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はじめてのいせかい。

作者: 秋月みのる


 緒方夏美には今年で四才になる息子の緒方タクヤがいる。

 甘えん坊の息子に自立して貰いたい。

 あわよくば出演料で新作ブランドバッグが欲しい。

 ウチの息子こそが世界一可愛い。

 頭は少し足りないかもしれないが、顔立ちは超絶に整っている。

 もしかしたらこれがきっかけで有名子役タレントになるかもしれない。

 そんな思いから夏美は某番組に思い切って電話をかけてみた。


 その番組は子供の「はじめてのかいもの」を取材するというものである。

 そして夏美はその番組から正式な取材の返答を受けた。

 

 六月某日。

 家に上がり込んできた見知らぬ大人達に引っ込み思案なタクヤは不安に顔をしかめた。

 不安に思いながらも見慣れぬ撮影機材には興味津々である。

 見知らぬ大人達がいない隙にべたべたと手垢をなすりつけている。

 タクヤは引っ込み思案ではあるが好奇心は人一倍強い。

 また、興味がある物を発見すると我を忘れて駆けだし、集中して何時間も観察し続ける根気の良さも併せ持つ。

 夏美はカメラ三脚を弄りつつももう一方の手でエプロンの裾から手を離さないタクヤの様子に苦笑しながら、自立のために心を鬼にせねばと内心で心に誓う。勿論、心の片隅にブランドバッグが居座っているのは言うまでもない。


 普段の様子を隠し撮りしたいという取材班に応じ、タクヤの普段の様子を隠し撮りした。

 そして簡単なテストのような物も遊びと称してタクヤにやらせる。

 その結果、タクヤの知的水準は同年代よりも少し低いと言うことになった。

 その為お使いを簡単にしなければならないとディレクターは判断。

 夏美に近所のスーパーなどの位置を聞いて、買ってくる物の難易度を決める。

 おつかい物語にはストーリーが必要なので、初めてのお買い物でタクヤの大好物であるカレーの材料を買いに行かせることにした。これならスーパー一軒で事足りる。

 そしてタクヤが買ってきた材料でお母さんである夏美がカレーを作り、夕食の席でタクヤを褒めるという流れだ。


 タクヤに同行するのはベテランカメラマン。

 そして番組の企画をしているプロデューサーの二名。

 プロデューサー本人が毎回子供に同行するのはこの番組が始まってから変わらないスタイルである。

 稀ににタレント性のある子供に遭遇する場合があるのが理由だ。

 プロデューサーは別口で子役タレントの育成教室をサイドビジネスで執り行っているので実はこの方法は都合が良かったりする。事前に番組まで子供の写真を送って貰うことで見込みのありそうな子供をある程度絞り込めるからである。

 

 さて、タクヤ本人のあずかり知らぬ所で大人達が動き始める。

 タクヤはついに夏美から晩ご飯の材料を買い出しに行くように切り出されるのであった。


 嫌だと泣きわめくタクヤ。

 しかし、お母さんのしつこいお願いコールについに陥落し、仕方なくがま口財布を首から下げて一人家を出る流れとなる。


 道中タクヤは道端に咲くタンポポに心を奪われ、散歩中の犬の後についていき、その先にあった川辺でひらたい小石を拾っては水面に投げ……それはもうプロデューサーとカメラマンを非常に辟易させた。

 一向にスーパーに向かわず、それどころか興味の引かれる方にどんどん目的地から離れて言ってしまうのである。

 そんな事を露とも知らないタクヤは電車がどこから来るのか気になった。

 タクヤは電車の進んだ方向へと迷いなく歩き始める。


 ……限界だ。取材は中止だ。


 タクヤの前に姿を現し、そのまま家に連れて帰ろう。

 プロデューサーがそう判断したときだった。


 タクヤの目の前に七色に輝くプリズム片の集合体のような物が現れた。

 タクヤは興味本位でそれを指でつついてみた。

 すると、プリズム片は長方形のような形へ変形した。

 丁度人一人が通れそうな大きさになる。


 タクヤはその変化に驚き、好奇心をとんでもなく刺激された。

 タクヤはその変化したプリズム片に指を突っ込んでみる。

 すると、指が消えた。

 どうやら向こう側があるらしい。


 どうなっているんだろう?


