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ローズカンパニー  作者: 夜月
第一幕
6/21

6

綺麗な街並みの、路地裏にある古い建物

その地下に私は連れていかれた

中には、すでに十人くらいの子どもたちがいた

ユイナと変わらないような幼い子どもから、私と同い年くらいの子まで、男女様々

服装や髪はみんな汚れている

私は裕福な家庭出身なので、それなりに綺麗な服を着ているが、ここにいる子どもたちはみんなボロボロだ

一般家庭ではない、それ以下の・・・

「私の役目はこれまでです」

「え・・・」

緊張しながら周りの様子を伺っていると、いきなり弁護士さんは言った

「私はあなたをここまで案内する。それで仕事は終わりです」

「・・・」

何故かショックだ

家族から引き離され、知らない土地に連れて来られ、唯一知っている人物もここでお別れ・・・

本格的にひとりぼっち

「あなたなら・・・きっと賢く、図太く生きていけるでしょう。ご健闘を祈ります」

「・・・弁護士さん・・・ありがとうございます」

図太くは余計だけど

「礼を言われるような事は何もしていません。これから、きっと辛い事しかないでしょう。しかし、強気に自分を保てば乗り越えられます。それでは」

いつものように、メガネをクッと上げて弁護士さんは部屋を出て行ってしまった

・・・これで、私もひとりぼっち

姉さんにもらったロケットを握りしめ、深く深呼吸をした




しばらくすると、数人の男性がやってきた

ざっと私たちを見渡す

まるで品定めをされるように・・・・

それから、また男性が数人入ってきた

作業着を着た人、貴族のような整った身なりの人、スーツ姿の人・・・

「それでは、先に行き先の決まっている子を移動させよう。人数が多過ぎるからな」

先に入ってきた、男性が言った

たぶん、この場を取り仕切る人物なのだろう

持っている資料の束を見ながら、名前を読み上げていく

呼ばれた人は、たぶん奉公先のご主人と思われる人の元へ引き取られるようだ

みんな怯えながら、外に連れていかれてる

これからどんな生活が待っているのか分からないから

「ロザリー・クラウン」

「は、はい!」

急に名前を呼ばれ、心臓か大きく跳ねた

「君はこっちだ」

資料を読み上げていた人の指す方を見ると、高そうなスーツを着た男性が立っていた

まだ若く見える

男性の前に立つと、上から下までじっくりと見られた

そんな男性を、私もマジマジとみる

何処か怪しい雰囲気があって、堅気に見えない

スーツを着ていても筋肉質であることがわかるくらいにガタイがいい

「うむ。まぁまぁか・・・では、ロザリー・クラウン。私について来なさい」

まぁまぁって・・・

スタスタと歩き出す男性に慌ててついて行く

ふたたび地上に出ると、馬車が停まっていた

「さぁ乗りなさい。これで今日から君の働く屋敷に向かう」

「はい」

男性に続き馬車に乗り込もうとしたとき

ふと横を見ると、弁護士さんがこちらをみていた

あっ・・・弁護士さん。まだ居たんだ

軽くお辞儀をすると、弁護士さんはメガネをクッと上げて背を向けて歩き出した

きっとお見送りをしてくれたのね

こみ上げる寂しさをぐっと堪え、私は馬車に乗り込んだ



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