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入学試験(模擬戦)


 俺たちが向かった先には、先生と思われる屈強な男が立っていた。

 

「全員集まったか?それでは二次試験の内容について説明する」


 まぁ闘技場に集めた時点で、大体わかってはいるが……


「君たちには今から模擬戦をしてもらう!」


 模擬戦か、これはもう受かったようなものだな。

 ただ、油断するなと言われたからな、一応用心しておこう。


「模擬戦の相手はもう決めてある。ちなみにここで俺の目に止まれば、模擬戦で負けようと筆記試験がダメだろうと合格にしてやる」


 なら筆記試験なんていらないじゃないか。

 全くさっきの時間はなんだったんだ。


「……いない」


「どうした?」


「勇者も賢者も何故かいない」


 確かに、大勢が集まっているとはいえ勇者や賢者であればすぐに気づくはずだ。

 なのにそれらしい奴は見当たらない。


「あーあと、勇者や賢者などの特別な職業や入学前から何かしらの結果を残している者は、今回の模擬戦は免除だ」


 これだから英雄は変わらないのだろう。

 職業によって強さを判別しているようじゃ、本当の強さはわからないだろ。


「それなら安心。勇者達がいないなら私が負けることはない」


 確かにリーベの力であれば、この中で勝つことは余裕だろう。

 俺と戦わなければの話だが。


「油断しない方がいいんじゃないのか?」


「確かにそう、油断は禁物」


 そんなにここに受かりたいのか。

 遊び感覚の俺にはあまりわからない感情だな。


「それじゃあまた後で」


「ああ次はどっちも合格してから会おう」


 大きく頷いた彼女は足早に去っていった。


 さて、俺の相手はどんなやつかな?



――――



 俺の相手は、アバスト・ハーンという奴だった。

 一体どんなや……


「お前がフライト・ナジルか?」


 俺の名前を知っているということは、こいつが相手か。


「ああ、俺がフライト・ナジルだ」


「どんなやつかと思えば、ただの平民か。相手にならないな」


 貴族か、これはめんどくさいやつとあたってしまったな。


「お前職業はなんだ?」


「薬師だ」


 その瞬間、アバストは腹を抱えて笑い出した。


「ふはははは!薬師?冗談ならすぐ撤回してくれ」


「事実だ」


 すると笑っていた顔が一変、怒りのこもった顔となった。


「ふざけるな!ここは強いものだけが集まる英雄学園なんだ。お前のような弱者が来るところではないんだ!」


 こいつは相手の力を測れないのか。

 なら油断してても勝てるな。


「口だけは英雄だが、それにしては少々力が無さすぎやしないか?」


「黙れ!薬師が俺に口答えするな!」


 こんな奴は孤児院でも見たな。

 自分の力を過信しているやつというのは、見るに耐えないな。


「じゃあどっちが強いかは、模擬戦で決めるか?」


「ああ、お前が俺に喧嘩を売ったこと、後悔させてやる!」


 喧嘩売ったのは俺じゃないんだが。

 まぁいい、ああいう自分が強いと思ってる奴を絶望させるのは楽しいからな。


 さて、あいつにはどの魔法を使おうかな。




――――



「アバスト・ハーン職業魔術師、前へ」


 こいつは魔術師か、益々楽しくなってきたな。


「フライト・ナジル職業薬師、前へ」


 笑い声が聞こえるな。

 もう慣れたが、冷静に考えると薬師が魔術師と戦うなんておかしいよな。

 

「また会ったな」


「そりゃ対戦相手だからな」


 あーイライラさせてしまった。

 アバストが地団駄を踏んでいる。


「それでは、模擬戦開始!」


 さて、最初は長い時間痛めつけるもいいと思ったが、ここは一度周りに格の違いを見せておくか。


「それじゃあ行くぞ!火……」


パチンッ


 俺が指を鳴らした瞬間、アバストは身体中から血を噴き出して倒れた。


内臓破裂(オーガンラプチャー)、どうだ?俺が作った自作の魔法だ」


 俺以外の全員が、固まっていたが最初に動き出したのは先生だった。


「おい!すぐに回復術士を呼べ」


 流石は先生をやっているだけあるな。

 対応が早い。


「先生、大丈夫ですよ」


「何が大丈夫なんだ!早くしないとこいつは死ぬんだぞ」


「だから大丈夫ですよ。俺が治しますから」


「は?」


 俺はアバストに手をかざした。


完全回復(パーフェクトヒール)!」


 アバストの体はみるみる元の姿へと戻っていく。


「お前は回復魔法も使えるのか?」


「俺は大体の魔法が使えますよ」


 先生驚いていたが、すぐに起き上がったアバストへと近づいた。


「アバスト!大丈夫か?」


「俺は一体……」


 アバストと目があった。

 すると……


「ヒィ!」


 そう言って彼は気絶して、また倒れてしまった。


「フライト、君の勝ちだ。というよりもう合格だ」


 先生はこう言っているが、こんなの模擬戦ではない。


「先生、お言葉ですが俺は全然実力を見せれてません」


「いや、君がどうこうではなくてこれ以上被害者を増やさないでほしいんだ」


 なるほどそういうことか。


「わかりました。ありがとうございます」


「あ、あぁ」


 先生も少し怯えている。

 あまり強くないのか?

 

 まぁ、無事合格したことだし早くカリーナさんに報告しないとな――


 


 


 

 



 

 








 

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