 タクヤは迷うことなくプリズムの境界面の先へと進んでいく。 


 その様子にあんぐりとした口を開けて顔を見合わせ得る大人達が居た。


 「……い、今の撮ったか?」


 「ば、ばっちりと。それよりいいんですか? 追いかけなくて」

 

 大人二人はタクヤを連れ戻すべく今にも収縮をしはじめているプリズム片に向かって必死に駆け込んだ。


 ……そして、気づいたときには三人揃って見知らぬ森にいた。

 

 その森には半透明の男がいた。


 タクヤはその半透明の男を指でつっついているが、大人二人はそうもいかない。



 「「ゆ、幽霊!」」


 見事なハモリだった。


 半透明の男は言う。


 「時間がないから端的に話す。俺は勇者と呼ばれる存在だ。万が一俺が失敗し、死んだたときに備えてランダムに次を召喚する術式が組み込まれていたらしい。呼び出されたはいいがこの世界の医療水準が低くくてな。難病を抱えていた俺は半年と持たずに死んでしまった。一応日本に帰って病院に行くため頑張ったんだが病気の体で力及ばずだ。勇者の目的はこの世界を支配するブタ魔王を駆逐することだ。ブタ魔王には凶悪な四人の配下がいるらしい。シルクハットを被ったジャガイモのような形をした怪物イモール男爵、角の生えたタマネギのような鬼オーン、ニンジャのような格好をしたニンジン、シノビのジン。日本語と英語が混じった変な喋り方をする大きな柴犬ルゥの四体だ。全部倒せば自動的に日本に帰れたらしいんだが一匹も倒せなかった。どうか、俺に変わって彼らを討ち滅ぼして欲しい。勇者パワーを授けよう。では、さらばだ」


