白い犬と少女
学校の帰り道、少女はいつも白い犬に出会った。
公園に住む白い犬は、いつも私を観ると草陰へと身を隠す。
内気でかわいい、白い犬は、いつも私に元気をくれた。
ある日も少女は、白い犬に出会った。
いつものように、少女に気づくと身を翻してどこかへ隠れようとする。
「まって!」
少女は呼びかけてみるが、白い犬の姿はもうなくなっている。
友達の遊んだ帰り道。
暗い夜道に白い犬に出会った。
そっと近づく少女にも、白い犬はすぐに気づく。
でも、今日は逃げない。
少女の手には「じゃがりこ(サラダ味)」が握られている。
ふと目をやり、「じゃがりこ」を白い犬の前に差し出す。
白い犬は「じゃがりこ」を食べた。
この日から、少女と白い犬は仲良しになった。
ある日、悲劇が起こった。
白い犬の前に水たまりがあった。
ランニング中の人が「ぴしゃ!」とその水たまり踏む。
泥水が白い犬にかかり、白い犬は黒っぽい犬になってしまった。
でも大丈夫。
展から雨が降り注ぎ、黒っぽい犬は白い犬へと戻った。
数年がたち、数十年がたち、
少女が少女ではなくなっても、白い犬はかわらず白い犬だった。




