俺と二人とラブレター
Characters
・涼風 綾
・椛崎 倖十音
・天屯 依利香
時期は春休み最終日。
俺、涼風 綾は一通の手紙を手に住宅街を歩いていた。
〝好きです。
付き合ってもらわないとあなたの心を
壊してしまいそうです。
春休み最終日、午後四時に青風展望台、で待っています。〟
名前は書かれていなかった。 内容からしていわゆるラブレターというやつだろう....。
『待っています』と書かれてしまった為行かない訳にもいかずとぼとぼ家を出て来た。
青風展望台は家からそう遠くも無く歩いて十分程度の場所にある町全体を見渡せる大きな展望台だ。
そんな展望台の階段を上っていく、だんだんと見えてくる頂上。
そこに彼女は....待っている。
....待って、いた。
そこには、とても可憐な白い髪の女の子が立っていた....。
あまりにも美しいので見惚れてしまう。
気づいていないようなので声をかけてみる。
「あ、あの....」
彼女がこちらを振り返る、その瞬間桜が....舞い散った....。
白い桜と同じ色の髪、整った顔、綺麗なスタイル。
一言で言えば....美少女だった。
彼女が少し近づきこう言った....。
「好き、......です」
と、
意味は分かっているだけど理解できないそんな状況だ。
「あ──、......」
「えっと、いきなりこんな所に呼び立ててごめんなさい....」
「私は、椛崎 倖十音です....」
「え、えっと....俺は....」
慌てて名前を言おうとする。
「涼風 綾さん、ですよね....」
「え..?ああ、はいそうです」
そう言うと彼女は少し気を楽にした。
「はぁ、良かったもし違ったらどうしようかと」
小さい声で何やらぶつぶつ呟いている。
「え、えっと....」
「あっ!いえ違うんですえっと、えっとぉ!」
「とりあえず落ち着いて....」
「と、取り乱してすいません....」
しゅんとしてしまい少し空気が重くなる。
何か話しを切り出さないと....。
「えっと倖十音さんでしたよね....?」
「ええ、僥倖のこうに、十時のじゅう、それに音楽のおんで倖十音です」
倖十音さん少し珍しい漢字のようだ。
「この手紙はあなたが....?」
「はい、それは私が....」
彼女が喋り始めた瞬間後ろで物音がした。
「なんだ?」
と、 俺は呟く。
「それは私の手紙だぁぁぁぁぁぁぁ────ッ!」
女の子の声だったがありえない声量だった。
俺の前に女の子が立ちはだかる....。
様子は、ツインテールにふりふりしたスカート金色の髪からは倖十音さんとは違ったお嬢様感が感じられる。
顔も整っていてこちらもまた、とびきりの美少女だった。
「えっと、君は....?」
「私は、天屯 依利香」
「その手紙は、そ、その私が....えっとその、書いた....手紙なの」
「 ....つまりこれは倖十音さんが書いたものでは無い、と?」
「いえ、私が書いたものですよ?」
....───。
一瞬静まり返ったと思えば、倖十音さんと天屯さんがにらみ合っていた。
「倖十音ッ!アンタは毎回毎回私の邪魔ばかりして、どーゆーつもりなのッ!」
「依利香こそ、綾君は私と喋ってたのよっ!」
二人は言い合いを始めてしまった。
というか二人とも知り合いなのか?
「え、えっと二人とも、お、落ち着いて────」
すると二人は同時に。
「綾君は黙ってて!」
「綾君は静かにしてて下さいっ!」
....────。
「....はい、すみません....」
日も落ちてきたので解散する事になった。
明日からは学校だ....なんだか嫌な予感がする────。