 半透明の男は一息で喋りきって消えてしまった。

 代わりに残されたのは二十センチほどの光の玉でした。

 その光の玉はタクヤへと吸い込まれていきます。

 男の発言に事態が飲み込めない二人と、はっとした顔になるタクヤ。


 「豚、タマネギ、ニンジン、ルゥ……カレー!」


 慌ててがま口財布を開いて取り出したメモにはしっかりと材料が書いてあります。

 そしてタクヤはお母さんの言葉を思い出します。

 わからないことがあったら、わかる大人に聞きなさいと。


 大好きなお母さんの頼み事です。

 失敗してお母さんを悲しませたくありません。

 タクヤは勇気を振り絞って近くに居る大人に聞きます。

 当然近くに居る大人は取材班だけです。


 「……カレーのざいりょう、どこ?」


 カメラマン達はタクヤの疑問に、この期に及んでそれどころじゃないだろうと思います。

 しかし同時にタクヤが現状を理解できていないことも理解しました。


 その時です。

 槍を持ったきゅうりのような化け物が森の奥から現れました。

 大きさは1メートルほど。


 タクヤは野菜が大嫌いでした。見るだけでも嫌なのです。

 ましてや普通のよりも大きなキュウリですからその嫌悪感も倍増です。


 「……きらい、あっちいけ」


 タクヤが言うと、タクヤの手から閃光が放たれました。

 そしてその閃光がキュウリをジュッと焼いて灰に変えてしまいます。

 不思議パワーに大人二人はびっくりです。

 タクヤは驚きつつも自分に備わった力に興味津々です。


 「でろー!」


 タクヤは森の中に光を再び放ちます。

 森は光によって焼かれます。

 光りが収まったとき、その先にはどこまでも続く焼け焦げた灰の舞う道が続いていたのです。

 タクヤは思い出します。お母さんが言ってました。

 動物も虫もお花も森の木々も生きていてみんなが命を持っていると。

 飼っていたハムスターの忠五郎が死んでしまったときタクヤは凄く凄く悲しかったのを覚えています。

 きっとおかあさんやおとうさんが死んだらもっと悲しいに決まっています。

 命は大事なもの。動かない花を摘むときだってごめんなさいしなければいけません。

 森の木でもそれは一緒です。


 「ごめんなさい」


 ぺこりと一礼してタクヤはすっきり大満足です。

 悪いことをしたら謝る。お母さんにそう教わりました。

 その一連の流れを見て身を寄せ合ういい年をした大人達がいました。

 精神的に未熟な子供が大きな力を持ってしまった恐ろしさ。

 そして、得体の知れない化け物が闊歩しているという恐ろしさ。

 二つを比べて即決です。


 大人達はこっそりタクヤについていくことにしました。

 こっそりなのは、下手に近づいて気まぐれなタクヤに的にされたくないからです。

 もし自分達が襲われたら、化け物をタクヤになすりつけて隠れるつもりです。

 そしてその上でどうにかタクヤにブタ魔王と四体の配下を倒させて日本に帰らなければいけません。 

 これは番組始まって以来の難クエストです。


 「プロデューサー……非常事態ですからカメラ捨てて良いですか?」

 「駄目だ! 買い直すのにも予算がいる。それにこれは大スクープだぞ。意地でも最後まで撮影しろ。テープの限り!」


 話しているうちにタクヤは自ら切り開いた森の散歩道を進んでいきます。

 珍しい青と黄色のしましまキノコを発見したタクヤはすぐに足を止めて、そのキノコを観察し始めます。


 「プロデューサー。例のアレの出番じゃないですかね? ほら、僕もこうやって仕事しているわけですし。あ、僕に着ろって言うのは無理ですよ。身長140センチしかありませんし、イケメン長身俳優とは45センチも身長に差がありますから。その点プロデューサーは背が高いから大丈夫じゃないですか?」


 「……アレか? アレは二百回記念サプライズに呼んだ本人に着て貰うための奴だぞ」


 「その割にはちゃんと持ってるじゃないですか。覆面ライダーコスチューム」


 「仕方ないだろ。奴は今や売れっ子。前の仕事が押して直接現場入りするって言うんだから。俺が持ってたほうがスムーズだろ」


 彼らが話しているのはタクヤが大ファンである子供向け特撮番組『覆面ライダーΩ』の主役である覆面ライダーの衣装のことである。

 派手な全身タイツに鎧のようなパーツがくっていて、ベースカラーが赤。

 そこに銀色のアクセントが入っている。

 主役らしく目立つようにと発注しているため、少なくとも普段着とは乖離したデザインだ。

 悪目立ちは間違いない。


 まったく、これを着る勇気がないから裏方の仕事をしているというのに。

 プロデューサーは、深いため息をつく。


 「大丈夫ですって。大好きなヒーローの言うことです。きっとお願いも聞いてくれますよ。それに、大好きなヒーローなんですから攻撃はされませんって」

 

 「……ばれたら恐いけどな」


 偽物だ、やっつけろ。

 タクヤがそういう行動に出たら、その瞬間が命の終焉である。

 だが、やらないとタクヤがずっと道草を食う可能性がある。


 プロデューサーは一世一代の大芝居をする事にした。

 

 一回きりだ。一回きり。


 しかし、タクヤの前にタクヤの大好きなヒーローが何度も現れるのはそう遠くない未来のことである。


 プロデューサーは覚悟を決めぴっちりとしたタイツに身を通す。

 キツイがなんとかチャックをしめること成功にする。


 「……これは、なんというか出てはいけないところが出てだらしないですね」


 カメラマンの視線は下腹に向いている。


 「仕方ないだろ。忙しくて運動不足なんだから」


 「どうにかお腹引っ込まないですか」


 「こうか?」


 プロデューサーは腹筋に力を入れる。


 「……言いにくいですがもっとです」


 「……こう……か」

 腹を引き締めながら何とか言葉を絞り出す。


 「……もう少し」


 「……うぐぐ」


 「それならなんとか」


 「……………よし……いって……くる」


 プロデューサはヨチヨチとした足取りでタクヤの前に踊りでる。

 お腹が苦しいと全力で主張している。

 それでも何とか言葉を絞り出す。


 「……タ、タクヤクン」 


 自分の名前を呼ばれたことで、タクヤはそちらを振り向きます。

 そして見た途端、目を輝かせ始めました。


 「ラ、ライダアアア!」


 タクヤ、全力ダッシュです。

 人見知りも大好きなヒーローには関係ありません。

 頭から覆面ライダーに突っ込みます。


 「オ、オフゥゥゥゥ!」


 どん、とお腹に衝撃。

 口から息と共に魂が抜けそうになります。

 

