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ラプンツェルの夢  作者: DAISY
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*不思議な花の力*

ラプンツェルが言葉を喋れるようになった頃、王子様とお妃様は従者付き添いのもとである場所へと足を運びました。


「この先にラプンツェル、君の名前と同じ名の花が咲いているんだよ。3人で見に行こう」


王子様は優しい声でラプンツェルに話しかけます。


「ラプンツェル、楽しみね」


お妃様も優しい声でラプンツェルに話しかけます。

するとラプンツェルは嬉しそうに微笑みました。


王子様がお妃様の手を取り進んだ先には一面に"Rapunzel"の花が広がっていてお妃様はとても感動していました。


「綺麗~。こんなに咲いているなんて」


「私も驚いたよ」


「この場所を教えてくださった方に感謝しなくてはなりませんね」


「あぁ。私もそう思ったんだが…行方が分からないんだ。従者に調べさせてはいるんだけれど」


「それは困りましたね…」


「見つかったら出向こうと思っているよ」


「その時は(わたくし)も御一緒させて(いただ)けますか?」


「あぁ」


王子様とお妃様はラプンツェルと共に暫くの間、一面に広がる"Rapunzel"を見ていました。


少し時間が経つと従者の元へと歩み、お城へ共に戻りました。


それからラプンツェルはすくすくと育ち、とても明るく優しい女の子へと成長しました。


ラプンツェルの誕生日が来ると毎年国中の者が1輪のチューリップの花を手にお城へ訪れ、ラプンツェルに贈られます。

チューリップはラプンツェルの名の由来である"Rapunzel"に似た花なのでした。

そして"Rapunzel"の花はとても貴重であり簡単には見つけられないのです。

故に国中の者は姿形の似た紫色のチューリップを手にお城を訪れ、プリンセスであるラプンツェルに手渡し祝福するのです。


ラプンツェルが6歳になった誕生日の日、ラプンツェルの前に1輪の"Rapunzel"を手にした魔女が現れました。


「あなたは…もしかして魔女さん?」


「プリンセスは私の事をご存知なのですね」


「お父様とお母様から聞いていたの。やっと会えたね!」


「プリンセス、今日私があなたの前に現れたのには理由があります。ですが、今ここでは詳しくお話しできません。明日の朝、再びここへ出向きます。プリンセスは城の者に気付かれぬよう来てください」


「…どうして誰にも知らせたらいけないの?」


「今は、プリンセスの為としかお応えできません」


「…わかった。明日ここに来るね」


ラプンツェルは魔女を信じることにしました。

魔女はラプンツェルにお辞儀をすると静かに去って行きました。


その後ラプンツェルはいつものように明るい笑顔で人々からお花を受け取り、6歳の誕生日を存分に楽しみました。


翌朝ラプンツェルは城の者に気づかれずそっとぬけだし、魔女と約束した場所へと向かいます。

その様子を城の中にいた従者が見つけるとラプンツェルの後を追いました。


「来てくださいましたね、プリンセス」

そう言ってラプンツェルを笑顔で迎える魔女。


「みんなには内緒で来たよ」


「その様ですね。ありがとうございます。ここでは城の者に見つかる恐れがあるのであの森へと向かいましょう。そこでお話しします」


「あの森?」


「はい。"Rapunzel"が咲く森です」


「わぁ!行きたい!」

ラプンツェルは目を輝かせます。

魔女はラプンツェルの手を取ると優しく微笑み魔法を使いました。

魔女の魔法で2人はある森に瞬間移動したのです。


「わぁ!魔女さんすごいね!」


「今の魔法は私達の秘密にしていただけますか?」


「どうして?」


「魔法の力が存在する事はこの国ではあってはならないことだからです」


「???」


「いずれ分かります。その事よりも私はプリンセスの魔力についてお話ししなくてはなりません」


「魔力?」


「はい。魔力とは魔法の力のことを言います」


「魔法使えないよ?」

ラプンツェルは自分の手を見つめて魔女に答えます。


「今はそうですね。まだ幼いので使うことは出来ないのでしょう。ですがもう少し大人になれば魔法が使えるようになるはずです」


「…そうなの」


「プリンセスのお母様であるお妃様に渡った"Rapunzel"の花には私の魔力が込められていました。ですがその魔力は治癒魔法、治るはずのない病気などを治す力であり、病が治れば私が込めた魔力は消えるはずなのです。けれどこうしてプリンセスに魔力が授け継がれている。魔女から受け継がれた魔力は使い方を誤ればとても危険な力になります。なので本来魔力を持つものは魔女の元で育てられるのです。…プリンセス、魔力制御ができるようになるまで私と共に暮らしませんか?」


魔女は話した内容がプリンセスに伝わるよう魔法を使い分かりやすく説明していた。


「私、魔女さんのこと大好きだよ。だから魔女さんと一緒にいる!」


この時ラプンツェルは恐怖や寂しさなど全くなく、魔女との生活にワクワクしていました。


「プリンセス、この事は誰にも内緒です。

なので王子様とお妃様には私から伝えておきます」


「わかった!ねぇ魔女さんの名前知りたいな」


「私の名前はティアラと申します」


「ティアラお姉ちゃんって呼ぶね!私のことはラプンツェルって呼んでほしい。プリンセスは嫌」


「分かりました、ラプンツェル」


ラプンツェルは自分の名前を呼ばれて嬉しそうでした。


2人はRapunzelの咲く場所からそう遠くない森の中で暮らすことになりました。

魔女の家はお城と違い可愛らしいサイズでラプンツェルは"まるで絵本に出てくるお家みたい"だと、とても喜びました。


けれどラプンツェルが信用し始めていた魔女のティアラはひとつの嘘をラプンツェルについていたのです。


"王子様とお妃様には私から伝えておきます"


そう言っていたティアラでしたが、王子様とお妃様にはラプンツェルとの生活について何も伝えていなかったのでした。



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