バケネコ会社員 桐ヶ島丈
午前9時 とある企業
会社員たちが遅めの朝食をとる中、1人だけキャットフードを美味しそうに食べている会社員がいた。
彼の名は桐ヶ島丈。黒髪のハンサムな会社員だ。
「桐ヶ島さんはキャットフードしか食べないんですか?」1人の同僚が桐ヶ島に尋ねた。「普通の食べ物も食べるけど、大好物は魚の骨かな。」
「えっ、魚の骨!?」同僚は驚きを隠せない様子だった。
午後7時 桐ヶ島の家
今日は仕事が早く終わったので、バスに乗って帰ってきた。桐ヶ島の家は、夜目町3丁目にあるマンションだ。
ところが部屋に入ってみると、大事なスケートボードがない。誰かに盗まれてしまったようだ。
「ただでは済まさないぞ。」
桐ヶ島は食事をとると、ひとまず眠りについた。
午前1時59分 桐ヶ島の家 寝室
「暑い…眠る気が失せてしまう…」
桐ヶ島は枕元にあったラジオをつけた。
『カメレオ製菓が、2時をお知らせします』
「しまった!」桐ヶ島はベッドから飛び起きた。彼は午前2時になると、変身が始まってしまうのだ。
尖った黒い耳とふさふさした尻尾が生え、手の爪が鋭くなった。黒い獣毛が体を覆った。その姿はまるで狼男だ。
だが、彼は狼男ではない。現代に生きているバケネコなのである!
「スケートボードを盗んだ奴を懲らしめてやるか!」
バケネコと化した桐ヶ島は、窓を飛び出して
街へと駆けていった…