 ですが、タクヤの目は本物と信じ切っている目です。

 ばれたらどうなるか想像もつきません。


 必死に歯を食いしばって耐えます。

 歯を食いしばろうがマスクの下でタクヤからは見えないのが救いです。

 

 何とか言葉を紡ぎます。 


 「タクヤ……クン。オカアサン……イウコト……キク……ダイジ」 


 場末の飲食店の外人店員みたいなヒーローらしからぬ喋りですが、それでもタクヤはその言葉にはっとなります。

 大好きなヒーローの言葉です。間違っているはずがありません。

 そしてヒーローの言葉でタクヤは目的を思い出します。 


 「……カレー!」


 「ソウ……ソノタメニ……ソシキト……タタカウ」


 悪の組織ジョーカー。

 悪い悪い奴らです。

 タクヤはいつもテレビの前でライダーを応援しています。


 「キミガ……ヒーロー」


 憧れのヒーローに君がヒーローと言われてタクヤの心に滾ってくる物があります。

 その言葉にタクヤの心に使命感の火を付けました。

 思い出すのはさっきの力です。

 そう言えばライダーも手からビームを出すことが出来ます。


 「モウゲンカイ……サラバダ!」


 チョコチョコと震えた足取りで覆面ラーダーに扮装したプロデューサーは走って行きます。

 その様子を見てタクヤは制限時間がきたのだと思いました。

 覆面ライダーが変身できるのは二分間だけです。

 テレビの右上の時間表示で二分以上変身していることがありますが、よい子は気づいてはいけません。

 タクヤはよい子なので二分変身という設定を信じています。


 そしてプロデューサーの腹の肉が限界を迎えたのも奇しくもきっかり二分だったのは誰も知らない事実です。ライダーは二分しか変身できないのが宿命なのかもしれません。


 タクヤははっと気づきます。

 今追えばライダーの住んでいる家が分かるかもしれません。

 

 プロデューサーがタクヤに背を向けたことをいい事に腹の肉をだらしなく揺らしながら走ってきます。

 そのうしろからタクヤが追ってきているのをカメラマンはすぐに気づきます。


 真っ青な顔をしたプロデューサーはどう見ても限界です。

 さっと、警戒に二人の間に割って入ります。

 

