優勝の果て
「パンツ丸見えやがな……」
心の声で考えながら至って冷静に重たい物を担いでるせいで前屈みになってる様を装う。
覗き込みながら歩いていると突然クルッと振り返り鬼のような形相で睨むリーゼロッテがいた。
こ、これはヤバイ予感だ。
「おい、どうしたんだよ」
「覗いてんじゃないわよ!!」
頭上から痛烈な飛び蹴りを喰らう。なんでバレたんだろうと発言を振り返っていると心の声を出していた事に気付く。
これはバレるわ……。
そうこう暴れているうちに部屋にと辿り着く。
「ありがとうお疲れ様」という労いの言葉とともに部屋に上がらせて貰い、ジュースを御馳走になる。
女の子の部屋に入るのも初めてでドキドキしながら眺めていると人形などが陳列されていた。
「恥ずかしいからジロジロ見ないでよ」
「いいじゃないか、減るものじゃあるまいし」
「減らなくても恥ずかしいの!」
「少女ぶっちゃってまあ……」
あまりにもウルサイので部屋中を眺めるのをやめ、椅子に座りながらリーゼロッテに向き直る。
「だって部屋に通すの男じゃあアンタが初めてだし……」
「オッサンだって入るだろ?」
「お父さんだって入れたことないわよ」
「ほー意外だな。ファザコンだと思ってたんだが」
「お父さんも好きだけど、プライベートな空間だから入ってきて欲しくないわね」
「んじゃ俺はいいのか?」
俺は大丈夫でオッサンは駄目なのかと思うと、不憫で複雑な心境になり思わず聞いてしまう。
「アンタはバカだからいいわよ」
「お、おう」
どうやらバカなので入室を許されたようだが、どうにも釈然としない。
バカって酷くね……?
抗議をしても評価は覆りそうにはないので大人しくしておく事にする。
「ところでアンタ優勝商品で何貰ったの? 見せてみてよ」
「金一封だろ。嫌だお前に盗まれそうだし」
「そんな事しないわよ! 3億シールあるのよ!」
「それもそうだな……」
本当に3億シールと聞くと俺の賞金も換金したお金も霞んで見える。
俺の苦労とは一体何だったのだろうか。
虚しい思いを胸に抱えながらも、ポケットにしまった封筒を切り取り中身を外から確認。
1cmぐらいの厚みがあるお金、何かが描かれている御札らしきものがあった。
「賞金と御札っぽいのが入ってるな」
「御札ってなーにー?」
リーゼロッテが覗き込みながら見てくるが顔が近い。何故こんな大胆に近寄れるのだろうか。
女性免疫が皆無の俺には自分から近寄るのは恥ずかしいというのに。
ブツブツと独り言を呟いているとリーゼロッテが封筒の中身を取り出そうとするので阻止をする。
「俺が取り出すから大人しくしてろ!」
「わかったあ!」
そういいつつ俺の肩から首だけをひょっこりと出している。滅茶苦茶恥ずかしい。
緊張している手を従えつつ中身を取り出すと、奇妙な紋様が描かれている一枚の紙が出てきた。
その途端、紋様を描いた紙は発光を繰り返し咄嗟にリーゼロッテを背後に庇う。
「あっ!! これ――」
リーゼロッテが大声で叫んだ瞬間――俺達は異世界に吹き飛ばされた。




