う準備をしてくれ」
模擬戦か、今回は勇者や賢者いるからな少し楽しみだ。
「フライト!」
名前を呼ばれ振り返ると、そこには入学試験で知り合った少女がいた。
「リーベも合格できたんだな」
「うん。模擬戦の相手があまり強くなかった」
確かにあの中だったらリーベが飛び抜けていたからな、勝つのは当たり前か。
「そんなことより、フライトなんで選ばれた?」
「筆記試験が良かったんじゃないのか?自信あったし」
模擬戦で相手の内臓を破裂させたなんていえないな。
「あの筆記試験解けたの?」
「ああ一応全部解けたな。リーベも簡単だっただろ?」
「ありえない」
「え?」
「あの問題を解けるのは、多分英雄にもいない。学長は満点を取らせないために出したと思う」
そんな問題が出ていたのか。
気づかなかった。
だが、これで勇者達と戦えるのか。
「やっと強い奴と戦えるな」
「勇者達は入学試験の奴らより遥かに強い。だから……」
「油断するな……だろ」
「わかってるならいい」
俺はリーベに見送られながら、闘技場へと向かった。
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