 「た、たすけて、未来のライダー」


 やりとりを陰から聞いていたカメラマン。渾身のアドリブです。


 タクヤは迷いながらも足を止めることにしました。

 ライダーはいつだって困った人の味方です。

 普段は冴えないサラリーマンであるライダー。

 例え自分に大事な会議があったとしても、助けを呼ぶ声が聞こえればすぐさま変身して颯爽とスクーターに跨がり飛び出すのです。

 カイギが何かはタクヤには分かりませんが、カイギをサボったことでジョウシと言う人に怒られていることくらいは分かります。

 怒られるのは凄く怖いことです。

 部屋の中でボールで遊んでいて、お母さんの大事にしているお皿を割ってしまったとき。

 もう半年くらい前のことですが、あの時のお母さんの鬼のような顔を思い出すと今でもおしっこをちびりそうになります。

 誰かのために自分がそういう目に遭っても我慢できるライダーは凄いとタクヤは思っています。

 きっとライダーも自分の事は放っておいて困っている人を助けると思います。

 未来のライダーとまで言われてしまってはそうするほかありません。 


 「僕、お家に帰れなくなっちゃったんだ。助けて!」


 流石は大人。狡いことを考えます。

 タクヤにとりあえず誰の家でも良いから家を探させるという目的を与えてくっついていき、適当な民家で情報収集する魂胆のようです。


 そんなやりとりを聞きながら木陰で、今必死にプロデューサーはライダースーツを脱いでいます。

 現実には一瞬で変身できる変身ベルトなんてないのです。

 手で、時間を稼げとカメラマンに必死にアピールします。


 それを受けてカメラマン、必死に考えます。


 「そうだ、家を探す前に僕のお願い聞いてくれるかな。凄く大事な物を無くしちゃったんだ。多分、ここからあの辺あたりに落ちていると思う。これと同じ物なんだ」


 見せるのは新品テープ。

 勿論落ちてなんかいません。


 「未来のライダー、頼むよ」


 必殺のキーワード。未来のライダー。

 このキーワードでタクヤの心に使命感の火が灯ります。


 タクヤはこくりと頷くと「ないなぁ」と呟きながら地面を見ながら懸命に辺りを歩き始めるのです。

 そしてタクヤが遠くに行きそうになると、


 「多分、そっちには落ちていないと思うんだ」


 とカメラマンはタクヤを巧みに操ります。

 落ちていない物を探させているんですから見つかるはずがありません。


 そして五分くらいの時間が流れて、ようやく着替え終わったプロデューサーが何気ない顔で現れます。

 そして、こう言います。


 「君が探しているのはこれじゃないかい?」


 バッチリタクヤにも見せます。

 タクヤは自分で見つけられなかったことが悔しかったですが、大事な物が見つかって良かったと思うことにしました。

 新しく現れた人はきっと良い人だという全くもって勘違いな謎の好感度+補正までついています。 

 子供を手のひらで転がす悪い大人達です。 

 そして、プロデューサーは見え透いた三文芝居を始めます。

 

 「ところで、道に迷ってしまったんだが、君たちはここら辺の人かい?」


 「いえ、迷子になってしまって。丁度そこに未来のライダーがいたので助けて貰おうと思ったのですよ。いやぁ、助かりました」


 「未来のライダーだって! それは凄い! 俺はついている!。丁度お腹がぺこぺこだったんだ。助けて下さい。未来のライダー!」


 タクヤの弱点を見抜いた大人達はわかりやすいほどそこを重点的に攻めます。

 タクヤも未来の意味くらいは知っています。

 憧れのヒーローには君はヒーローとも言われました。

 つまり、遠い将来ライダーにタクヤはなると言われているのです。

 憧れのライダーになれる。

 タクヤはついに確信しました。

 全くもって勘違いです。、悪い大人達の洗脳の賜です。

 そうとは知らず、タクヤは鼻高々です。


 「ぼ、僕が家を探してあげるよ!」


 引っ込み思案なタクヤも、今はすっかりライダーになりきっています。

 ライダーはどんなピンチでも自信たっぷりです。ピンチを苦にしない。

 その姿がカッコイイのです。

 タクヤも見習って堂々と自信を持って言い切ります


 大人達は先を歩くタクヤを見ながら小声で話します。


 「どうやら上手い事コントロール下に置けたな」

 「それもプロデューサーが上手くやったからですよ」

 「君だって上手くフォローしてくれたじゃないか。お主もワルよのう」

 「いえいえ、お代官様ほどではありません」

 「どちらにせよ、化け物が居る世界で我々が生き延びるにはタクヤ少年を上手くおだてつつ牙を剥かれないようにコントロールするほかない」

 「そうですね。まずは情報収集。それから行動指針を決めましょう」

 「出来れば食料も調達したいな」

 「……ちゃんとした食べ物あるんでしょうか? 化け物みたいなキュウリがいましたよね。ここ、多分地球じゃないですよね」

 「…………」


 森を歩くタクヤ。その小さな背中を頼りにしている事実。

 

 「……不安だ」

 「……不安ですね」


 これは超絶パワーを得た4歳児とそれに同行する無力な大人達の葛藤を描く「はじめてのかいもの」ならぬ「はじめてのいせかい」ドキュメンタリーである。

一応書いたので投稿。

書いている途中で誰得の作品だろうと思った。

多分あまり面白くないですし、続きはありません。

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