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テンカノ~10人の彼女たち~  作者: あいかわまこと
序章 恋の始発駅
4/5

イケメンへの道

期待と不安が入り乱れる中、朝の授業が始まった。

オレは早速机の中から雑誌を取り出し、教科書とノートの間に挟んだ。


もしかしたらオレはこの雑誌を読んでイケメンになれるかもしれない・・・。もしかしたら彼女が出来るかもしれない・・・。


今は授業よりも大切な事がここにある。彼女のいる充実した高校生活を送るためにも今はこの雑誌を読んで勉強する方が大切だと思った。


そう、全てはモテる男になるために、イケメンになる修行の為に・・・。


雑誌を開いて行くと「夏の最新ファッションで差を付けろ!」というページに目を止めた。


モデルのイケメンがかっこよくポーズを決めて掲載されている。どのモデルさんも最新のファッションをかっこよく着こなしている。


何気ないTシャツにハーパン姿からも写真からかっこいいオーラが伝わって来る。同じ年代なのに何故こんなにカッコイイのか?隣に並ばれたら死にたくなるレベルだ。


その時、ふとTシャツの値段を見た。


「9.800円」


えええええ?こんなTシャツが9.800円もするの?めっちゃ高いじゃないですか!いや、確かにかっこいいよ!かっこいいけど!ちょっと高くないですかこれ?


そのままハーパンの値段を見ると


「14.800円」


いやいや、ちょっと待って!なんでハーパンでこんなに高いの?二つ合わせたら25.000円くらいするじゃないですか!


オレ小遣い15.000円なんですけど・・・。


さらにシューズが9.800円とかシルバーアクセサリー29800円とか腕時計15000円とか・・・。


もうね、最初っから勝てない試合って感じですよこれ。


いきなり先制ストレートパンチを受けたくらいの衝撃ですよ。


やっぱりお金がないとイケメンになれないの?


そのまま完全に敗北感のままファッションページをめくる・・・。


次に目に飛び込んできたのは「モテ男ヘアスタイル」


やっぱり髪型って重要ですよね!ここですよ!ここ!イケメンの髪型マネすればオレだってカッコよく・・・。


いやいや、ちょっと待って!これモデルさんイケメンしかいないじゃないですか!顔のパーツがオレと違うし、完全に出来上がってるじゃないですか!


髪型マネしてもオレじゃ無理!絶対似合わない!


そもそもうちの学校は頭髪の色は黒髪じゃないとダメだし、なんすかこのソフトパーマって!うちの学校はパーマ禁止ですよ!


またしても負けました・・・。まさか試合する前から負けるとは思いませんでしたよ。髪型もダメじゃないですか・・・。どうすんだよこれ・・・。


そのまま敗北感のままさらにページを進める。


「これはダメ!女の子に嫌われるNGワード」


そ、そうだ!やっぱり見た目じゃなくて性格っしょ!やっぱり男は中身っしょ!


ここが一番重要だ!やっぱり嫌われないようにしないとモテないでしょ!ここを抑えておけばオレだって女の子にモテて・・・。


「ファッションセンスが無い男」(ひろみさん18歳)

・やっぱり服装って大切だと思う。ダサい格好してる彼氏は一緒に居ると恥ずかしい。


「はっきりしない男」(くみさん17歳)

・ちゃんと自分の意見を言えない男の人は何も魅力が感じられないよね。


「髪型がダサい男」(まいさん16歳)

・終わってるでしょ。


「自分で何も決められない男」(みゆきさん17歳)

・優柔不断な男の人だと頼りがいが無いから。


「何も努力しない男」(まみさん18歳)

・すぐ諦めたり、何も努力しない男の人はかっこわるいと思う。


「挙動不審な男」(ゆみさん16歳)

・うざい。


はい!どう見ても全部オレです!本当にありがとうございました!


やばい・・・。どうしよう・・・。泣きそう。てか、泣いてもいいですか?うう・・・やばい・・・目頭が熱くなってきた。


そうだ!違うことを考えよう。


涙を流さないように気を紛らわせよう!教室の天井のシミでも見て違うことを妄想しよう。


あっ!あの天井のシミがエビフライに見える!あーエビフライ食いてえ・・・。


???「ねえ・・・?」


オレ「は、はい?」


隣の席のギャル女子高生の伊藤静香いとうしずかがいきなり声をかけてきた。


えっ?


何?


もしかして愛の告白?


まさか帰りに体育館の裏に呼び出しとか?


伊藤「さっきからアンタきもいんだけど」


オレ「あ、うん・・・ごめん。」


そのまま涙を流さないように窓の外を見た。


雲一つない青い空を眺めていた。


その時に何故か母ちゃんが誕生日にオムライスを作ってくれた時の事を思い出した。


母ちゃん「マコト・・・お誕生日おめでとう。こんなもんしか作れないけど・・・。」


オレは泣いた。


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