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ローズカンパニー  作者: 夜月
第二幕
7/21

1

男性に連れて行かれた先は、ロンドン郊外にある膨大なお屋敷だった

今までに見たことのないような、とてつもなく広い庭

綺麗に手入れされた薔薇、豪華な噴水

きっと・・・このお屋敷のご主人はとんでもなく上流階級の貴族なんだろうな・・・

そんなところで、これから私は働くんだ


私を案内してくれた男性は、マイクと名乗ってくれた

「まずは、君の部屋に案内しよう。それから、屋敷のルールを説明する」

「はい」

マイクさんの後に付いていきながら、屋敷の中を見渡す

壁には高級な絵画。いたる所に骨董品。そして、花瓶に生けられた薔薇

庭にも薔薇が咲き誇っていたし、ここのご主人は薔薇好きみたいね

「まず、庭の薔薇には絶対に触らないこと。優秀な庭師がいるからな。君はメイドだから、掃除だけを毎日してもらう。それから、三階の一番奥の部屋。北側の部屋には絶対に近づかないこと。それから、こちらから指示を出すまで屋敷から出てはならない。手紙を送ることも許さない。外界とは完全に遮断する。以上だ」

一度にそんなに言われても、早すぎる

それよりも・・・

「ち、ちょっと待って下さい!」

「なんだ?」

「外界と遮断って!?家族に手紙を出してはいけないの?」

「ダメに決まってんだろ?ここはローズファミリーの屋敷だぞ。君の性格や内情が分かるまで、信用できない。もし、ここの情報を漏らされたら厄介だからな」

マイクさんは足を止め、睨みつけながらそう言った

物凄い威圧感

「ローズ・・・ファミリー?」

よくわからない名前だ。薔薇?

しかも、なんだかマフィアみたいな名前

「はっ?」

何言ってんだこいつって顔をされた。あからさまに

え、ちょっとバカにされた?

「っ、ここでは有名な名前かもしれませんが・・・私は遠い街からきたんです。知らなくて当然よ!」

「強気だな。まぁ、ここで働くならそれくらいの根性がないとな。ここは、ローズファミリーの屋敷。ロンドンでは名の知れたマフィアだ」

「え・・・なっ、マフィ・・・ア・・・?」

「そんなことも知らされていないとはな。哀れな・・・あのぺてん師に騙されたか?しかし、クラウンの姓を持つ娘が・・・まぁいい」

なんだか、色々引っかかる

ぺてん師とかクラウンの姓がどうとか

私の今の状況・・・たくさんの謎が隠されているみたいじゃない

でも、今の言い回しだと、この人は何か知っている

ここに居れば、父さんを襲った犯人が分かるかもしれない

しかしマイクさんの言葉は、私を精神的に追い詰めるものばかりだ

でも、家族のために耐えるしかない




「さぁ、ここがお前の部屋だ」

まず案内されたのは屋敷の地下室。その地下室の端にある部屋だった

中は、古いベットと書き物机のみがある狭い部屋だった

今まで、セミダブルのふかふかなベットを使っていた身としては、かなりのギャップだ

使用人だから仕方ないんだけど・・・

「仕事着はそこのクローゼットに入っている。サイズが合わなければいってくれ。君は・・・一人部屋だな。普通は相部屋なんだがな。この地下室にある部屋、この隣に並ぶ部屋だが、そこは全て使用人部屋だ。執事が一人、メイドが君の他に三人、コックに庭師がいる。執事はこことは違う階だが、困ったことがあればそいつ等を訪ねるといい」

ちょ、だからなんでこの人説明するときこんなに早口なの?

一気に話すからついていけないんだけど!

「荷物を置いて少し休んだら、さっそくキッチンまでくるように。そこでまた説明をする」

「はい・・・」

マイクさんは、そう言うと部屋を出て行ってしまった

「はぁ・・・」

もう夜中なのに、まだなにかあるのね

説明説明って・・・

とりあえず、ちょっと休憩してからキッチンに行こう

ドサっと荷物を置いただけで埃が舞う床

そんな部屋ってだけでも嫌気がさすのに

・・・キッチンってどこよ

大事な説明が抜けている・・・

「・・・・はぁ」

私は大きなため息をつき、部屋の外へと出た

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