ライナの夜(番外編)
「困ったわね」
ライナは渡されたブローチを手に眉間を揉んだ。
これはマリアが幼少期から付けていた大切なものだ。
お爺様が言うには昔、お爺様が聖女様にプレゼントしたものらしい。
そんな思い出の品が今自分の元にあるのは自分のミスとしか言いようがない。
『……じゃあ君の持っているそれを僕にくれないか』
適当に言った言葉だった。
聖女様から受け継がれた品なら易々と渡さないだろう。
きっと引き下がってくれるに違いない。そう見積もって出した言葉だった。
だけどマリアはそれくらいならとなんの戸惑いもなく渡してきた。
「どうにかして返したいものだけど……」
そのまま返すにはマリアを傷つけてしまうかもしれない。
ライナは少し考えた後、紙にペンを走らせた。
「アクセサリーにして返せば違和感無いかもしれないわね……『貴方にはこの程度がお似合いよ!』なんて言って……キャラじゃないかしら……」
ピンクのドレスと亜麻色のロングヘアに合うようようにバレッタのデザインを考える。
いくら魔力がゴミカスとは言え、金属の融解くらいはできる。
そうして思考錯誤してできたバレッタは我ながら既製品と大差ないレベルのものだった。
やはり私は天才だ。
魔力以外は。
「問題はどう彼女に渡すかね」
プレゼント……ってキャラでもないし、ボサボサの髪とか言って自分の髪の毛から取ってそのまま渡して……。
ライナが脳内で思考錯誤しているうちに夜はふける。
ひょんなことから渡すことになるなんてことも知らずに。
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