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一.ひとごろし
『次回は、先日結婚したばかりの紫月さんをお迎えして新曲を――!』
どこかで、つけっぱなしのラジオが陽気な声を流している。
電灯に照らされたテーブルは造花で飾られ、新鮮な肉を盛った皿が整然と並んでいる。
青白いテーブルクロスの上で、小さな蠅の影が戯れていた。
席に着く者は皆、息絶えていた。切断された頭部を抱え、がっくりとうつむいている。
そんな惨憺たる景色に、主賓の席に座る壊人鬼はため息をついた。
「……やれやれ。次はどうするかな」
壊人鬼は暗い声を漏らして、マーマレードをトーストに塗る。
ざりざりとトーストにオレンジ色が広がる。
ぽたぽたと床に赤色が広がる。