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目が覚めたらそこは岩肌です。
私、早坂理宇は、いつも通り疲れた体をベッドに横たえて爆睡していた…ハズでした。
アラサー最後の年齢、もう体も精神も1日20時間経てばクタクタ。日々仕事に追われ、ただ寝て起きて仕事に行く毎日。
また、明日も変わらない朝が来る。そう思ってベッドで目を閉じたのだ。
なのに目が覚めたら、見慣れた天井ではなく真っ黒な岩肌が見える。もう一度、目を閉じる。20数えて、また目を開ける。
はい、視界には真っ黒な岩肌です。
…やっぱりね、そうよね。世の中そんなに都合良くいかないわ。
諦め慣れてしまってる私は、溜息を吐いて起きあがる。
寝ていたのは、真っ黒な固い土。ぐるりと周りを見渡すと天井と同じ真っ黒な岩肌が見えて、時折キラッと光る。薄暗いけど、周りが見えない程ではないのが良かった。
「ここは…どこ?」
小さな呟きをもらすと、不意に周りの明るさが変化した。
「ふふふっ。やーっとおーきたっ!おはよ、リウ」
愉しそうなクスクス笑いを隠しもせず、私の周りの明るくしていた主が姿を現す。