表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

電車の音

作者: 南港

俺の家は、駅から近い。


歩いて徒歩5分と、なかなか立地が良い。

だが俺は、今日高校生になるまで

あまり使ってこなかった。


それには理由がある。


・・・・・・・・・・・


今の家に引っ越してきたのは、小学生になりたての頃。その時はまだあまり開発されてなく、今よりか田舎だった。

でも、少し田舎に憧れていた俺は

これからの暮らしが楽しみでもあった。


違和感に気付いたのは、引っ越してきて

3ヶ月目。 夜寝ていたが尿意を催して

トイレをしに行った時だ。


新しい家は築5年で比較的新しい方

だったが、夜の静かさも合わせて廊下を

歩くたび

'ギギィ' ミシミシッ'


と、嫌な音が出た。

小学生だった俺は、ビビりながらも尿意を

抑えてトイレへ向かった。

その時だった。

何か一瞬空気が張り詰めたかと思うと

次の瞬間


きゃあああああああああああああぁぁぁぁぁ.........



という音が聞こえた。

特別大きな音というわけじゃない。

だがその音は、やけに通りが良く、

嫌に耳に残る音だった。俺はその音に心底

驚いて廊下で漏らしてしまった。

今でも覚えている俺の消し去りたい過去だ。

そこで騒いでいたら親が起きてきて

何事だということになり、そこでさっきの音について話す事になった。


「何そんなこと、気にしなくていいよ」


親が言うには、あれは電車が止まる時の音だという。

ブレーキのかけ具合によってたまにあんな

音が出るんだと。

でも俺は、タネを明かされても心中穏やか

じゃなかった。あの音はなんというか

人の恐怖を煽るものだった。普段の生活で

聞こえてくるものではない。

俺はあの音に、得体の知れない恐怖を

感じていた。



・・・・・・・・・・・


あれから家にいる時、あの音はたまに

聞こえてきた。聞こえてくる時間は

朝の時や夕方など、ばらつきはあったが

あの音は、不意打ちに必ず来た。

最初は本当に嫌だった音も、途中から

割り切って慣れることにして過ごした。

だが、駅にはあまり近づきたくなくて

必要最低限使わないようにした。



しかし今日からは状況が違う。

高校生になった俺は、電車通学をしなくては

いけなかった。今日がその初日である。

電車が来るのを待っている間、俺はあの時の事をを思い出していた。

何度も聞いたあの音を。

正直電車通学は嫌だった。だが成績の都合で仕方がなかった。これは俺の自業自得だ。


そうこう考えてたら、アナウンスがなった。

もうすぐ電車が到着するらしい。

到着のメロディーが鳴り響き、電車がホームに入る。

俺は何気なく前を見ていた。


電車が俺の前を横切る瞬間、

誰かが線路へ飛び降りるのを見た。


"ゴゴッッッ"


一瞬空気が張りついた。


きゃあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ....




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 叫び声は自殺を見た人の声だったんですね。そう思うと駅に近寄りたくない理由も分かります。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