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二人の子供
序章
「やっと見つけた……母さん………」
薄暗い闇の中を飛び回っていた小さな光は、そうつぶやくと、無数にある扉の一つに飛び込んで行った。
それから10ヶ月後、神成家に可愛い女の子が誕生していた。
「オギャ~!オギャ~!!」
「神成さん、元気な女の子ですよ。」
母親の腕の中に渡された女の子は、丸々として、とても元気で可愛い女の子だった。
「よろしくね、憂稀」
母親の目から、一粒の涙がこぼれ落ちた。
それから一週間後、神成家の隣に住む、上地家にも待望の男の子が生まれようとしていた。
慌ただしくなる分娩室、看護師が何人も出入りしている。
「いかん!臍の緒が首に巻き付いている。このままだと窒息死するぞ!帝王切開だ。」
医師の叫び声とも取れる声が部屋に響く
しばらくして…
「オ、オギャ…、オギャ…ギャ…」
か細い声で泣きながらもながらも、必死で生きようとする、男の子が生まれた。
そして、その男の子は「友生」と名付けられた。